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#今月よかったコンテンツ【2024年3月】
4月もすでに後半に差し掛かり。たいへん遅くなりましたが、3月の個人的よかったエンタメ・コンテンツをまとめました。なんとか続いてます。
ご意見・ご感想・苦情などありましたら、X(旧Twitter)のDMにお願いします。
(ヘッダー画像:『ビビデバ / 星街すいせい(official)』より)
映画
今月の個人的ベスト10はこちら(試写・映画祭で観たものも含む)
#2024年3月映画ランキング
— touch (@o_kilo_byte) April 4, 2024
① ゴールド・ボーイ
② デューン 砂の惑星 PART2
③ コール・ジェーン -女性たちの秘密の電話-
④ けもの
⑤ 美と殺戮のすべて
⑥ 関心領域
⑦ すべての夜を思いだす
⑧ プリシラ
⑨ 貴公子
⑩ オキュパイド・シティ pic.twitter.com/O4sdr5M65B
その中から4作品をピックアップ。
『ゴールド・ボーイ』
#ゴールドボーイ
— touch (@o_kilo_byte) March 24, 2024
高純度なサイコキラー映画。沖縄の歴史、基地建設問題を後景化している点や「コンデジの動画でそんな鮮明に撮れるか?」など作劇の都合が気になる部分もあるにはあるが、目がバキバキにキマっている岡田将生の怪演と対等に渡り合う子どもたち、駆け引きの熱量に最後まで引き込まれた。 pic.twitter.com/2YSIdjGBlP
とにかくよくできたプロットに感心しきり。
これはもう「殺人現場を目撃してしまった少年たちのクライムサスペンス」というあらすじ以外の情報はなるべく入れずに観てほしいです。
岡田将生の振り切った演技が最高、そしてヨウジヤマモトのシャツが笑ってしまうほどよく似合う。
端正なルックスの裏に隠された恐るべき暴力性というところで『ドライブ・マイ・カー』からの地続きにある役柄だと思いました。
主題歌はあれでいいのカナ……?
『コール・ジェーン -女性たちの秘密の電話-』
#コールジェーン女性たちの秘密の電話
— touch (@o_kilo_byte) March 26, 2024
人工中絶が違法だった当時のアメリカで推定1万2千人の中絶を支援したとされる女性団体「ジェーン」。裕福で何不自由ない生活から一転、ひとりの専業主婦がその活動に身を投じていく。ホワイトフェミニズム批判も含んだ厳しい目線に唸る。いま広く見られるべき一本 pic.twitter.com/Lga8RyEkOv
中絶を希望する女性を支援する団体「ジェーン」の活動を通して、社会における男女の不均衡、人種・職業・経済格差による差別といった多層的な社会問題をも炙り出す快作。
中絶を題材にした映画は『4ヶ月、3週と2日』や『17歳の瞳に映る世界』、『あのこと』といったタイムリミット型サスペンスの形をとることが多い。本作も序盤こそその要素があるものの、次第に「救われる側」から「救う側」の話へとシフトしていく。さながらスパイ映画のような趣きになるのが新鮮でした。
主人公をその道に引き込んでいくリーダー役のシガニー・ウィーバーがめちゃくちゃかっこよくて「そりゃ女性たちから慕われますわな~」という圧巻の説得力でした。
『けもの(仮題)』
#けもの 横浜フランス映画祭にて
— touch (@o_kilo_byte) March 21, 2024
3つの時代・人生が複雑に絡み合う大怪作。それぞれの感情、過去の記憶を継承(?)するようにして未来へと収束していく多層的な構造、ザッピングのようなモンタージュに振り回されるカオスの快楽。根幹にあるテクノロジーホラーの顔が表出して点と点が繋がる結末に絶句 pic.twitter.com/UgetKNkj2l
横浜フランス映画祭で観ました。
監督は『SAINT LAURENT サンローラン』『メゾン ある娼館の記憶』のベルトラン・ボネロ。
中世から現代、近未来と3つの時代を行き来するSF(?)作品で、どんな話?と聞かれてもこれが説明するのが難しい。
とにかくレア・セドゥ好きにはたまらない映画でした。現時点では劇場公開未定の模様。
かなり考察の余地があるので、ぜひ一般公開にこぎつけて広く観られてほしい作品です。
『すべての夜を思いだす』
#すべての夜を思いだす
— touch (@o_kilo_byte) March 16, 2024
丘陵地を切り拓いたゆるやかな起伏の多摩ニュータウンのランドスケープ、レトロフューチャーな建築が不思議なリズムに。かつてここで暮らした人たちの痕跡、いまはもうここにいない人たちの記憶…時間とともに消えていくものと確かに残るもの。土地の文脈を味わう珠玉の団地映画 pic.twitter.com/J4JeyUt0Z7
多摩ニュータウンを舞台として3人の女性の心の機微を描いた快作。
杉田協士監督の作品や濱口竜介監督の『偶然と想像』などで撮影監督を手掛けた飯岡幸子氏の手腕。冒頭の8の字カメラワークの時点で心をつかまれました。
今回が商業映画第1作となる清原惟監督、これからも応援していきたいです。
MV
星街すいせい『ビビデバ』
VTuberという「ヴァーチャルと現実の狭間にいる存在」だからできるエポックメイキングな作品。
ロトスコープの手法を用いた動きの不気味さ、360°カメラ・自撮りの実写映像にアニメ絵をはめ込むことでうまれる違和感がクセになります。
実写×アニメの融合など斬新な映像表現を得意とする制作ユニット・擬態するメタがディレクションを手掛けています。
インタビュー記事
3月は映画についての鼎談記事2本が特に印象に残りました。
鼎談形式のインタビュー企画、もっと増えるといいな(鼎談は対談以上に座組の人選が大事……!)
特別鼎談 三宅唱×濱口竜介×三浦哲哉偶然を構築して、偶然を待つ──『夜明けのすべて』の演出をめぐって | かみのたね
素晴らしい内容。特に「栗田科学みたいな会社は存在しないと思う」という意見に対する三宅・濱口両氏の回答にグッときて、ますます好きになってしまった
— touch (@o_kilo_byte) March 5, 2024
特別鼎談 三宅唱×濱口竜介×三浦哲哉偶然を構築して、偶然を待つ──『夜明けのすべて』の演出をめぐって | かみのたね https://t.co/0bZaypB9Eu
映画『怪物』クィアめぐる批判と是枝裕和監督の応答 3時間半の対話:朝日新聞デジタル
読み応えある鼎談記事。映画『怪物』が当初クィア性をネタバレ扱いしていたことや決定稿の改変など、この作品に抱えていたモヤモヤをひとつずつ丁寧に取り上げてくださっている。必読。
— touch (@o_kilo_byte) March 15, 2024
映画『怪物』クィアめぐる批判と是枝裕和監督の応答 3時間半の対話:朝日新聞デジタルhttps://t.co/CucsgsKtO9
ライブ・イベント
柴田聡子 Tour 2024 “Your Favorite Things”@恵比寿リキッドルーム
柴田聡子 Tour 2024 “Your Favorite Things”@恵比寿リキッドルーム
— touch (@o_kilo_byte) March 2, 2024
ちょっと良すぎて言葉が出ない。アルバム制作を経た現バンドメンバーが奏でる過去楽曲のサウンドアレンジに感服。「スゴイ!」って叫んでる人いたけど本当にそう。渋谷Spotify O-EASTの追加公演、絶対にチケットとったほうがいいです pic.twitter.com/ZY1UAvF4nC
3ヶ月連続で柴田聡子について触れてます。
新アルバムをひっさげてのライブ、最高のセットリストでした。
新譜はもちろんのこと、過去曲の再解釈が素晴らしくて、他の曲のリアレンジももっと聴いてみたくなりました。
追加公演も楽しみです(チケットは即完SOLD OUT)。
ダウ90000 単独ライブ『30000』
#ダウ90000 単独ライブ「30000」@本田劇場、ゲネプロを観てきた。
— touch (@o_kilo_byte) March 27, 2024
舌鋒鋭い蓮見節が炸裂。十八番のヒリヒリする恋愛ネタからシュールな不条理ネタまでバラエティ豊かなコントの数々。毎度ながら目のつけどころに感心してしまう。
前回公演から半年経たずにこの完成度、蓮見くん…ちゃんと休んでる…? pic.twitter.com/QsBgZATDyz
いや~笑った。蓮見君の視点の"いじわるさ”には本当に惚れ惚れする。
各人のキャラクターがますます粒だっており、単なる「男女8人組コント」ではない彼ら・彼女らだから成立する唯一無二のものになってきていると感じます。
配信もあるのでぜひ(販売期間は4/28まで→好評につき5/6まで期間延長!)。
音楽
Beyoncé 『Cowboy Carter』
もはや説明不要、ビヨンセの新アルバム。
カントリーを基調として、ゴスペル、ヒップホップとジャンルを旅するフルコース。
焚き火を囲むキャラバン、荒野のハイウェイを走る車のカーステレオ……彼女の故郷・テキサスの情景が浮かんできます。
Two Shell & FKA twigs – Talk To Me
ロンドンの気鋭エレクトロデュオTwo Shellとシンガー・ソングライターFKA twigsがコラボ。
テクノ系のアルバムを準備中だというFKA twigsのいまの気分が垣間見える一曲。期待しちゃいますね。
漫画
美しいもの - 鳥井泳
読み切り漫画。
閑散とした美術館の空気、場所に紐づく記憶……。
せつなくもあたたかな気持ちになりました。
振り返り・雑感
・毎年恒例のアカデミー賞受賞予想、今年はまずまずの成績でした。いつか全部門的中させたい
#第96回アカデミー賞 受賞予想 18/23部門的中でした https://t.co/MrVaBoNQCW pic.twitter.com/0YJ07FIIpb
— touch (@o_kilo_byte) March 11, 2024
・結局冬クールのドラマをまともに観ないまま、春クールが始まりました。個人的に楽しみにして観ているのは「アンメット ある脳外科医の日記」と「滅相も無い」です
・何年振りか、朝ドラを脱落せずちゃんと追えている。「虎に翼」は歴史に残る作品になりそうな予感。
・ILIITのMagneticをいま複雑な感情で聴いています……。
・もうすぐ4月終わる。次月はもうちょっと早めに、さらっと書きあげたいな……