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【テレビっ子アゲイン⑥】~夏休み企画、その3~ 愛こそすべて!! 女の情念に勝る奇跡無し... 土曜ワイド劇場『京都妖怪地図』シリーズ(1980~1994)
結論から言おう!!・・・・・・こんにちは。( ^∀^)
先日、再放送が北海道の地震速報で中断されたNHK銀河テレビ小説『まんが道』の第10話~最終15話の仕切り直し放送が8/28(日)午後3時50分~5時50分に決まったと聞いた、O次郎です。
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後半分振替放送日程のアナウンス一週間程有りませんでしたがそこまで枠がギッチギチなのか…。
今回もいつもの映画の話題はいったんさて置いての夏休み企画ということで、夏といえばやっぱりホラーなTVドラマの土曜ワイド劇場『京都妖怪地図』シリーズについて感想を書いてみようと思います・・・ホントはお盆休みの内に書き上げたかったんだけど延びちゃいました。
京都を舞台にした連続殺人の裏に潜む謎の美女…練られたカットに創意工夫の凝らされた当時の特殊メイクと特撮表現の数々。
超常現象主体で放送枠本来のミステリー要素は控えめながら、愛に生きる女性の狂おしいまでの情念にフォーカスした物語の数々はなかなかどうしてリアルタイムで観た視聴者の脳裏に刻まれ、根強い人気のあるシリーズのようです。実際、僕もCSの再放送で観た次第です。
全六作を出来るだけサラッと紹介するつもりですので、未見で興味のある方々も読んでいっていただければ之幸いです。
それでは・・・・・・・・・・・・・・・ンマ~イ!!!
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WEBでお名前検索してみたら予測変換で出て来てやっぱりと思いましたが、
今でいうと満島真之介さんに似てらっしゃいますよね。特に横顔なんかソックリで・・・。
Ⅰ. 「土曜ワイド劇場」について
まず自分としては少年期だった90年代後半までは基本的に同時間帯は日テレのジャニドラ枠ドラマ(主に「週刊少年マガジン」原作のドラマを放送。堂本剛さん主演の『金田一少年の事件簿』や松岡昌宏さん主演の『サイコメトラーEIJI』など)を視聴するのが通例になっており、友人との話題の一つでもあったので他の番組という選択肢は無かったように思い出します。
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時に凄惨な殺人シーンも散見される同枠の作品の中でそうした描写は控えめながら、
何の特殊技能も無い平凡な主人公が偶然手にした透明人間の薬を巡って追いつ追われつする
1クール全13話ひとつなぎの物語がなかなかどうしてしっかりしていました。
そしてこの枠がいったん終了した頃は高校生になっていて、先生やら親やらに煽られながら大学受験のための勉強が至上命題になっており、特に土曜日は毎週のように模試のために学校に行っていてその夜は自己採点の時間だった思い出です。
ちなみに私は小学校五年生の時から隔週週休二日制、高校二年生の時から完全週休二日制に移行しましたが、高二の時はそれを受けて宿題がかなり増えたうえに平日の授業時間が増えたため、なんだかなーでした。
話を戻すと、『土曜ワイド劇場』枠のドラマは母がよく観ていました。土曜夜の勉強の合間やお風呂上がりに居間を横切るとよく母が「もう犯人判った~」みたいに呟いていたのを思い出します。
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渡瀬恒彦さん・・・バラエティーとかのイメージが無いからか、
世代でない自分にはとんと親近感に乏しいです。
後年観たお若い頃の『実録 私設銀座警察』や『仁義の墓場』の狂態の演技は凄まじかったけども。
その後、大学生になって時間が出来ましたが、幼少期から伊東四朗さんが好きだったこともあって、いまだに枠を変えて継続している『おかしな刑事』シリーズは観るようになりました。感性的に尖っている時分なので本来はカルトな作品、強烈な作品を貪るように探していましたが、あの作品はその対極のようなゆる~い雰囲気こそが魅力であり、それを若い身空でも楽しめたのは偏に伊東四朗さんの老若男女に響く抜群のコメディアンぶり在ってのものだと思います。
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それどころかメインキャラだった石井さんも登場しないのがちと残念。
まぁそのへんは長寿シリーズゆえの宿命でしょうか。
旅行先の旅館や郷土料理の紹介が挿入されるのもほほえましい。
伊東さんの娘さん役の羽田美智子さん、今でも本当にお綺麗ですよね。
あとは、時代を遡ると初期の本枠のヒットシリーズである天地茂さん主演の「江戸川乱歩の美女」シリーズでしょうか。
近年、CSで同じく天地茂さん主演の刑事ドラマシリーズ『非情のライセンス』がヘビロテされていることもあってその独特の美貌にシリアスな中での絶妙なコミカルさ、脳裏に響く美声で虜になりまして、円盤や再放送、配信で「美女」シリーズも観てみた次第です。
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"新東宝出身"という時点でなんかもうカッコいいですよね。
特撮と脚本の細部がちとチープさを感じることもあったけど、それも味か。
主要視聴層が主婦だったというのにもかかわらず女性のヌードを多用したというのも斬新。
というわけでそんな硬軟併せたいろんな作品が放映されていた「土曜ワイド劇場」枠で放映されたシリーズの一つの「京都妖怪地図」シリーズです。
Ⅱ. 「京都妖怪地図」シリーズ各作品
ちなみにWikiでは"第7作「和久峻三ミステリー 京都セクシー妖怪殺人案内〜嵯峨野に棲む吸血美女の復讐!」(1997年)"も含まれておりますが、どうやらDVD-BOXには含まれていないようで、私が観たCSでの再放送でもラインナップに含まれておりませんでしたのでそちらは今回割愛させていただいておりますので悪しからず、ということで。
第1作「嵯峨野に生きる900歳の新妻」(1980年)
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彼女の何百年の想いに数瞬でも寄り添うラストは切ないものでした…。
(あらすじ)
900年前、平安京に住む機織り女の香織は宮大工の四郎と結婚したが、四郎は仕事に行ったまま帰ってこず、香織は白髪になっても待ち続け、若い男の血を吸うことで若さを保っていた。時は流れ、妖怪と化して現代まで生き続けた香織は、今でも次々と恋人を取り換えてはその血を吸って生きながらえている。ある日、香織は、900年間待ち焦がれている夫・四郎と瓜二つの男性、城崎と出会う……。
男性の失血死が多発し、その疑惑の先に居る香織の妖艶さに惑い、恋人を病院送りにされながらも、城崎は敢えて彼女の懐に飛び込んで真相を追う。
吸血ものとあって、てっきり「幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形」や怪奇大作戦の「吸血地獄」のように心中する結末かと思いましたが、主人公の誠意に彼女が何百年もの妄執に折り合いをつけて彼の腕の中で息を引き取る展開はあまりにも美しく…。
終盤、自分の正体を知られて城崎を手に掛けようとするも思い留まり、彼にその姿を見られまいとする姿はなんともいじましいものでした。
余談ながら城崎を演じる三田村邦彦さんも作中の他の若い男性も、髪型からしてみんな西城秀樹さんにしか見えないのはやはり世代じゃないからでしょうね…。
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"男を待ち続ける女"というと思い出す作品はコレか。
この作品のように自分から追い駆けずに待ち続けた、というのがいかにも日本的というか。
追い駆けた末に絶望が待っているのと、いつまでも希望を捨てず待ち続けるのとどちらが酷か…。
第2作「きらら坂に住む400歳の氷女」(1981年)
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宇津宮雅代さん演じる沙織の色香にズッポリはまり込んでる様が
なんとも滑稽だったりします。
(あらすじ)
洛北きらら坂近くで若い修行僧の凍死体が発見された。京都府警の早川刑事は、この真夏に凍死という点に疑問を持ち、低温科学研究所に勤める甥の三郎にたずねる。その後まもなく三郎の父、孝吉の凍死体が発見され、早川刑事は最近孝吉がデザイナーの沙織と親密だったことを知り彼女に疑いを向けるが、不審なところは見つからない。三郎は沙織に近づき父の死因を探ろうとするが、逆に彼女の妖しい魅力のとりこになってしまい……。
一定時間暑い環境に居るとその身を保てない、雪女ならぬ氷女が一人また一人と男をその手にかける・・・。普段の容姿から氷女への変容や氷室内での恐怖演出等、特撮的にはシリーズの中で本作が出色だと思います。
クライマックスでは名高達郎さん演じる三郎が氷女・沙織を砂丘に誘い出しての水封じ+ナイフで一刺し・・・。妖怪相手になかなかどうしてエグい攻撃ですが、沙織の死に際の昔語りに耳を傾けます。
曰く、公家の寵愛を受けた白拍子だったもののその公家の出世のために他所の男の夜伽に供され深く傷付き、その後求愛を受けた面打師の孫四郎に百四通いを願い出たものの九十九夜にして行方知れずになってしまい、その想いが断ち切れずに氷室で四百年余りを生きながらえて…。
孫四郎の生まれ変わりである三郎に巡り合えたものの、彼には既に想い人が居りしかもそれは沙織の妹の生まれ変わり。生きることに執着した自分が未来永劫真実の愛を得られず、天寿を全うした妹が現代に生まれ変わって自分の想い人と愛を育んでいる。過去の身体目当ての男たちと違って、男性の真実の愛を目の当たりに出来たわけですが、悲しいことにその愛の矛先は彼女ではなかったわけです。
醜い正体を彼に晒してしまったことで「見ないで!」と狼狽える彼女でしたが、三郎に抱きかかえられて向かった砂浜で、彼の腕の中で最期を迎える姿は得も言われぬ余情を感じさせます。
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世代的にはジェットマン思い出しちゃうんだなぁ…。(´・ω・`)
第3作「鳥辺山に棲む八百歳の女子大生」(1985年)
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本作では妖怪は彼女ではなく手前の斉藤林子さんの方。
主人公を独占しようとするその歪んだ愛に背筋が凍ります。
(あらすじ)
鳥辺山から古い人骨を発掘した歴史学助教授のまつ子に、教え子のすず子が接近、やがて二人は愛し合う仲に。まつ子にライバル意識を燃やす助教授・なおみはスキャンダルでまつ子を追い落とそうと知り合いの記者にまつ子とすず子の寝室を盗み撮りさせる。しかし、そこに写っていたのは…。
愛する女性と添い遂げたい一心で何百年も待ち続けた女性。現代の世とて未だ道ならぬ恋ゆえに彼女との恋路は秘めて放たじ。もしそれを暴く者があればその時は・・・・・・。
今回紹介するシリーズの中で本作のストーリーが一番の出色だと思います。渦中の妖女すず子は己の恋路を邪魔するものを躊躇無く排除しますが、その一方で主人公まつ子も幼少期に自分を育ててくれた姉を溺愛するあまり男と逢引きする姉をその手にかけた忌まわしい過去を持っており、男社会である大学教壇への未練を捨て去って、二人で入水して心中する道を選びます。
何百年経っても結局、現世で添い遂げることが叶わなかったことは大いなる皮肉ですが、その道ならぬ愛ゆえに二人の交感はなんとも淫靡なエロティシズムに溢れています。三ツ矢さんは『江戸川乱歩の美女シリーズ』、斉藤さんは『丑三つの村』等でその媚態を披露しているだけあって堂々たるものです。
途中、主人公の出世を邪魔しようとする同僚女性講師の妨害や中年恩師からの求婚のくだりは昼ドロみたいなしみったれた印象でいただけないのですが、お互いの性と業を認め合い、己の信ずる愛を全う出来ないこの世に別れを告げる潔さはどこか浮世離れした気高さがあります。
そして全く関係無いですが、僕の生まれた年の放映です。(´・ω・)
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第4作「河原町に棲む四百歳の不倫女医」(1986年)
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中山仁さん演じる洋平が下手感があって特にクライマックスあんまり締まらないというか…。
メガネ姿の三ツ矢さん、素敵やん。
(あらすじ)
三条河原で京都府立鳴滝医科大のラグビー部員・徹の変死体が発見された。死因は突発性ホルモン異常分泌だという。検死にあたった鳴滝医大の外科医長・涼子と、執刀した医師・洋平との間で意見が分かれた。涼子は病死、洋平は他殺だと主張する。死体に口紅がついていたことから、洋平はその口紅の分析を始める一方、京都府警の早川に被害者の女性関係を洗うよう頼んだ。そんな時、洋平の妻・芳枝が自宅の庭で幽霊と出会い、ショックで失神するという事件が起こる。
今回の六本の中では個人的にこれが一番イマイチだったかも・・・。
"常に湿度を保っていないと皮膚が干からびてしまう"という妖女のビジュアル的な恐ろしさが今一つだし、無理くり医療と結び付けようとした感が有ってホラー・怪奇の趣旨から些か逸脱しているような。
他作では超常現象に対しても鋭く冷静に犯人を追いつけてくる警察が本作ではへっぴり腰が目立ち、作品全体の緊張感が薄いのが玉にキズ。
そして妖女涼子に生気を吸い取られた男性の抜け殻の死体がメイクではなく人形というのがまた・・・・・・上記の『江戸川乱歩の美女』シリーズや大林宣彦監督の『可愛い悪魔』での死体もそうだったけど、この時期の演出のお約束なのかなんなのか。
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第5作「嵯峨野に生きた900歳の美人能面師・葵祭りの夜にせつなく濡れて…」(1993年)
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お顔も佇まいも柔和過ぎてやや凄みに欠けたかもしれません。
そこがまた秘められた過去の不器用さを忍ばせるのですが。
(あらすじ)
ルポライターの志郎は、京都の女流能面作家・しのぶを取材したばかりに不思議な事件に巻き込まれていく。志郎に殺意を持つ男たちの奇怪な死にざま。妊娠中の妻・祥子を恐怖させる怪奇現象。京都府警の大山刑事はしのぶに疑惑を抱く。実は、しのぶこそは900年前、神に仕える身でありながら男性を愛したばかりに殺された斎宮の死霊だった。
本作は何より、あの石原良純さんが妖女の相手役の二枚目ポジション、という一点に於いてつい笑みがこぼれてしまいます。(失礼)
たしかに天下の石原軍団出身ですし、昔から今のバラエティー番組で見せるような豪放磊落な印象でなかったのはわかってはいるのですが・・・。
ちなみに今作から90年代の作品ですが、本作以降は特撮らしい特撮が使われておらず、妖術は桜吹雪のみという簡素なものです。その点、看板タイトルは継承しているものの特撮的な楽しみが削ぎ落されたのはちと残念。
また、1作目から4作目まで刑事役だった遠藤太津朗さんが『裸の大将』シリーズでお馴染みの芦屋雁之助さんにバトンタッチしており、老獪で狸然とした遠藤さんに対して普段はこの上なく柔和ながらも追いつめる時には眼光鋭い雁之助さんの威気もクライマックスの大きな見どころです。
余談ながら良純さんの奥さん役で未だ20代の頃の高島礼子さんが出演していますが、京都弁がなんとも可愛らしい限りでした。
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第6作「時空を超えて時代祭に甦る愛の伝説!1200歳の美女VS.霊感デカ」(1994年)
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(あらすじ)
794年の平安建都に愛を誓い合った二人、カナとタカは、三人の男たちに襲われ、タカは殺害、カナは犯され龍神の滝に身を投げる。時は流れて1200年後の現代。輪廻転生、タカは建築家・靖孝に生まれ変わり、龍神となったカナは篠笛師・佳耶となって1200年待ち焦がれた靖孝と再会する。しかし靖孝にはすでに愛する病身の妻が……。
「霊感デカ」ってのは前作から続投の雁之助さんのことですが、オンシュラソワカ的なことをやるんではなくて単に勘が鋭いぐらいですので悪しからず…。
今作での妖女佳那を演じる萬田久子さんの相手役は美木良介さんですが、彼の頭は病身の妻で一杯なのでそこでの鬩ぎ合いのドラマはドラマは薄く、その代わりに萬田さんの色香に惑わされた男たちとの嬌態や雁之助さんと娘さんとの親子二人暮らしのコミカル描写に力が注がれています。
クライマックスも妖女と相対するのは雁之助さん演じる大山刑事の方で、己の職はさて置き、悠久の歴史を持つ京の地の引き起こす摩訶不思議にどっしりと向き合い、妖女を看取る貫禄は流石です。
前作では大山刑事と奥さん役のあいはら友子さんとの年齢的ビジュアルの差に最初は親子なのかと思ってしまいましたが、本作の西部里菜さんはさすがに娘役でした…。
※こちらがこの6作目の主題歌。シンセの音にどうにも時代を感じるのは当然としても、冒頭の1200年前の回想のシーンにこれを流すセンスは如何なものか・・・・・・。しかもEDテーマもコレなんだけど、雁之助さんと萬田さんが最後に擦れ違う余情がこの爽やかさに持ってかれてしまうんですわ。
まぁ当時のタイアップか何かでしょうし、『火サス』の「聖母たちのララバイ」みたく権利関係で再放送時に差し替えられたりしたらそれはそれで"オリジナル通り放映してよ!"となるでしょうが。
Ⅲ. おしまいに
というわけで今回は往年のTVドラマの土曜ワイド劇場『京都妖怪地図』シリーズについて感想を認めてみました。
なんというか、当初思ってたよりは怪奇特撮ものというよりは男女の愛憎劇がメインでしたね。まぁそもそものこの枠の視聴層に鑑みれば宜なるかな、というところですが。
個人的なおススメ度としては、
第3作 > 第2作 > 第1作 > 第6作 > 第5作 > 第4作
という感じかと思います。
もう少し時代を遡った同じ土ワイ枠の円谷プロ制作の「白い手 美しい手 呪いの手」や「怪奇!金色の眼の少女」等の怪奇作品も取り上げたいところですが・・・ソフト化なりウルトラサブスクへのラインナップ追加なりしてくんないかな。
往年のTVの怪奇ドラマでおススメのものがございましたら是非ともコメントいただければ恐悦至極にございます。
今回はこのへんにて。
それでは・・・・・・どうぞよしなに。
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