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【名作迷作ザックザク⑯】祝!DVD化! 都会と男に疲れたうら若き女性教師が赴任した未開の村で遭遇する神秘、果たして村人は彼女を... 巨匠F・F・コッポラ製作総指揮のカルトTVM『不思議な村』(1971)が誘う摩訶不思議な世界
結論から言おう!!・・・・・・こんにちは。Σ(OдO;)
昨日が"海の日"ということで海の思い出といえば、小学生の頃の夏休みに伯母の家の近隣の海水浴場に連れて行ってもらった際、沖合まで泳いでいたら〇〇〇が浮かんでいるのを偶然発見してそれを水掻きしながら浜辺まで打ち上げさせたこと、O次郎です。
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打ち上げさせた後、僕より小さい男の子が「ナニコレ??」って近寄って行ってた…。
ちなみにザコシさんの”誇張し過ぎたモノマネ”シリーズでは松居一代さんのヤツが断トツ好き。
今回のお題は1971年製のカルト作『不思議な村(別題 : SF超能力者の村・消滅惑星ザイラスの秘密)』です。劇場公開作ではなく、TVM(テレビムービー)あるいはテレフィーチャーと呼ばれる"テレビ映画"の作品です。ネタバレ上等な別題がいかにもテレビフォーマットっぽいですね。
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『激突!』も元々はTVMで、その評判の良さから後に劇場公開されたとかなんとか。
本作、70,80年代に日本でも映画枠でテレビ放映されたようですが自分は世代ではなく、知ったキッカケは主演女優のキム=ダービーさんでした。
本作同様に彼女が主演かつ同じくTVMの『地下室の魔物』というカルト作品が有り、長年ゼヒ観たいと思っているのですが邦版DVDがプレミア化しているうえにレンタルやサブスク配信もされておらず、情報を探しているうちに同じ女優が主演の本作を知り、ついこの間に邦版ソフト化されたということで手を出してみた、という次第なのです。
※堂々のプレミア価格!! ・・・作品の存在に気付くのが遅かった。
同レーベルがリリースした別のカルトTVM『のぞき魔! バッド・ロナルド/
十代の異常な欲望』は以前なんとか手に入れましたが。
※上記版よりさらに数年前に別作品とカップリングしたものも出てるけどそ
ちらも漏れなくプレミア化…。いっそのこと、米国版Blu-rayで我慢しちゃうって手も有るけども。
F・F・コッポラ監督による『ゴッドファーザー』シリーズよりも前の時期の、それも初製作総指揮の作品ということで、周縁情報だけでも貴重作。
しかしながら、内容としても”閉鎖された集落に一人の異邦人が訪れる”という典型的な田舎ホラー設定で現に中盤まではホラーテイストを含みながらも抒情的なシーンと音楽も挟みつつ、ラストは意外ながらもどことなく含みの感じられる幕切れはなかなかどうしてです。
カルト作品好きな方々、そして特に「あの監督がこんな作品撮ってた」いわば”黒歴史”的な作品に辛抱堪らん方々(CSの「ザ・シネマ」の『町山智浩のVIDEO SHOP UFO』ってなんで終わっちゃったんや…)、読んでいっていただければ之幸いでございます。
それでは・・・・・・・・・・・・シュ~~~~~~ッッ!!!
※画質は・・・なVHSクオリティーながら、なんと低価格レーベルにも関わらず吹替版音声も入ってる!!
ネタバレ避けたい方は是非ともご鑑賞後に読んでね。
Ⅰ. 作品概要
※英語版の記事しか無いため、翻訳等でご覧ください。
監督のジョン=コーティは主にテレビ映画やテレビドキュメンタリーの畑の人のようで、『スターウォーズ』のスピンオフ作品なども手掛けているようです。
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劇場用映画は数えるほどしか撮っていないようですが、
その中でも評価が高かったと思われる作品がコチラ。
遺族支援士官が戦死した黒人軍人の埋葬地を巡って直面する差別と偏見。
そこから渦中の軍人と同じチームに居た兵士へのインタビューに展開するところが
ドキュメンタリーで鳴らした監督らしい趣向になっているようです。
モーガン=フリーマンが微妙に若いなぁ・・・。
作品自体知りませんでしたが国内ソフト化もされてるようですのでチェックします。(9`・ω・)9
で、主演のキム=ダービー嬢ですが、田舎の原風景の中に溶け込むような素朴な美貌が魅力的です。当時20代半ばでなかなかにスレンダーながら露出は控えめで、美貌のほどで言えばむしろ実年齢が彼女より10ほど上で、謎めいた"長老"役のダイアン=ヴァーシの方が際立っていました。
がしかし、セクシュアルなニュアンスが抑えられたキム=ダービーのビジュアルには清潔感とともに無垢な少女のような魅力も有り、無表情な村人たちの中に在って観ているこちら側に不安感と疎外感を惹起するのに成功しています。
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かなりボーイッシュなヴィジュアルだったのに対し、本作では至ってフェミニンな印象。
一方で主人公以外で唯一の異邦人である町医者役のウィリアム=シャトナーはおそらくは本作のキャストの中で当時一番著名な俳優だったということもあってDVD表紙画像にも採用されているものの、作中での扱いが微妙なのがなんとも勿体ないところ。おそらくは主人公と恋仲に発展しそうになりつつも村人たちの特殊能力を世間に敷衍させるか否かを巡って対立するドラマだったと思うのですが、尺の都合で一番キャラクターとしての旨味を削られた一人だと感じます。
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アーネスト=ボーグナイン演じる邪教集団の首魁に
何世代も前から呪われ続ける悲運の一家の一人息子役。
全尺僅か74分・・・ということで、おそらく本国ではCM含めての90分枠で放映されたのだと思います。
ラスト間際の”村人たちは異星人の末裔だった”という結末が唯一にして最大のビックリ要素であり、それ以外はわりとのんびりとした牧歌的な雰囲気とある種浮世離れした画造りが目立つのですが、それこそは限られた尺の中で製作陣がストーリーの面白さよりも優先させた結果ということなのかもしれません。
Ⅱ. ストーリー展開と見どころと連想と
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現職者の高齢による引退を機に出された僻地の教職の募集を見て決心し、
バスで村を訪れるところから物語が始まります。
転任に反対する恋人と、それを振り切って別れを切り出す彼女との過去のやり取りが
バスの車内シーンで音声のみで流れる演出が秀逸です。
いろいろと想像が膨らみますが、個人的には"彼女が前の学校で女性であるがゆえに
能力を過小評価されて差別も受け、それと全面的に戦おうとしたものの、
同僚でもある恋人の執り成しで波風立てず結局矛を収めてしまった"というところだと思います。
人付き合いや喧騒を嫌がる姿にいきなり世捨て人のような諦念を感じさせます。
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(荷物の中の雑誌を秘かに処分される、というどこかの北の国のような隔絶感は有りつつも)、
翌朝の初登校は保護者連れ且つ皆一様に無表情という異様な光景。
新任の主人公を品定めするような視線が不気味で不穏。
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後のスペイン映画『ザ・チャイルド』(1976)を想起させられたり。
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歌を歌わず、ゲームにも興じず、楽器にも興味を示さない。
おまけに常に擦り足で歩くなど、異様な慣習を頑なに守り続けている。
その様子に当初は戸惑うメロディーだったが、村のルールより子どもの自主性を尊ぶ彼女の教育に
徐々に子どもたちが下界の子どもたちのように生き生きとしてくる。
ちなみに終盤、彼らが異星人であることが判明して後に課題として書かせた
「故郷の思い出」の絵は非常に幻想的で一見の価値アリ。
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自由と笑顔を取り戻す・・・まさに『サウンド・オブ・ミュージック』(1965)を彷彿とさせる。
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病気に罹らない驚異の健康体である村の人々の秘訣が村の水にあると睨んで調査するが…。
一般的な田舎ホラージャンルのセオリーだと村の秘密を守るために村人に謀殺されるところだが、
本作ではそのような不穏な動きは無いので半分安心、半分残念。
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主人公から貰ったハーモニカでこっそりと哀愁に満ちたメロディーを奏でる少年。
※このハーモニカの曲がなかなかに切ない名曲。
それを契機に地球に来る前の完成をすっかり取り戻し、楽しそうに空中浮遊する。
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結局は自分も楽しそうに浮遊する女の子。
※浮遊描写はなかなかしっかりしてて、雑なワイヤーアクションではないのがポイント。
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主人公が必死に長を説得して彼らの精神分離の秘術を応用して一命を取り留める。
ラストにその献身的且つ異星人に友好的な人間性を認められてパーティーに招かれるメロディ。
その特異な能力ゆえに周囲の人間から魔女狩りの憂き目にあった彼らの先祖の
受難の歴史を鑑みてそっとしておこうとするメロディと、
医師として彼らの技術を医学の発展に繋げたいと彼らの了承を得たカーティス博士。
一応はお互いの考えに歩み寄って理解を示し、
パーティーに向かうところでエンドロールとなりますが。
果たして彼らのように世間の誰しもが異邦人を"同胞"として扱ってくれるのでしょうか…
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予想というか期待してしまうんだよなぁ・・・。
"わたしの悪いクセッッ"
Ⅲ. まとめに
というわけで今回はTVMまたの呼び名をテレフィーチャーの隠れた秀作『不思議な村』をご紹介しました。
特にテレビが主たる娯楽だった70年代には毎週毎日のように映画枠が存在し、高い視聴率を背景に日本語吹替等含めて潤沢な予算が組まれていました。そんな状況の中でメジャーな海外映画作品は資金力が豊富な大企業が放映権を買い取り放映していたようですが、それに対して中小は単価の安い海外のテレフィーチャー作品に目を付け、低予算ながら秀逸なストーリーやトラウマティックな画が印象的な知られざる作品の数々が当時の映画フリークや映画少年の脳裏に刻み付けられたようです。
さらに80年代に入ってビデオバブルが起きると、店の棚を埋めるためにそうしたテレフィーチャーの秀作や映画の駄作も次々に権利を買われてソフト化されたようで、今は今で配信サービス各社の独自コンテンツ等が有るとはいえ、当時の活況を知らない世代として羨ましい思いは厳然として抱きます。
※こういう当時のVHSソフトの中に入ってる「作品紹介」の映像も懐かしい
上述のように、本作は一応はハッピーエンドで幕を閉じます。
もしもう2~30分尺が有れば血で血を洗う陰惨な結末を迎えたかもしれず、ホラーとしてはそちらの方が正解だったかもしれませんが、露悪的な展開と結末の作品がごまんと溢れる今日においては却って本作のどっちつかずのエンディングは余韻を残します。
不気味な雰囲気の中にも抒情に富んだ風景と人々の姿、そして時折流れる郷愁を誘う劇伴の織り成すコントラストは、理想的とは言えない製作体制の中でなんとか一点集中で印象的な作品を生み出そうとした製作陣の努力がそのまま顕れているようです。セル版と同時にレンタルも開始されたようですので、カルト映画好きには迷わずおススメしたいところです。
他にも一風変わった知られざる秀作をご存じでしたらコメントいただければ恐悦至極にございます。
今回はこのへんにて。
それでは・・・・・・どうぞよしなに。
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それをやると一気に時代が出ちゃうわけで。
まぁ、それ以前に着ぐるみや特殊メイクの予算が無かったんだろうけども…。
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