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【みちしるべ#9】村上巧さん~日本一オリエンテーリングを楽しんでいる”エントリー王”(前編)


11月12日 (日) 新潟大会2023 Day2 申込初日のJOY


こういうとき、エントリーリストを確認してみてください。

十中八九いらっしゃいます。


第9回のゲストは、オリエンテーリングを日本で最も楽しんでいる社会人といっても過言ではない!?エントリー王として名高い、村上巧さんです。

JOY(Japan-O-entrY、オリエンテーリング参加登録サイト)をみれば、いつでもエントリーリストに名前がある村上さん。しかもそのエントリーの速さは異次元!

そんな村上さんですが、実は大学卒業後、7年もオリエンテーリングから離れていらっしゃったんです。7年のブランクを経て、どうしてオリエンテーリングに復帰されたんでしょうか。村上さんをエントリー王たらしめるオリエンテーリングの魅力とは一体何なのでしょうか。

SNS上で募集した村上さんへのご質問とあわせて、たくさんインタビューして参りました! ぜひ御覧ください。(爆速エントリーの極意についても、非常に深いお話を聞いてきましたよ!)


ゲストプロフィール

村上巧(むらかみたくみ)さん
横浜OLクラブ・つばめ会所属。東京工業大学2004年度入学。
オリエンテーリング界にて、”エントリー王”の名を馳せる。
岩手県陸前高田市出身。東工大OLTにてオリエンテーリングを始め、2年次からインカレミドルでは決勝に出場。2010年に大学院を卒業後、7年ほどオリエンテーリングには参加せず。製薬関連の仕事に従事しており、3回転職経験あり。2017年末頃からオリエンテーリングを再開、2019年より横浜OLクラブに所属し、2022年にはエントリー回数にて日本一に。スプリント日本ランキング24位。(RoadTo全日本2023 2023/09/12現在)

インタビュアープロフィール

木口瑞穂
慶應義塾大学4年、KOLC

牧依瑠香
早稲田大学2年、早大OC/入間市OLC

演劇部ではなく、オリエンテーリング部に


ー大学でオリエンテーリング競技を始めたきっかけは何ですか?

 大学入学当初、どのサークルに入ろうかと探していた時に、かなりしつこくオリエンテーリングに誘ってくる一個上の先輩がいたんです。その人に、説明会に連れられて行ったのが、オリエンテーリングとの最初の出会いでした。 ちなみに、その先輩がしつこく誘ってこなかったら、多分、演劇部に入っていたと思います(笑)
 そこから、体験会や大会に行って、クラブへの所属を決めました。

ー中学校や高校ではどんな部活に入っていましたか。

 中学校はバレーボールをやっていました。でも、バレーボールって結構厳しいんですよね。高校では、もう運動やりたくないなと思ったので、科学部に入っていました。

ーなるほど。その、運動部と文化部の血が融合して、オリエンテーリングに惹かれたところがあるのでしょうか。

 そうですね。最初は、オリエンテーリングのことを全く知らなくて。小学校時代の思い出で、山の中をワイワイ楽しみながら周ってくるイメージでした。だから、そんなにハードではなく、適度に体を動かせるのかなというイメージで 入部しました。実際、最初はハードだったのですが...

ー学生時代の印象的な思い出や出来事はありますか?

 2年生のインカレミドルです。当時のインカレミドルは、予選・決勝方式でした。当時、東工大から決勝へ行ける人は本当に少なく、大体エース級が1人行くのが通例だったのですが、僕が2年の時は、同期でエースだった小山(現トータス/つばめ会)に加えて、僕も決勝に行けました。僕だけでなく、小山も含めて4人が決勝に行くという、東工大としては快挙のことが起きて、僕自身としても、オリエンテーリングに自信を持つことができました。そこからもっと、オリエンテーリングを頑張ろうと思うようになりました。

オリエンテーリングから離れた7年間

ー卒業後は、7年ほどオリエンテーリングから離れたとお聞きしていますが、それはなぜですか?

 はじめはオリエンテーリングを続けようと思っていました。
 就職で、大阪に行って、続けようとは思っていたのですが、大阪に知り合いがほとんどいなくて。そうなると、オリエンテーリングの大会会場に行っても知り合いがおらず、あまり楽しくないと感じてしまって。自然と、オリエンテーリングから離れていきました。会社にオリエンテーリングを知っている人がいなかったのもありますね。あとは、社会人になると、いい意味でも悪い意味でも視野が広くなるので、他のスポーツとかも見えてきて。続かなかったのですが、自転車に乗ったりもしていました。
 2013年に転職をしたのですが、その会社がとても忙しくて、趣味がどうこう考えられるような状況ではなくなって、さらにオリエンテーリングから遠ざかっていきました。

ーそこから、7年という長いブランクをはさんで、オリエンテーリングに戻ってこられたきっかけは何だったんでしょうか?

 2016年にブラック企業を脱出し、わりかしまともな企業に入れたんですよね。時間に余裕ができるようになってきて。それでも当時、趣味が本当にないような状況で。

 そこである時、同期の小山と飲んだ時に、「もうオリエンテーリング再開したら。」と言われて。それで2017年の、大学のインカレミドルセレの練習会に行ったのが、再開の1発目です。そこから、練習会に行って、ジュニアチャンピオン大会や早大OC大会等、近場のオリエンテーリングに行くうちに、ギアがだんだん入っていきました。

ーそこからエントリー王への道が開かれていったんですね!

東工大同期、小山さんとロゲに行った際のお写真📷

エントリー王に君臨!

日本オリエンテーリング界において、エントリー王として名高い村上さん。日本で最もオリエンテーリングを楽しんでいるといっても過言ではありません。そんな村上さんの、エントリー王たる所以や、爆速エントリーの秘訣に迫っていきます。

ーちなみにですが、村上さんご自身は、エントリー王としての自覚だったり、エントリー王としての意地だったりはあったりするんでしょうか。

 まあ、言われると意識しますよね(笑)
 多少、オリンテーリングに疲れたなと感じることがないこともないのですが、行かなきゃなってなりますよね。名前を背負うってこういうことなんだなっていう。

ーそもそも、”エントリー王”って一体何なのでしょうか?

 早大OB池ヶ谷さんの集計で、2022年の一年間のオリエンテーリングの参加回数がナンバーワンというデータが出たのが、始まりです。

 
 実はその集計が出る前の、昨年のOMMの時に、国沢さん、小山、田邊と車の中で、私のオリエンテーリングの参加頻度の高さが話題になって。これだけオリエンテーリングにエントリーしているんだから、エントリー王という名前を広めようという話になっていました。そんなの広まらないだろうと思っていたんですが、その話をしたあとに、エントリーの回数がナンバーワンというデータが出てきて。

ーエントリー王を裏付ける根拠がちょうどいいタイミングで出てきたんですね(笑)

 はい。口裏を合わせていたわけではないのですが(笑)

ーでは、7年のブランクの後に村上さんはどうして、”エントリー王”といわれるまでにオリエンテーリングに参加するようになっていったのでしょうか。

 オリエンテーリングを2017年に再開し、その後の2018年ごろ、当時、東工大のOBOG会の、つばめ会が楽しいことになっていて。幹事を持ち回りにして、2ヶ月に1回集まって飲むということや、大きな大会の前日に、もうハチャメチャに楽しく飲んで、観光して、みたいなことを結構たくさんやっていて。現役の学生から早くOBになりたいと言われるくらいでした。

 大阪時代、オリエンテーリングをやろうと思っても、結局知り合いが全然いなくて、なんかつまんないなと思って辞めていってしまいましたが、オリエンテーリングを再開して、そういう楽しい雰囲気があったから、続けられるようになっていったという感じですね。
 また、オリエンテーリングを再開するきっかけをくれたのは小山なのですが、多分、続けるきっかけとしては、3つ上の東工大の先輩、坪居さん(入間市OLC/つばめ会)の存在もありました。
 
 そして続けていくうちに、もうオリエンテーリング以外に趣味がないので、参加できる大会はもう全部、もう片っ端から参加して、みたいなことをやっていくようになりました。

北海道へ遠征!2023年北大大会1日目のお写真📷


 あとは、コロナもきっかけになっています。

 コロナが蔓延して、大会がある程度、減ったじゃないですか。東京近郊、関東圏では大会がないけれど、岡山でやっているなとか、椛の湖で練習会をやっているなってなったら、まあまあ、よし、それで、それに行こうみたいなことをやるようになって。そのうちに、遠征もためらわず、どの大会にもいるよねみたいな感じになっていって。

 そのあたりから、面白そうな大会だったら、もう参加しまくる、というのが自分の中で定着して、周りからもそういう風に認知されていって、エントリーがどんどんどんどん増えていったという感じだと思います。

コロナで、逆に遠征へのハードルが下がったんですね。

 そうですそうです。以前は、遠い岡山の大会には、正直見向きもしてなかったです。でも、コロナになって、オリエンテーリングできるのが岡山しかないから、じゃあ行くかという風になっていきましたね。

爆速エントリーの秘訣は?

ーエントリー王たる所以は、エントリーの回数の多さだというお話でしたが、エントリーの早さも異次元的に早いですよね。エントリーリストが一桁名のときには、大体村上さんのお名前が既にあります。それは一体どうなっているんですか。

 通知機能は使っておらず、直にJOYを見に行っています。

 まず朝起きてJOYを開きます。テレワークだと想定して、朝ご飯を食べたあと、仕事前に見ます。仕事中に疲れたときにも見ます。それが午前中に多分3回ぐらいあって、で、お昼休みにも見ます。午後も頭疲れたタイミングで、大体1時間おきに見ています。仕事が終わり、夜はまずひたすら暇だから、JOYをオンにした状態にして、YouTubeを開いて。YouTubeを見ながらJOYを見ます。で、ランニングに行ったら、帰ってきてからまた見ます。その後、お風呂に入って、寝る前に見ます。で、寝るんだけど、大体3時から4時ぐらいに目が覚めるので、そのタイミングでも見ます。 という感じです。

ーす、す、す、すごい(笑)。頻度がもう予想以上。レベチですね。疲れたときにおやつを食べるとかではなく、JOYを見るんですね。

 スマホを開いてインターネットにアクセスするじゃないですか。トップ画面がJOYです。普通はYahoo!とかだと思うのですが。設定したわけではなく、頻繁に見すぎているからかこうなっています。

どうやって予定、大会参加を決めているの?

ー事前にSNSで村上さんへの質問を募集したところ、「どのように予定を決めてますか。衝動的な申し込みですか。重なった場合は何を優先して決めていますか。」という質問がありましたがどうですか。

 とりあえず、受付開始になった大会は、衝動的に申し込んでいます。どうせ、他に予定入らないので大丈夫です。で、同じ日程に大会が重なった場合ですね。それは難しい問題で。例えばですが、練習会受付開始になるじゃないですか。その後でより面白そうな大会が受付開始になった場合、そのときは本当に、超申し訳ない気持ちになりながら切り替えます。

ーなるほど。

これはもうしょうがないです。はい。

ーそういった場合、何を決め手として参加する大会や練習会を選んでいますか。

 ランキング大会かどうかや、 新規テレインかだったり、あとは面白そうなテレインを選んだり。また、練習会よりは、大会を優先することが多いですかね。

ーエントリー界でのライバルはいますか?

 エントリーのライバルとしては、京葉OLクラブの宮本樹くん大阪OLCの前川さん、大林さん、東京OLクラブの藤生さん、川越OLCの福田さん、OLCふるはうすの稲田さん。あと、意外とエントリー早いのが、京葉OLクラブの鈴木健夫さん。

エントリー競技?

 特に、宮本樹くんはすごいなと思っていて。彼のその、ムーブメント。動きが、なかなか真似しづらい。例を挙げると、札幌OLC大会が北海道で2日間あるとしたら、普通は土日の2日間行くじゃないですか。ところが、樹くんは、土曜日に関西でスプセレをやっていたら、1日目に関西のスプセレに行って、2日目は札幌OLC大会に行くっていう。なんで両方エントリーしてんだろう!?って思うわけですよ。あと、私はあまりやりませんが、彼は1日でよくハシゴをしていますよね。山川Dreamと上尾OLC大会、福島の大会と上尾OLC大会とか。すごいなと思います。それでいてエントリーも早い。

ーエントリーするのも、項目が結構たくさんあるときもあるじゃないですか。例えば交通とか、同乗者とか、考える時間を要する場合はどうするんですか。

 基本的には、まず公共交通機関の想定で申し込みますね。これまでの成績書いてくださいというのがあったりするときには、そこはもう後で書くと書いて、とりあえず、ぽち。

ーなるほど(笑)

ーライバルの方々は、さすがに村上さんの頻度ではJOYを見ていないのではと思いますが、今後さらにエントリーの闘いが熾烈になっていくかもしれませんね(笑)


後編は、9月20日(水)に公開予定です。
お話の続きはポッドキャストにて先行配信中!
感想もお待ちしております!
 
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