継続は力なり **奇跡のカンパネラ**
note 31日目。
私がいつもお世話になっているネイリストのマツモトさん。お子さんも手離れ、50歳を過ぎてからネイリストになろうと一念発起して、資格まで取った。
そんなマツモトさんは、好奇心旺盛で楽しいことや、面白いことにとても敏感。だから、ネイルをしてもらっている間はずっとおしゃべりタイム。ある時、テレビの話になり
『 じゅんこさん、『ラ・カンパネラ』を弾く漁師さん 知ってます?』
漁師さんが『ラ・カンパネラ』を弾く?
聞いてみると、明石家さんまさんの『 あんたの夢かなえたろかスペシャル 』という番組で観たと話してくれた。
海苔漁師の徳永さんは、パチンコが趣味で海苔漁のオフシーズンはいつもパチンコ三昧。負けてしまうことも多く、自分のお小遣いはすぐに使い切ってしまう。ある時『もともとは自分で稼いだお金だから』と奥さんのお財布に手を出した。するとお札と一緒に『 取るな!!』と書いてある紙切れが入っており、それからというものパチンコを辞めた。趣味のパチンコがなくなってしまい、こころにぽっかり穴が開いたようになってしまった。
そんなある日、テレビで『フジコ・ヘミング』さんの『ラ・カンパネラ』を観る。テレビから流れてくる 今まで聞いたこともないクラッシック音楽に心を奪われた。音色がものすごくキレイで『自分も弾きたい』と思ってしまった。
当時、徳永さんは52歳。今までピアノに触ったこともなければ、当然楽譜も読めない。今までクラッシックなんて全く興味もなかった。
『ラ・カンパネラ』はプロのピアニストでも敬遠する超難解な曲。
音大出身の奥さんから、100%絶対無理と言われながら 練習を始める。楽譜の読めない徳永さんの練習方法は、弾く鍵盤が光るYouTube動画を観ながら、ひたすら指に記憶させるというもの。それからというもの7年間、毎日7~8時間ピアノの前に座り続けた。
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番組は、徳永さんの妹さんからの依頼で、兄の弾く『ラ・カンパネラ』をフジコ・ヘミングさんに聴いてもらいたいという。
徳永さんは フジコさんの演奏会に行く。演奏会が終わると、フジコさんのマネージャーさんに会うことが出来ると言われ、控室に出向くとそこにはフジコさんの姿が。驚きと嬉しさのあまり涙を流す徳永さん。そこで、思い切って自分の弾くカンパネラを聴いてもらいたいと伝えると、フジコさんは、
『もちろん聴きたいです。あなたがカンパネラを弾くなんて不思議です。』
喜びを隠せない徳永さん。そしていよいよ、憧れのフジコさんの前で 徳永さんの演奏が始まる。太い指で、丁寧にやさしく鍵盤をたたいていく。始まりは繊細に。中盤からの鍵盤を大きくまたぐ超難解パートは軽快に。終盤はダイナミックに。本当に、魂の演奏。
弾き終わると、フジコさんは拍手しながら『 ブラボー!!』と言って称賛した。
最後に、カンパネラのエンディング実演をしてみせたフジコさんに『かっこよかですよね!』と笑顔で言う徳永さんがすごく可愛らしかった。
途中、徳永さんの印象的だった言葉。
『すべてのことを犠牲にして練習したし、誰にも練習量では負けんし、やる気でも負けんち 思うとばってんが、まさかフジコさんに逢えるち思わんかった。やっぱり年食っても、夢ば追いかければつかまる。』
奇跡の、そのまた遥か先の奇跡が叶ってしまったと話す。
『継続』があり得ないことを成し遂げるチカラになり、奇跡まで起こした。
フジコさんは『音にはその人のこころが移る。』という。
徳永さんのカンパネラは、ちょっと不器用で、こころがじわっと温かくなり、聴いている内に自然と涙が溢れてくる。
きっと、そこには徳永さんが初めてフジコさんの『ラ・カンパネラ』を耳にした時の感動と、血のにじむような努力と この曲に対するオモイがこめられているから。
徳永さんはフジコさんのカンパネラが世界一好きと言っていたけれど、私は誰の演奏より、徳永さんのちょっと不器用なカンパネラが好き。
一度、生演奏を聴いてみたい。
きっと、YouTubeで観るのと比べモノにならないくらい感動するんだろうな。
https://www.youtube.com/watch?v=5jribFOthfI&list=RD5jribFOthfI&start_radio=1&t=7
継続は力なり。今日も一歩前へ。