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【趣味人噺⑰】~懐かしきかな、夏休み~ 90年代末にスマッシュヒットを飛ばしていた映画『学校の怪談』シリーズを,どストライク世代としての思い出を蘇らせるべくお盆休みに再見してみて、、、の巻。

 結論から言おう!!・・・・・めちゃくちゃ久しぶりにこんにちは。(´∇`)b
 小学生の頃のとある年、月イチで昼休み時間に近所の本屋さんが校内にやって来て即売していた雑誌『科学と学習』で夏号らしく「トイレの花子さん」をはじめとした怪談特集のページが有ったことがあり、それに感化された一学年上の生徒数人が放課後に女子トレイに「は~なこさ~~ん!!」と呼びかけたら程無く「ハ~ァイ」と返事が聞こえ、驚きの余り我先にとぶつかりながら逃げ出した経緯でトイレ前の窓ガラスが複数枚割れて飛散し、当人達が先生方から厳重注意を受けたうえに全校生徒とも当該号は購入禁止と相成ってしまったことを思い出す……O次郎です。

ちなみに、彼らが肝試しをしたそのタイミングでまさにファーストネームが
「花子」の女生徒がトイレの個室内に居て自分が呼ばれたと思って返事した、、、
というまさかのオチでした。
僕のクラスメイトの女の子のお姉さんだったんですが、今日日の時代でも
下の名前が「ハナコ」の子は学童期に囃し立てられるものなのでしょうか。(¨* )

 今回は映画の中でもマイオールディーズ、『学校の怪談』シリーズのお話です。
 今月半ばに五日間ほどお盆休暇が有ったんですが、アラフォーともなれば休日にアグレッシブになるのはなかなかに困難であれこれやろうと計画しても結局はダラダラと捕らぬ狸の皮算用…ということで、"ならば何か一つでも「夏休み」を強烈に感じることをやっておこう"と思い付いたのが本シリーズの数十年ぶりの復習。
 全四作のうち、一作目の公開時に小学四年生でしたので作中の児童達と同年代のまさにどストライク世代であり、当時劇場まで足を運んだものからTV放映で観たもの、これまで未見だったものまで色々でしたが、二度と戻らない少年期の夏の郷愁に浸るには打って付けでした。
 ホラー描写というものは時代性が強烈に出るので賞味期限の短いジャンルではありますが、本シリーズは少年が大人への階段を昇る一瞬を鮮やかに切り取ったジュブナイル色が非常に強く、感性の瑞々しさがなんとも爽やかなだけに未見の世代の方々にも是非とも興味を持ってもらいたい次第です。
※ちなみに、天下の東宝作品にも関わらず何らかの理由でゴーサインが出ないのか、全作とも全くサブスク配信はされておらずソフト化だけの現状が若干面倒なところで。(-_-)
 シリーズ各作品のイチオシ点と個人的思い出を元に簡潔にレビューしていこうと思いますので、未見の方はもとより、同世代の方々は個々人の感想と比べてみていただければまた一興かと存じます。
 それでは・・・・・・・・・・"た・よ・な・ら……"

※同じ90年代後半が全盛期だったんじゃないかと思われる「恐怖のアンビリバボー」(『奇跡体験!アンビリバボー』内のコーナー)のエピソードでなんでか強烈に覚えてるのがコレ。
当時はギリギリデジタル移行前の世だったので夏場はまだ心霊写真特集なんかも組まれてて興味津々なお年頃の僕は欠かさず観てましたが、心霊系ホラーが大嫌いな兄や姉からはドン引きされたものです・・・。(;°°)


Ⅰ. (Part2じゃない)プレイバック!!『学校の怪談』シリーズ


 90年代半ばは学校の怪談ブーム、(そして90年代末はヴィジュアル系ブーム…)ということで当時の少年の肌感覚としてもわりと怪談ベースのコンテンツは豊富だったように思います。
 オカルトという括りとしては90年代初頭の宜保愛子先生と大槻教授との仁義なき戦いが最大瞬間風速だったようにも感じますが、見世物根性が旺盛な児童層に向けてのブームのマイナーチェンジとしてピタリ賞だったかと。
 00年代に入ると一気にデジタル加工技術が一般に普及してジャンルの建て前化というか好事家傾向が進んだことを鑑みるに、怪談の世間的な盛り上がりの最後の残り火を少年期に体験した最後の世代だったのかな、とちょっぴり感傷的になったり。。。

バラエティー番組が潤沢な制作予算で以て凝ったパロディーを各番組で量産した結果、
ご本人よりもパロディー企画を先に目にすることもしばしばだったあの頃。
他ではジャッキー=チェンなんかは現在進行形で主演作目白押しだったんで未だしも、
ブルース=リーは完全にウッチャンの"テルース=リー"のコントのイメージが先行しちゃってた…
幼稚園児だった90年代初頭には既に『ひらけ!ポンキッキ』内でも
「トイレの花子さん」のコーナーが。
おどろおどろしい雰囲気は醸し出しつつもトラウマエピソードみたいなものの
記憶は無いので、火中の栗を拾いに行きたいが火傷は断じてしたくない
我儘な幼児心理を絶妙に満たしてくれました。
そしてジャンプ暗黒期を支えた貴重な一本でもある『地獄先生ぬ〜べ〜』もブームのけん引役か。
僕は96年のアニメから入りましたが、そこから遡って読んだ原作序盤の救いのない
エピソードの数々に身震いしたもので…。(¯∞¯)
長期連載漫画初期の通例として作画の岡野先生の筆致が不安定且つ後期と比べて硬質だったので
それがなおのこと怖かったのよね。。。
アニメ版はアニメ版で、原作の露骨なギャグ+お色気路線で急速に軟化していった後半が
映像化されてないことで却って質が保たれていたように思います。

※ちなみに、昨夏の休暇期間には90年代初頭のホラーアニメについて書いておりますので、よろしければ併せてどぞどぞです。


 というような時代的土壌が在った中での本シリーズの幕開けでございました。

その一、『学校の怪談』(1995)

[平山秀幸監督、出演:野村宏伸さん、他]

転校生ながら持ち前の社交性で難無く世を渡る年少の妹と意固地で孤立する年長の姉。
霊感を持ち、弟側が不登校状態ながら言外の絆を感じさせる双子の兄弟。
ガキ大将に謎の六年生の少女、と、殊更に説明的なセリフや描写無しに
怪異に巻き込まれる中で各人の個性を描き分ける手腕は児童向け作品だからこそ秀逸さが光る。

 記念すべき一作目にして、平山監督の代表作。この一本の商業的・批評的成功によって後に続くシリーズの下地が整えられたと考えると感慨深いところです。
 上記の通り、脚本としては主要登場人物各人の個性をきちんと立たせた丁寧な話作りが好印象ですが、ビジュアル的には当時まだ発展途上だったSFXよりも各妖怪やクリーチャーのヌメッとした嫌な質感や実物ゆえの圧迫感が満載で、特撮映画としての見応えが抜群ということを再見してあらためて感得しました。
 特に作中のラスボスクリーチャーであるインフェルノの迫力とおぞましさは『エイリアン』や『ヒルコ/妖怪ハンター』の延長線上の進化を感じさせ、特に長い廊下を舐めるように急速接近するカットなどは後者の影響を強く感じます。
 また、シリーズ全作通して物語を引っ張るのは少年少女達であり、目の前の恐怖を共に乗り越える中で友情とともに淡い想いも芽生えるのがハートフルポイントなのですが、この一作目に限ってはロマンス部分は主演の先生を演じる野村宏伸さんと、その生徒のシングルマザーである杉山亜矢子さんが担っており、それがゆえにシリーズの中でも独特の気分が有ります。
 優しいながらもどこか一本筋が通らず他人事な青年教師が生徒たちの危機を通して奮闘し己を見つめ直し、幼馴染みでもある生徒の勝気な母が彼を見直しそして、、、ラストの大人二人の甘酸っぱさはさながら直近の90年代初頭に流行ったドロドロのトレンディードラマへのカウンターのようでもあり、当時のメインターゲットである少年にも真っ直ぐ刺さったものです。
 公開当時、関西の地方のジャリで夏前頃からテレビでバンバン流れるCMと雑誌での特集で見事に掴まれ、都心から数周遅れのちょうど夏休みスタートぐらいから封切られてすぐに、兄と親戚のお兄さんに付き添ってもらって観に行きました。ホラー方面に関しては矢継ぎ早のショッキングシーンが多く、逐次場内でビックリリアクションする自分に二人とも半ば呆れていましたが、クリーチャー造形にはケチ付けたりしてなかったのでやはり何かとツッコミ付けたい中学生ぐらいの年代も黙らせるぐらいには特撮的なクオリティーは図抜けていたように思います。

その二、『学校の怪談2』(1996)

[平山秀幸監督、出演:野村宏伸さん、岸田今日子さん、他]

"都会っ子VS田舎っ子"という対立は安直ながらそれゆえに入り易く、
一方で個々の抱える少年期の葛藤も要所にキッチリ盛り込まれている様は流石。
特にリーダー格の直弥(演:細山田隆人さん)の就学直後の入学式での寂寥感と
反骨心を逞しくした過去の一幕の描写はなんとも印象的。

 前作のヒットを受けての続篇、ということでメジャーなオバケや妖怪が挙って登場したり、きたろうさん演じる人面犬(当時が初出じゃないけど確かにちょっとしたブームだったかも?)やゲームギア、あるいは『バーチャファイター』(そういえば一作目のゲーム版もセガサターンソフトだったか)といった時事ネタもふんだんに盛り込まれていたりと、"もう一山当ててやろう!"という造り手側のスケベ根性が清々しいくらいに全開なシリーズ随一の娯楽作に仕上がっています。
 予算が増えたからかCGがパワーアップしており、岸田今日子さんのろくろ首の伸び具合や巨大な虫は当時なりの質感を感じるし、時計台に巣食う機械仕掛けのラスボス・ヌシ(おそらくは學天則がモチーフか?)の造形はなかなかに凝ってるもので。
 撮影が急遽決まったからか、作中の時期が春休みということで怪談からはややチグハグながら、それならそれで年次が上がることへの子どもなりの不安と期待等絡めて描ければ尚良かったかも。ともあれ、いがみ合ってた子どもたちがやがて固い友情を結ぶくだりやヒロインの片割れを演じる前田亜季さんの電波少女ぶりは『天才てれびくん』っぽさがかなり強くもあり、王道のドラマの中にもトリッキーな遊び心を添えた意欲は買いたい。
 確か本作も実家の近辺の地方劇場で観たハズ。脚本の意図通りにというか"都会っ子ってヤワでイヤね~"とまんまと思っちゃった覚えがありますが、今のご時世だと問題になっちゃうのかな。

大変失礼ながら当時の子どもには岸田さんがなんとも不気味に見えたワケで、
そして後年になって往年の映画で拝見したお若い頃のビジュアルにも息を呑んだワケで。。。


その三、『学校の怪談3』(1997)

[金子修介監督、出演:西田尚美さん、黒木瞳さん、他]

前作でも先生役だった西田尚美さんの見せ場が増えましたが、
大人にしろ子供にしろ女性陣が問題を提起したり事態を打開したりと基本軸。
性別云々で語るのは野暮ったいとはいえ、同時期に放映された
ウルトラマンティガ』に女性隊長が初めて登場したりと、
作劇的に要請されてた時期だったようにも思います。

 シリーズ四作品の中で本作のみ金子監督にバトンタッチ。『平成ガメラ3部作』が代表作であり、僕としてもそのイメージが強いですが、主人公が突然の自身の母親の再婚話に戸惑う様や、鏡の中の世界でのっぺらぼうに追い回され当所無く彷徨う展開に表象される大人達への不信感や深層心理の鬱屈等、学校という限られた空間を脱して学習塾や街全体を彷徨う地理的スケールは大きくなった一方で物語そのものは悉く内省的というコントラストが鮮やかです。
 それだけに自身の成長がそのまま世界の開放に繋がるというジュブナイル色が最も色濃く、事件を乗り越えて都会へと旅立っていく主人公の寂寥感と背中合わせのカタルシスは得も言われぬ充足感が有ります。季節が秋なのはまたしても怪談としては片手落ちながら、侘びしさという意味では◎か。
 前作に続いての出演である前田亜季さん演じる繭子はその天真爛漫ぶりからしてシリーズ全体のイメージを決定付けるだけのヒロイン感が横溢しており、それだけに本シリーズといえば彼女を思い浮かべる人も多いと思われますし、それがゆえに後の派生作の『学校の怪談G』への主演にも繋がったのだと思います。
 がしかし、今あらためて観るとあまりにも男の子に都合の良い理想の美少女像であり、それを無批判に鑑賞していた当時の少年期の自分を反省する次第でもありました…。( ´・ω・`)
 当時小六にもなるとさすがに劇場で本タイトルを観るのは気後れが有ったのか足は運びませんでしたが、時を経ずして鑑賞した覚えはあるのでテレビ放映ではしっかり観たかと。
 ともあれ、前二作と比べると恐怖描写的にも特撮的にも見応えは鳴りを潜めているところはありますが、一方でドラマ部分はかなり練り込んであるのでそういう意味では白眉であり、"金子監督といえば特撮!"というイメージを根強く持っている人にこそ勧めたい一本でもあります。

一作目から"あの人がこのシリーズに出演してたのか?!"的な
キャスティングにも注目してましたが、主人公の母親の再婚相手の連れ子の
秀才坊やの悟役が、今では声優として活躍されてる豊永利行さんだったのが
なかなかにビックリ・・・面影有るんだか無いんだか。( ´・ω・`)


その四、『学校の怪談4』(1999)

[平山秀幸監督、出演:笑福亭松之助さん、原田美枝子さん、他]

物語を引っ張る正体不明の老人は人物造形そのものはぶっきらぼうながら、
演じる松之助師匠の流石のユーモアでなんとも憎めないクセの有るキャラクターに。
ただ、"大津波が小学校を襲う"という災厄が物語の根幹を担っており、
それだけに直接的な回想シーンが何度も現れるので、苦手な方は鑑賞要注意です。

 再び平山監督にバトン戻し。前作が商業的にそんなでもなかったからか(内容云々というよりは単純にブームの終焉でしょうが)一年空いたこともあるし、当時既に中二で初代プレステやらサターンやら64やらの次世代ゲーム機がブイブイいわしてたので大作ゲームソフトに見事に釘付けにされてて怪談どころじゃなかったのでリアルタイムはおろかテレビ放映でも観た記憶が無く、今回が初見でした。ていうか、恐縮ながら四作目が製作されてたことすら知らなかったんですが、そういう人結構多いのではと。

でも『学校であった怖い話』をプレイしたのは中学生になってからだったかな…。
当時の常として格ゲーはプロの声優さん使わずに製作スタッフの方の棒読みも当たり前で、
本作での高校生にはとても見えない登場人物のビジュアルも自然と受け容れてたもので…。
後のプレステリメイク版で自然なキャスティングに変更されたのが
逆に物足りなさを感じるまであったワケで。。。"いただけませんか、風間様!"( ´•௰•`)

 一度シリーズが途切れたことで内容まで吹っ切れた感が有り、恐怖の舞台は学校よりも海辺の田舎町全体、"子どもたちの失踪"を物語の主軸としながらもキーマンは主人公の兄妹の妹側に加えての謎の老男性というなんともチャレンジングな内容。
 肝心の恐怖描写は序盤から中盤に集中しているというかそこまでで終わり、あとは半世紀以上前に地域と小学校を襲った痛ましい災害とそれによって掛け替えの無い仲間を失った老人が不可思議な体験を通して絆を取り戻すハートフルストーリー。
 もはや当初のドラマツルギーを完全に手放した感が有るのでそのあたりは賛否の分かれるところでしょうが、マンネリを避けて新しいものを追求した結果としての独特の物語と感性はこれはこれで良しと感得します。
 "老人の悔恨"というそれまでのシリーズでの少年の成長と全くの水と油のようなテーマが却ってそれを補完しているようでもあり、一見の価値は有る意欲作でした。

ところで、作中で重要なモチーフになってる特徴的な造形のこの人形。
有名なアーティストの方の作品だと思うんですがお名前がどうにも思い出せず、
エンドクレジットでもそれらしいお名前が発見出来ずでなんともモヤモヤ…。( ´•д•`; )



Ⅱ. おしまいに

 というわけで今回は夏休みに因んで自分が少年期に同世代的に楽しんで観た『学校の怪談』シリーズを振り返って観ました。
 個人的には一作目と三作目が特にイチオシなんですが、よろしければ未見の人はこれを機会にぜひ手に取っていただければと。同世代の方々は自身の思い入れなどもコメントいただければ恐悦至極にございます。
 上述のように現況ではどれもサブスク配信無しでソフトをレンタルする必要がありますが、それだけにスタッフやキャストの方々のオーディオコメンタリーが楽しめたりもするのでそちらの楽しみもアリです。
 というわけで今回はこのへんにて。前回の記事から大分間が空いてしまいましたが、少しずつでも書いていく所存ですのでよろしければまたお付き合い下さいませませ。
 それでは・・・・・・・・・・どうぞどうぞよしなに。



 

コレについても近い内に追記したいと思っております。
あなかしこ、あなかしこ。\( ॑꒳ ॑ \\( ॑꒳ ॑ \

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O次郎(平日はサラリーマン、週末はアマチュア劇団員)
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