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【配信を拝診⑭】罵倒されて仕事を覚えた人は自分が教える際にも罵倒する... 暴言とクスリと酒に塗れた厨房は"普通"なのか? 会社経営にも通ずるDisney+独占配信ドラマ『一流シェフのファミリーレストラン』の人間模様

 結論から言おう!!・・・・・・こんにちは。(*´・∀・*)
 今日が『スプラトゥーン3』の発売日らしいけどそういえばシリーズ全くプレイしたことない、O次郎です。

これに限らず、初代作からゲーム性が完成されてるシリーズは必ずといっていいほど
"前作のほうが楽しかった"っていう声が相当数出てくるから難しいもので。
新しいキャラやら装備やら増やしてバランス調整すると割を食う既存キャラが出たり、
容量の関係で人気だった要素がオミットされたり・・・。
結局、完全新規タイトル作る場合と比べて気苦労的にはどっこいどっこいだったりするのかな?

 今回は先月末からDisney+で独占配信開始となった海外ドラマ『一流シェフのファミリーレストラン』です。
 先日のTBSラジオたまむすび』内の「アメリカ流れ者」コーナーにて町山智浩さんが紹介されており、さっそく配信中のシーズン1(全8話)を鑑賞してみた次第です。
 高級レストランを訳有って辞めた若きシェフが亡き兄の残した破綻寸前のサンドイッチ店を立て直そうとするが、多額の借金や建物の老朽化、さらには新旧スタッフの深刻な軋轢等の問題が山積なうえにシェフ自身も爆弾を抱えており・・・
 あらすじを見るだけでも胃がキリキリしそうですが、全体としてはコメディータッチです。元から複数シーズン前提での制作予定だったからか、今回のシーズン1ではほぼ何も解決せずに終わってしまっており、そういう意味での爽快感は無いのですが、そもそも現実であればそんなに簡単に解決する問題ではなく、"作中であまりにも次から次へと矢継ぎ早に起きるトラブルの数々に笑うしかない”というのが本作の正しい鑑賞法のように思います。
 ただ一方で特に主人公が抱えている問題は料理業界の根本的な体質と思しき側面があり、店のスタッフ間の不和はまさしくオフィスの人間関係そのものであり、見方によっては経営譚としても楽しめそうです。
 一風変わったグルメドラマやブラックコメディー好きな方々、読んでいっていただければ之幸いでございます。
 それでは・・・・・・・・・・・・・・できらぁっ!!!

スーパーくいしん坊』(82~87)
"一風変わったグルメドラマ"で山ほど思い出すけど取り敢えずコレで…。
途中から原作者さんが抜けて漫画家さんがストーリーも考えてるようですが
原作者付きの時期のほうが破天荒な内容ってどうよ。( ・_・)

※そして昔、"9GOATS BLACK OUT"ってバンドが好きだったんですが、もし未だ彼らが活動してたら9/9の今日はきっとワンマンライブなり催してただろうな、っていう。


Ⅰ. 作品概要

※日本語版ページが存在しないため、翻訳等でご覧ください。

 冒頭、主人公の若きシェフのカーミーが悪夢から目覚めて厨房で倒れ込むように寝ていた姿から始まります。なかなかのワーカーホリックぶりを感じますが、真面目な料理人ほどそうなってしまうのかもしれません。
 以前、会社の上司に近所の小さなラーメン屋に連れて行ってもらったことがあり、非常に美味しかったのですがその営業スタイルを知って唖然。店舗は十坪ぐらいのカウンター席のみのラーメン屋で30代の独立したての若き大将と数名のバイトで回していましたが、大将がメニューも麺も試行錯誤の最中ゆえに出来が気に入らなければその日の営業は無し。営業時間外はバックの製麺機の脇に寝袋を敷いて即応態勢のうえ、寸胴のスープをかき混ぜすぎて腕を疲労骨折…。聞いてるだけでゾッとしました。(´・ω・`)
 おそらく、材料費や人件費といったところではコストという定量的な部分なので妥協の余地が有るのでしょうが、クオリティーにプライドのある方ほど"手間"それも自分の手間を度外視して追い込んでいってしまうのだと思います。
 
 その一方で、かつて勤めていたニューヨークの高級レストランでは上司から人格否定的な罵倒を常日頃から受けていたようです。それが彼の腕を磨いた面も無くは無いでしょうが、その後にたびたび夢で魘されたり、何より兄から受け継いだサンドイッチ店でのスタッフへの振る舞いにその長年のストレスが顕れてしまっています。
 それが悪しき習慣であることは彼自身が身に染みて解っており、普段は冷静にスタッフと相対していますが、事態が切迫して追い込まれると途端に態度も言葉も粗暴になります。人間、追い込まれると本性が顕れる、とはよく言いますが、負の感情は下へ下へ、立場の弱い者へ向かってしまいます。
 物語終盤に主人公が起こしたボヤをただ茫然と見つめてしまうシーンがありましたが、過去勤めていた高級レストランでボヤを起こした際にも、"このまま店が燃えてしまえば苦痛から解放される…"という考えがよぎるほど追い詰められていたのでした。

漂流教室』での大友くんも、日々自我を殺して優等生を演じることを死ぬほど苦痛に感じており、そこから学校を無くしてしまおうと職員室にダイナマイトを仕掛け、結果として学校を未来へタイムスリップする契機を生み出してしまったわけで・・・。

 ボヤの件はさて置き、他人への罵倒や口の悪さは店のスタッフにも共通するところがあり、飲食業界そのものが抱える闇であることが暗に示唆されてもいます。

 そして主人公は実はアルコール依存症を抱えていてセラピーにも通っており、加えて不安障害の薬を常用したりと、慢性的な症状を抱えていることも明らかになってきます。
 彼が敬愛していた兄のマイケルにしても拳銃自殺という衝撃的な最期を迎えており、その背景にやはり飲食店経営や借金の苦しさがあったことは明らかです。
 彼らの場合は主たる債権者が叔父であるのでまだその責めは同情的ですが、本質的な徒弟制度を由縁とするパワハラ体質とそれが連綿と受け継がれてしまう体質ゆえの依存症の温床化という業界の闇がとにかく深いものであることが本作を観るとよくよく伝わってきます。
 

本作を紹介していた「アメリカ流れ者」でも言及されてた3つ星シェフのゴードン=ラムゼイ氏
身内の料理人だけでなく客まで罵倒するというから恐れ入る・・・。(´;ω;`)
まぁ、その様を面白可笑しくエンタメとして消費してしまう方にも問題アリなわけで。

 現実で転職活動をする際に"専門性の強い職場はよほどの覚悟が無い場合は避けるべき"みたいな話が良く出ますが、まさにその一例でしょうか。
 作中で描かれている料理人の過酷さとそこから来る病について言及しましたが、以下は主人公を取り巻く作中の登場人物たちについてです。


Ⅱ. サンドイッチ店の、クセが凄すぎるしかし現実に厳然として存在するリアリティー溢れる"シェフ"たち

・リチャード(レジ担当) - 演 : エボン・モス・バッハラック

向かって右手がリチャード。
現店長で主人公のカーミーと前店長で彼の兄の故マイケルの古くからの友人であるため
実質レジしか出来ないのに主人公と他のシェフたちにやたら高圧的で上から目線で、
"ファック‼"が口癖のトラブルメーカー。家庭での立場の弱さの鬱憤を職場で晴らしている。
店に置いてあるゲームのアーケード基盤に群がるオタク連中を銃で追い払った時だけは頼り甲斐を
発揮して軽く感動・・・実は店の窮状から以前より陰でクスリの売人も掛け持ち。

・シドニー(副店長) - 演 : アヨ=エデビリ

アメリカの料理学校である"CIA"で学んだ才能ある若手シェフ。
新しい料理を考案したり、店を上手く回すためのルールを設けようとするが、
常に忙殺されるカーミーや新しいことを嫌う古参スタッフに煙たがられて
上手く行かない鼻息の荒い新人

まだ業界の悪しき慣習に毒されていないので努めて礼節を弁えた態度を取ろうとするが、
傍若無人なリチャードやストレスが限界に達したカーミーの暴言に
彼女も我慢の限界に達して店に三行半を叩き付けてしまう。
ラストでカーミーに言われて最後の給料を受け取りに店を訪れるが・・・。

・マーカス(パン/ケーキ担当) - 演 : ライオネル・ボイス

腕はまずまずで研究熱心だが、凝り性が災いして店の混雑時に上手く優先順位がつけられない
自分の欠点には自覚的なもののプライドも相応に高く、
店がパンク状態な中で自身の自信作のケーキを拵えていたことでカーミーが激怒。
後日カーミーが謝罪したことで一応は和解したものの、互いに課題を抱えることに。

・ティナ(その他料理担当) - 演 : リザ・コロン=ザヤス

手前のおばちゃんがティナ。古株の料理人だけあって、新しいメニューやルールを
持ち込もうとするシドニーに対して露骨にアレルギー反応を示すお局様ポジション

不良息子を抱えていたりと家庭も一筋縄ではいかないようながらも、
その一方でシドニーの作る料理の美味しさから彼女を見直すような料理人としての矜持も。
"昔からの客は来てくれてるんだから今のままの店でいい"という現状を体現するような人物で、
店の改革のためには彼女の意識を変えることこそ肝要と感じさせる。


 というわけで老若男女さまざまな事情を抱えたスタッフが居り、まさに会社組織の縮図のようです。
 現状の問題点を挙げることは実は容易ゆえに新入社員からでも指摘出来るが、今現在の状況は一朝一夕の産物ではなくそれなりの事情ゆえの体制であり、劇的に変えようとすると必ず古参スタッフの反感や予期せぬデメリットが噴出する危険があり、かといって現行体制を看過していたがゆえに今のままでも次々とトラブルが発生して改革どころではなくなってしまう…。
 一個一個の要素を考えるとまさしく老舗企業が等しく抱えているであろう問題であり、それゆえに本シーズンでまるで好転の気配が見えなかったのも非常にリアルかなとも思えてしまいました。
 
 しかしながら一貫して言えるのはお互いにリスペクトし合うことが何よりも肝要であり、どんなに苦しい時でも、むしろ苦しい時こそ何が何でも互いの敬意を遵守することでしょう。
 作中では新メニューや新ルールの導入による混乱や設備の不具合、相互連絡の不徹底や優先順位の不共有といった実に様々なトラブルが発生しており、それらが演出としては面白おかしく展開されていましたが、元を質せば全ては信頼関係に行き着くということを言外に訴えているのは流石だと思いました。



Ⅲ. おしまいに

 というわけで今回はDisney+独占配信の海外ドラマ『一流シェフのファミリーレストラン』について書いてみました。
 日本でも名前をよく耳にするようなスター俳優は出演されていませんが、それだけにストーリーとキャラクターに集中でき、専門職の宿命的な闇と会社組織の人間関係の普遍的な難しさを感じつつ、表ではトラブルの連続をコメディーとして割り切って楽しめる良作だと思います。
 本家アメリカでは既に7月にシーズン2が配信開始されたそうですが、あの問題山積でクセが強すぎる面々がほんの僅かでも希望の一歩を踏み出せたか、日本での配信開始が待ち遠しいところです。

本作を紹介していた「アメリカ流れ者」で引き合いに出されてた
最新公開映画の『ボイリング・ポイント/沸騰』。
クリスマス前の客でにぎわうロンドンの高級レストランを舞台にその厨房での狂騒を
90分ワンカットで描いたアンサンブルドラマ。
"厨房は戦場"とはまさしくよく言ったもので・・・。(゜Д゜)

 他にも皆々さまのおススメの配信ドラマございましたらコメントいただければ恐悦至極にございまする。
 今回はこのへんにて。
 それでは・・・・・・どうぞよしなに。




ちなみに料理アニメといえば『ミスター味っ子』よりも『中華一番!』の世代です。
最近の『真~』じゃない方ね。
当時小学校高学年で、毎週ネタ番組として爆笑しながら観てましたが、
胃腸炎になって入院してる時期に病室で観てる最中にたまたま点滴の交換で来てくれた
看護師さんが作中のオーバーな描写に苦虫を噛み潰したような顔してて急に醒めた記憶…。( ಠωಠ)


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