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『フラガール』


note  22日目。


本当に大好きで、何度も何度も、繰り返し観ている映画が何本かある。その内のひとつが、


『フラガール』 


昭和40年。福島県いわき市。常磐炭鉱での実話にもとづくお話。

物語は、サナエ が町内の掲示板から『ハワイアンダンサー募集』の張り紙をはぎ取るところから始まる。

いくら手を洗ってもこびり付いた汚れが落ちない。もう18歳。このチャンスを逃してしまっては ””一生ここから抜け出せない ””。サナエは幼馴染のキミコに『ダンサー募集』の張り紙を見せ、一緒に『ハワイアンダンサー』になろうと言った。

時代の波で、エネルギー供給は石炭から石油へと変わり、炭鉱も徐々に閉鎖されていく。炭鉱では 大規模なリストラも決定した。そんな中、会社は『山』を救うため、総工費18億円かけた新規プロジェクトが立ち上がる。それが、


『常磐ハワイアンセンター』


炭鉱から湧く温泉をパイプで吸い上げるのに、年間数億円かかる。それを逆に利用し、大規模な温泉施設を作るという企画。まさに社運を賭けた一大事業。一方、命の危険と隣り合わせの現場で、長年働いてきた炭鉱夫達が、急に『ハワイ』で『山』を救うなんて言われたところで、到底受け入れられない。今まで炭鉱で命を懸けて働いてきた。

『東北のこんな田舎に『ハワイ』なんてできるわけがない』

そんな思いから、会社が打ち出すこの一大事業は、炭鉱夫達から猛烈な反発を浴びる。キミコの母チヨは炭鉱の婦人会の会長。頑固一徹の『山の女』。”” 女は子供を産んで育てて、山で働く亭主を支えるもの。”” それがチヨの信念。


一方、ハワイアンダンスを教えるために炭鉱に呼ばれたのは、元トップダンサーの『平山マドカ』。諸事情があり『山』に流れてきた。洗練された身なりとは裏腹にかなり『やさぐれて』いて、ヤル気はまるでない。

ある日 偶然、マドカがレッスン場でひとり踊る姿を見て、サナエやキミコたちはプロのダンサーになりたい、ダンスを教えて欲しいとお願いする。

キミコは母親のチヨから猛反発され、勘当同然で家を出る。マドカのダンスを見て、もしかしたら自分も『変われるかもしれない、ここから抜け出せるかもしれない』と思った。その想いを聞いたマドカは、絶対口ごたえしないことを条件にレッスンを始める。

その内、親が炭鉱をリストラされたといって、ダンサーを志望する女の子たちが集まり、盆踊りしかしたことのないド素人が、ハワイアンダンサーを目指して本格的なレッスンがスタートする。

生きていくために『ハワイ』を選ぶ人がいる一方で、あくまで『炭鉱』にこだわる人もいる。

『ハワイアンセンター』vs『炭鉱』

それぞれの人の想いが交錯する。レッスン場では、素人同然だった女の子たちはマドカの元で泊まり込みで毎日練習に励み、どんどん上手くなっていく。そんな中、サナエの父が炭鉱をリストラされ、夕張の炭鉱に移ることになった。

ずっと一緒に育ってきた幼馴染との別れ。キミコは練習に身が入らなくなる。全国キャラバンツアーを明日に控え、”” どんなに辛くても、プロのダンサーは舞台の上では笑顔でいるもの ”” というマドカに反発し、練習場を飛び出すが、兄のヨウジロウから ”” 一度自分で決めたことだ。最後まで先生を信じて着いていけ ””と励まされ、マドカの元に戻る。

全国を巡るキャラバンツアーの間、女の子たちは、色々な失敗や辛い別れも経験し、お互い助け合いながら立派なダンサーへと成長していく。そして、彼女たちの想いと頑張りは『炭鉱』側の人たちの心を変えていくことになる。


ある日、キミコ宛にサナエから届いた小荷物を、チヨは練習場まで届けに行く。そこでチヨはひとりでソロパートを練習するキミコのダンスを見る。音が消え、ひとつひとつの動きに引き込まれる。


『ハワイアンセンター』では温水パイプの引き込み工事が遅れ、ヤシの木が寒さで枯れそうになっている。組合の力で何とかストーブを集めて貸して欲しいと土下座をして頼む人を『炭鉱側』の人たちが取り囲み、だから初めから無理だといったんだと蔑む。

そんな中、チヨは率先してストーブを集め始める。

仕事は暗い穴の中で命がけで必死になってやるものだと思っていた。自分には無理だけど、あの子たちなら、新しい時代を作れるかもしれない。こんな木枯らしでくらいで、あの子たちの夢を潰したくない。

チヨは、気でも触れたかと批判する『炭鉱側』の人たちにストーブを貸してあげてほしいとお願いして回るようになった。

沢山のストーブで暖められた『常磐ハワイアンセンター』は、無事にオープン日を迎え、大勢の観客の中、『ダンサー』になった彼女たちは最高のショーを繰り広げる。


最後のダンスシーンは本当に見ごたえがあります。主役のキミコを演じる蒼井優さんのソロダンスは可愛らしく妖艶。踊り終わった後、周囲の声が消え、ダンサーの女の子たちがポーズをとりながら涙を流すシーンは、何度観ても泣いてしまいます。

松雪泰子さんが演じるマドカと女の子たちの友情や、不器用だけど、実はとても愛情深いマドカが人として成長していく姿が描かれ、

女の子たちのひたむきな想いが、なかなか変わることのできない大人たちを変えていく映画。

『人』は急には変われない。でも、人を動かすのはやっぱり人の『想い』。

それを教えてくれる映画です!!



是非、一度観てみて下さい。本当に本当におススメです(#^^#)


今日も一歩前へ。



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