【VHS発掘⑧】名曲に乗せて...届け、愛のメッセージ!! 国のあり方を問う骨太漫画の大家が綴った不揃いの愛の挿話集『愛物語(1991)』/『愛物語 ~9 Love Stories~(1992)』
結論から言おう!!・・・・・・ほぼ一年ぶりのこんにちは。(。_。*)))
"合唱曲"といえば、学生時代一度も唄ってないのに「マイバラード」を真っ先に思い浮かべる、O次郎です。
ようやっと秋ましてきまして、少年期の文化祭や合唱コンクールの気配を思い出しますが、僕の中学生時代の合唱曲といえば「大地讃頌」や「心の瞳」「翼をください」あたりでした。ほんでもって「マイバラード」も定番ではあったものの何故か我々の学年は3年間ついぞ一度も指定曲に選ばれることがなく、その一方で上か下の学年どちらかが唄っているのは毎年耳にしていたので、いわばニアミス状況ばっかりだったぶん却って強く印象付けられたのやもしれません。
※なんか、壇上の生徒みんなで肩組んで互い違いにウェーブしながら唄うのが定番でしたよね。大人になってから友人とカラオケに行った際にノリでラストで入れたらみんな一緒に唄ってくれたんですが、学生時代にきちんと課題曲として唄ってなかったから「パート跨いで唄ってるじゃん!!」と突っ込まれたりしたもので…。(¯o¯)
今回は、VHSでだけ観られる傑作映画の発掘企画の第八弾『愛物語(1991)』/『愛物語 ~9 Love Stories~(1992)』を併せてご紹介します。
実はかの巨匠かわぐちかいじ先生が80年台末に描かれた短編漫画が原作で、91年の方が実写版、92年の方がアニメ版のオリジナルビデオ作品という形で二度の映像化が成されています。
実は高校生の頃に地方局のTV放映で偶然アニメ版を観ており、その後十余年を経て急にそれを思い出して無性に再見したくなってタイトルを思い出すところから探り出しはしたものの機を逃し、さらにそこから十年ほど経った昨年にようようVHSを手に入れて二十年越しに再会した次第。
洋邦の名曲の数々をテーマ曲に据えつつそれぞれのエピソードタイトルにも採用し、バブリーな当時の世相を反映した様々な境遇の男女の一途な愛を時に真っ直ぐ時にシニカルに描いた佳作オムニバスドラマ…かわぐち先生作品としてはなかなかの異端かもしれませんが、今ではベテランの声優さん方の力演も相俟って記憶に残る一本でした。
ちなみに、上述の初見から十余年を経ての作品捜索の経緯も作品そのものに負けず劣らず印象に残ってるので、そこらへんのあれこれも絡めて語らせていただきます。単なる作品感想だけだとどうにもこうにもなので、よろしくお付き合いいただければと。。(Θ_+ )
それと、後追いでその前年の実写版の方もVHSを入手して観てみたのでそちらにも言及しますゆえ、ということで。
それでは・・・・・・・・・・・・「旅立ちの日に」!!!
※これもよく歌ったもので……別れの歌なので卒業式が定番ですが、それ以外の合唱の機会でもわりと選ばれてたかな? それにしても、今回検索してみて"91年に、埼玉県秩父市の中学校の先生方によって作られた"という経緯が目から鱗というか、なんかWikiに書いてある経緯を読んでみるとちょっとした『スクール☆ウォーズ』感が…。(_´Д`)
85年・兵庫県生まれの僕が中学生だったのが98~00年ですが、その頃には既に"卒業式の定番"みたいなポジションだったと思うので、まだIT時代到来前というのになんという拡がり方だったのか。
ちなみに、いまだに懇意にさせてもらってる4つほど下の元同僚の男性がまさに秩父市出身なので同曲のことについて尋ねてみましたが、実際に地域の偉業として喧伝されてるのを感じたことは無いものの、役所の敷地内に記念碑が建ってるのを見たことがあるとかなんとか…う~ん、マンダム。(・0☆)
Ⅰ.「アレって一体なんてタイトルの作品だったっけ?」で探し求めたあの頃のおはなし
いや、なんというかしれっと書き始めましたが約一年ぶり……仕事や私生活でやるべきことが重なっていったのと,一度書く慣習の間を置き過ぎてしまうと一気にものぐさ太郎になってしまうという、如何にもで何の変哲も無い理由でご無沙汰になってしまっておりました。少年期はほぼ習い事はやりませんでしたが、小学生の頃に友達に誘われて入ったそろばん教室に一年程度で行かなくなっちゃったのを思い出します。はぁ…。(-。-)
というわけでアニメ版のほうを高校生の頃に偶然に観て、"基本的にはベタな展開が多いながらも尾を引くような印象の演出も光ってたかな"という感想でまずまず楽しめたのですが、それから作品のことなどとうに忘れて受験だったり浪人だったり上京しての大学生活だったり新社会人生活だったりを通り過ぎた十年ほど後です。
とある秋の休日、当時は青梅市に住んでたんですが、オーナーさんの自宅敷地内に併設される形のアパートに住んでおり、その日は朝からオーナーさんが駐車場敷地を開放してご友人の家族を複数招いてのやんやの宴会。調子外れのカラオケの歌声や幼児たちのキャッキャの喚声を他所に、今日は集中する趣味事は無理だなとばかりに負けじと昼から自室で酔っぱらってたんですが、ダラダラとネットサーフィン(って今はもう言わないのか)してたら某掲示板サイトの「思い出せないアニメのタイトルを思い出すスレ」みたいなものに辿り着きました。
※走り回る子どもたちのはしゃぎ声に混じってほろ酔い気分の大人たちのパーソナルカラオケの歌声が聴こえてきましたが、その中でも向こう一か月間ぐらい耳に残ったのがこの曲。異様にエコーを効かせた女性の声でしたが、上手い下手というよりもなぜか自分の順番が来る度にずっとこの曲セレクトしてたっぽいのでそれはもう耳にこびり付いて夢に出そうなほどで……(-_-)
で、最初は大人しく、とあるワンシーンを引き合いに出して質問投稿する→他の人がそれを頼りにタイトルを推察して答える、のやりとり投稿を眺めてましたが、なんせ酔っぱらってたので乗り気になり、普段全くそういうところにコメントするような人間ではなかったんですが、「なんか俺も思い出せそうで思い出せない作品無いかな…」と記憶を手繰り寄せる中でヒットしたのが結果的に今回の作品だったというわけで。
どうでもいいですが、一人で酔っぱらってる時とか、急に数十年前の細かいことを思い出してその現況が気になって検索しちゃうこととかありますよね。大学の時の先生の名前とか、少年期に通ってた実家近くの床屋さんとか・・・・・・違う?(;°°)
それでその場で思い出せる限りの情報を推敲しつつコメント質問してみたわけです。
〇当時観た自分が高校生だったので放映は2001か2002年頃で、関西地方にネットされている局かもしくはNHK-BS2での放映。たしか秋か冬頃。
〇作中の登場人物のファッションや声優さんのキャスティングからして製作は90年代初頭っぽい。
〇内容は恋愛に関する計4本程度のオムニバスストーリーで、一本目のあらすじは○○○、二本目は△△△、三本目は□□□、四本目は×××。
〇たしかED主題歌はミック・ジャガーの曲。
という感じで覚えている限りの内容のみならず放映時期等の周辺状況も含めて3コメントに渡るぐらいで書き込みました。「我ながらこれだけ情報覚えてるのに、検索が下手でヒットしません…すみません」みたいな言い訳も交えつつ・・・。
めちゃめちゃ人気のスレではなかったものの日に数コメントぐらいは投稿されているし、かなり絞り込めそうな情報量だと思ったので向こう一週間ぐらいは毎日チェックしていたのですが残念ながら僕の質問投稿に関する言及は一向に無く、次第に別のタイトルに関する質問コメントが流れていき。。
ところがもうそのスレを覗くのもすっかり止めていた一ヵ月余り後の休日、ふと思い出してページを閲覧してみたらなんと数日前に親切などなたかからレスが付いておりました。「一か月前の質問が分かりました。かわぐちかいじの『愛物語(アニメ版)』です。」と。早々に御礼のコメントを打ちましたが、思い出したタイミングからして奇縁を感じたものです。(∂○∂)
すぐさま調べてみたらソフト化はされてはいるもののVHS化止まり。当時は未だフリマサイト的なものはほぼヤフオクだけだったかと思いますが、検索してみてちゃんと値が高騰したりせずに中古が出回ってるらしいことを確認してそこまでで安心して止めちゃったんだな、これが…。
なまじ作品を探り当てるまでの経緯が小気味良い感じだったのでそこでもう満足しちゃった感があったのだと思うのですが、近年になってVHS化止まりの秀作珍作の記事の感想を書き書きするようになったので、「そういえばアレがあったな」ということでまた十年越しに思い出し、昨年末に今度こそVHSを手に入れておよそ二十年ぶりに再見してみたワケでございます。
前置きがなかなかに長くなりましたが、以下は収録の各短編のストーリーと個人的な評価の数々でございます。
Ⅱ. 『愛物語 ~9 Love Stories~(1992)』[アニメ版]
前述の通り、作中のエピソードそれぞれのタイトルが洋邦のオールディーズのそれになっており、それらが各ストーリー中の山場やラストに挿入歌或いはEDテーマとして流れる展開が特徴となっています。
・第1話 「抱きしめたい」 (個人的評価:★★★☆☆)
バーで静かに飲んでいる達男(演:松本保典さん)と女(演:江森浩子さん)の姿。女との行く末を迷っている達男の脳裏には、ある苦い記憶が…。
時は遡って中学3年時、クラスで行った海水浴を切っ掛けに達男は冴子(演:玉川砂記子さん)と親しくなり、彼女がハマっているビートルズのレコードを彼女から借りて日夜部屋で聞きながら悶々とする。
「夏休みの最後に二人だけであの海に行こう」と冴子から誘われ、それだけを頼りに夏休みを過ごす達男だったが、とある昼下がりに町の喫茶店で彼女がガラの悪い男と喫煙しているのを目撃して咄嗟に隠れてしまう。
そのことに激しく狼狽しつつも待ちに待った夏休み最終日、約束通り二人で海へ出かけるも時化で他の客は一人もおらず、仲を深めるチャンスを失ってそのまま帰ることになってしまう。
そして新学期、達男は冴子が他校の不良と駆け落ちしたことを人伝に知るのだった……あの時彼女の手を握っていれば。
時は現代へと戻り、達男はニューヨークに行こうかと惑っている女に「行くな」と告げる。今度こそは想い人の手を握ることができた。
というわけでビートルズの「抱きしめたい」ですが、僕はビートルズに関してはその何回ものリバイバルブーム等でもついぞ手を伸ばしませんでしたが、直撃世代だった母がご多分に漏れず大好きだったので、少年期の休日に買い物に連れてってもらった際にはカーステレオでしょっちゅう聞かされたものでした。
"去ろうとする想い人を渾身の思いで引き留める"という締めなんかは当時流行ってたトレンディードラマのそれを感じますが、個人的に気になったのは冴子ちゃんというキャラクター。
本作を観て、高校の時に学校を辞めてったクラスメイトの女の子を思い出しました。確か2年時の暮れだったと思いますが、急に学校に来なくなったうえに担任の先生からもそれについて全く説明が無かったのでオヤッと思いました。後で周囲から話が伝わって来たのですが、彼女のお父様が自ら命を絶たれてそれで塞ぎ込んでしまったとか。3年時に一度だけ学校周辺で姿を見かけ、元々親しいわけでもなかったので軽い挨拶を交わしたぐらいでしたが、その時には少なくとも表面的には平静を取り戻しているようでした。
急にみんなの周囲から去った人は得てして不在をいいことに好き放題言われがちですが、当人には当人の事情があった筈で、共通の話題などにはせずに思い出すならあくまで自分の中だけで、、、とつとに感じた次第です。
・第2話 「HERO」 (個人的評価:★★☆☆☆)
見合い相手の男(演:小林通孝さん)と一緒に大学ラグビー観戦に来た敬子(演:水谷優子さん)は内心でつぶやく、"母校を応援する、おそらくこれが私の最後のグラウンド"。その時、観客席の前方にかつての想い人と友人の姿を発見して思わずその名を呼んでしまう。
元々ラグビー観戦が好きだった敬子は大学入学とともにラグビー部のマネージャーに志願するが、控えめな態度と爽やかな笑顔が魅力の淳(演:草尾毅さん)に秘かに想いを寄せることに。
大学リーグ戦の大一番、淳はトライを阻むタックルを受けた際に左膝を強打して退場する。医務室にて彼の容態を見かねてキャプテンに報告しつつ病院行きを勧める稽古に対し、淳は"みんなの指揮に障る"とこれを断固拒否。その彼の無私の奉公も功を奏してか、雨の中の決勝戦を淳抜きで他のメンバーが限界を超えて闘い抜いて見事優勝。
その年の暮れ、自宅に遊びに来た同じマネージャーのかおり(演:丸尾知子さん)は敬子の淳への想いを知りつつも自分も彼に想いを寄せていることに苦悩しており、それを知った敬子は狼狽えつつも彼女を応援することを選ぶ。
3年の秋、無理を重ねた淳は遂に選手生命を絶たれることに…。引く手数多だった会社内定の声も一気に途絶えて、高校時代から抜きんでることを辞してみんなと一つになることに努めて挑んできたラグビーに裏切られてしまう。
社会人となる頃、部のキャプテンだった大野(演:北島淳司さん)からよくデートに誘われるようになった敬子は、実は自身が部の男子たちから思いを寄せられており、淳もその一人だったことを知らされる。
"みんな他人を傷つけることで自分が傷付くことを恐れていた。私にとってチームワークとはその臆病のことだった。"
時は現在へと戻り、試合後の夕暮れ時、自分の燻る想いに気付いた敬子は見合い相手の男に別れを告げ、数奇にも同じ日に同じ場に居た淳に今でも思っていることを告げる。
そして淳は誰も居ないグラウンドへと降り立ち、"ケイ、君に受け取って欲しい"とボールを蹴り上げるのだった。
自分がスポーツやってこなかったのもありますが、なんか色々と腑に落ちない展開だな~と感じてしまいました。"one for all, all for one"とはよく聞きますが、大学生にもなってお互い牽制し合って意中のマドンナ(古いけど他に表現が思いつきませんの)に結局誰も想いを告げないだの、プラトニックに友情と恋情で板挟みになるだの、それがみんな揃ってそんな仲良しこよしな人間性に直結するもんでしょうか。
あと、淳くんがみんなの士気への影響を恐れて病院行きは固辞するものの、同大会のその後の試合はしっかり大事を取って欠場してるというのがなんともかんともというか、、、そこは時代的にも"怪我を隠して決勝まで闘い抜くもその代償に選手生命を…"とか、"エースが大怪我を負ったことで却って他の部員の心に火がついて"というような話運びになりそうなもんですが、そのあたりフワッと中途半端に処理された気がします。
・第3話 「夜をぶっとばせ」 (個人的評価:★★★★☆)
男(演:安原義人さん)は行きずりの女(演:山田栄子さん)との一夜限りの逢瀬の余韻に浸る中で寝返りを打った彼女の背に般若の入れ墨を見て激しく狼狽し、咄嗟に美人局の可能性に思い至ってシャワーを浴びてそそくさとラブホテルの一室を一人出ようとする。
…が時すでに遅し。涼しい顔でタバコをふかす彼女は猫撫で声でお決まりの口上を述べる。「ねぇ…『愛してる』って言ってくれたわよね。だったらアイツに『自分の方から誘ったんだ』って言ってやって」「でないと私、アイツにぶん殴られちゃう」と。
決して遊びではなかったと嘯くも間も無く典型的な強面のヤクザ(演:梁田清之さん)が部屋に踏み込んできてしまい、いよいよ待った無しとなった男は咄嗟に体当たりでヤクザを突き飛ばしてその隙に女を連れて車で逃避行に走る。
自分の身を守るためにも彼女を抱き込むしかないと覚悟を決めた男は逃走する車中であらためて彼女への愛を囁きつつ、純情男のように訴えかける「ソイツ、君に客を取らせてるんだろ。愛してるわけがない」。そうすると彼女もそれに呼応するように情夫であるヤクザへの不満を次々ぶちまけ始めた「そうよね! アイツ、アタシ以外にも5人も女が居るのよ。しかも一番新しいのは中学生よ!! 信じらんない!」。
すぐさま自分の車で猛追して来たヤクザに慄きつつも死に物狂いのドライビングテクニックでカーチェイスを繰り広げる男…自分達をヤクザが追って来ていることをどこか喜んでいるフシのある女の様子は気になるものの…。
ヤクザによる車での体当たりをなんとかやり過ごしつつ辿り着いたのはカーフェリー乗り場(横須賀港?)であり、上がりつつある渡し橋に突っ込もうとしていることを察した女が男を制止しようとするも「ここで止まっちまったらもっと危ないよ!」と返しつつ、背後にはもう体当たりし過ぎてボロボロになったヤクザの車が迫っており。。
ヤクザの車に迫られつつも男はフルスロットルで渡し橋に突っ込む……が、直前でドリフトしてさながらチキンレースの如くなんとか橋に留まるが、それを追うヤクザの車は勢いのまま傾斜のついた渡し橋から海中へダイブする!!
男がざまぁみろとばかりに喝采をあげようとするも女は「あの人…飛んだよ……アタシのために!!」と呟きつつも助手席からいち早く躍り出て橋からヤクザの身を案じて叫ぶ。ほどなくしてヤクザは車中から抜け出て来て二人で「バッキャロー!俺は泳げねぇんだ!早く助けやがれ!!」「アンタ、ごめぇぇ~~ん!」とがなり合う。
その頓狂なじゃれ合いを目前で見せつけられた男は黙ってその場を歩いて去りつつ、内心愚痴た。「結局、試されてたのは俺じゃなくて、アイツの方だったってことか…」。
というわけで一言でまとめると"雨降って地固まる"というか、まるで落語みたいにストンとしたオチの話ですが、加えてカーチェイスが結構な迫力で見応えが有りましたので個人的に好印象でした。
女が途中から自分の情夫であるヤクザへの恋情を確かにしていくのに相反するように、ヤクザが自分の詳しい素性は知らないことを知って"今日逃げきれば自由だ"と打算計算しつつ我が身に全てを賭ける男の卑俗っぷりが描かれているのも◎。
最後、一人だけ取り残された男の寂しい姿をバックに渋いミック=ジャガーの歌がまた沁みるわけですが、それがバッチリ決まっていたがゆえに本エピソードのテーマ曲ではなく作品全体のED曲だと記憶していたようでした。
・第4話 「時間よ止まれ」 (個人的評価:★★★★★)
「そんなに夢が見たければ…東京でもどこでも勝手に行けばいいじゃない。あたしは……行かないよ。」
昇一(演:山寺宏一さん)は野心を胸に恋人の制止を振り切って上京した。そして十年後、夢破れ現実に打ちのめされて傷心を抱えながら故郷の海岸沿いの町にひっそりと戻ってきた。
変わらない浜辺の風景と己のそれとの違いに自重を零しながらも、喉の渇きを潤すために立ち寄った海の家のウェイトレスの姿を見て愕然とする。昇一を知っているそぶりは見せないものの、それはまさに自分が残してきた元恋人のマユミ(演:島本須美さん)の姿と瓜二つだったのである…しかも十年前の知っている彼女の姿そのままで。
民宿に泊まりつつ彼女が誰なのかを自問自答する昇一。十年前の彼女の姿のままのワケがないし、何より、新聞で彼女の乗る遊漁船が行方不明になったとの報を知ったのは上京してほんの二年ほど後のことだった……。
翌日に店のママ(演:さとうあいさん)に尋ねてみると、一年ほど前にフラッと店に現れ、"記憶喪失で行くところが無いので店で働かせてほしい"と言うので雇っているという。休憩中の彼女に話しかけて水を向けてみるもさして深刻に思い悩んでいるようでもなく、浜の向こう側にあるという昇一の故郷の話をすると「次のお休みの日に連れていってほしい」と。
そして当日、遊泳客で賑わう海岸から彼女と小さなボートで出発しようとした昇一の眼に飛び込んできたのは浜辺を誰かを探しながら巡回する警官たちの姿・・・・・・昇一は都会の厳しい現実に打ちのめされたのも紛れもないところながらも、勤めていた会社で横領を働き、それが発覚して郷里へと逃げ帰って来ていたのであった。
そこから逃げるようにして小舟で沖に出た二人だったが、目の前の彼女は右耳の赤いピアスや手の甲の傷といったマユミと酷似した特徴がいつしか消えており、昇一は己の正気を疑いつつ二人の小舟は海の情景に溶けていくのであった……。
というわけで一話あたり10分から15分程度の短編オムニバスで構成されている本作ですが、その中でも本エピソードは僅か10分足らずでスッと終わるがゆえに却って印象深く、個人的に一番のお気に入りとなりました。
特に主人公の犯した罪の描写は匂わす程度にあっさりと描いているのに、その罪悪感と敗北感で全編通して抜け殻のようになっている姿の寂寥感はなかなかのコントラストです。加えて、全体の印象としては淡く切ない感じなのに彼女の髪が風で波打つ様がまんまホラー作品のそれを彷彿とさせるのも悩ましいところで。
犯罪に手を染めるのまではさすがにナシですが、大志を名目に田舎の濃密で狭隘な社会から逃げ出した引け目を心の何処かしらに感じているおのぼりさんの心根として捉えると実に沁みる一本なのではないでしょうか。
※ちなみに、自分が郷里の思い出にまじまじと想いを馳せたのはこの作品を観た時でした。送り出す側を経験した人が本エピソードを観るとまた全然違った味わいを感じるのかも?
・第5話 「裏切りの街角」 (個人的評価:★★★★☆)
”夏子が来る。東京に就職が内定し、明日の日曜日の研修に出るためもうすぐやって来る。アキコと上手くやっていくためにも、夏子との腐れ縁を清算しなければならない。”
健次(演:中原茂さん)は大学進学で一足先に上京したことで交友関係が一変し、中学時代からなんだかんだで切れずに続いてしまっていた元カノの夏子(演:日髙のり子さん)との関係をキッパリ断って後顧の憂いを断つ形でエリート新社会人としてのスタートを切るべく、かねてよりこの日のために別れの計画を綿密にシミュレートしていた。
久しぶりの再会を喜ぶ彼女に素っ気無い返しを繰り返したり、招き入れた自分のアパートで彼女に珈琲を淹れてもらうよう流れを作ることでさり気なく今カノとの生活を夏子に悟らせるよう仕向けたり…。
同じく既に上京している自身の姉の家に泊まることに難色を示して健次のところに泊まろうとするなど何度か際どい場面は有ったものの、傾向と対策をしっかりと心得ていたことでなんとかやり過ごし、いよいよ彼女が地元に帰る新幹線の時間が迫ってきた。
入ったカフェで遂に別れを切り出す健次。淡々と話しながらもどれだけ泣こうが喚こうが動じない覚悟を固めていた彼だったが、彼の一言一言をしっかりと受け止めるように聞いた夏子は意外にも落ち着いた様子でむしろ清々しい表情を浮かべて言った。「ありがとう…。健次がいつ言うてくれるかずっと待ってたんや。健次のことやからこっちに女の人が居てるのは前から分かってたし、隠されるのウチ嫌やし、ホントのこと言うと健次がずっと隠すつもりならウチ絶対別れてやるもんかて思てた。けど正直に言うてくれたら笑って別れよう思ててん…これでスッキリしたわ。」
想定外の展開に内心動揺はしたもののむしろ上手く収まったのでこれはこれで良しとしつつ健次は夏子を見送るべく新幹線の駅のホームへ。彼女が上京してももう連絡を取らないことを確認しつつ、お互いの健康を祈念して淡々と別れを告げ合って健次は乗車口を跡にする・・・・・・がその時、学生時代の夏子のセーラー服の写真について「もし他に女の人ができたら黙ってそれを返して」と以前に言われていたことを覚えていて背広の内ポケットに当日持参していた健次はいけね忘れてたとばかりに振り返る。
するとそこには、乗車口に立ち尽くしたまま健次を見つめて大粒の涙を流す夏子の姿が、、、それを目の当たりにして今までの全ての計算も忘れ去って本能的に新幹線に飛び乗ってしまった健次。
涙の一幕が終わった後に車内販売のビールを買いに行った夏子を尻目に、座席に腰掛ける健次の姿を映しつつ、その後の二人の関係性を暗示させる健次のモノローグで物語の幕が締められる。
"夏子の方が全て俺より一枚上手だったと気付いたのは、夏子と結婚して長男が誕生した後だった……"
というわけで本作もまるで落語のように起承転結がしっかりしていてオチもキッチリしており、日髙のり子さんの関西弁が可愛らしい印象を添えていてなかなかの好印象でした。
この後の人生で健次は浮気癖を払拭することはできないかもしれませんが、「旦那が妻の尻に敷かれているぐらいが家庭は円満」というのを地で行く家庭生活を送っていったんだろうという気がしますね。
・第6話 「愛さずにはいられない」 (個人的評価:★★☆☆☆)
TV局に勤める速水(演:辻谷耕史さん)は遂に部長の娘の理絵(演:折笠愛さん)との結婚が決まり、式を控えて野心を滾らせていた。これで会社での将来の役員のポストが約束されたようなものだ、と。
ただ、いわば勝ち組確定の満足感の中で内心ずっと心に引っ掛かっているものがあり、それが報道マンとしてこの二年間を共に国を跨いで事件を追ってきた部下でありADの悦子だった。車中で理絵から悦子との仲を勘繰られて一笑に付した速水だったが…。
マンハッタンの市街地での反政府デモの生中継の際には画になる決定的瞬間を逃すまいと眼光鋭く立ち回っていると、ビデオカメラを構えている筈の悦子の姿が無く、暴動の中で周囲を探し回ってみると、巻き込まれて泣き濡れている子どもを抱き抱えて意志を感じる強い眼差しで暴動に与する人たち抗議する彼女の姿が。
「この仕事に甘っちょろいヒューマニズムなんか必要無いんだ。俺たちは報道という衣を被った見世物を作っているプロフェッショナルなんだ。わかってんのか?」と、いつぞやに二人で訪れた動物園で説教した際には自分の内面まで見透かすような真っ直ぐな視線を向けて来て「速水さんて、本当は臆病なのかしら。」とおっとりとした口調ながらも真贋を見抜くが如き言葉を投げかけてきた。話の流れで、昔に父親が他所に女を作って駆け落ちしてしまったこと、それがゆえに母親が苦労しながら女手一つで自分を育ててくれたこと、そして父のような軽薄な男を嫌いつつ、その憎しみを半ば生き甲斐にしていることを自覚していることまで語りもした。
そして時は流れ、速水の理絵との結婚を機にコンビが解消されることになると、彼女はそれをチャンスと捉えてこの仕事から身を引く決意を決めたことを打ち明けてきた。自分の性分に向いていないこともあるが、何よりも「私は自分を偽ってまで幸せになろうとは思いません!」と。
その時のことをまさに己の結婚式の最中に反芻した速水は誓いの言葉を拒否し、激怒する部長に「すみません、部長。報道ディレクターとして一番対越なものを忘れていました」と毅然とその場を辞し、タキシード姿のまま必死に向かうは新幹線のホーム。
果たしてそこにはまさに今、郷里へ帰ろうとしている思しき悦子の姿があり、突然の彼の来訪に驚きつつも全てを察した彼女は彼に微笑み、二人は厚い抱擁を交わすのだった。
なんというか、全体的に散漫な印象が拭えなかったのが正直なところです。ベタな劇的ラストを迎えはしたものの、そもそもからして速水と悦子が互いに意識し合う関係だったのかも曖昧だし、もし長い時間を共に過ごす中で鎧を纏うように虚勢を張っている速水の臆病な内心を悦子が健気で愛おしく思うようになっていたとなのだとしたら、もうちょっとだけでもその過程を象徴する思い出話を添えてくれたらもっとしっくり来たような。
余談ながらラストで速水が教会より駆け出してから悦子と抱擁するまでシトシトと雨が降っておりますが、いわゆるジューンブライド的なジンクスを守っていたということなのか。中学生ぐらいの頃にその言い回しを知ってからというもの、実際に6月に結婚したという人を知人で見たことがなかったので中でも近しい人には「ジューンブライドは考えなかったの?」というようなことを聞いてみたことがありますが、女性にしろ男性にしろどの人も大体「梅雨時だし、ハレの日なのに鬱陶しいじゃん。何より式場の値段が高いし」という身も蓋も無い回答ばっかりだったように思います。まぁ、招待客の皆さんの式場への行き帰りの都合も慮ると賢明とも言えるでしょうし。
・第7話 「あの日に帰りたい」 (個人的評価:★★★☆☆)
組の幹部として順調に出世した竹田(演:池田秀一さん)は、ある日の宴席で組長から「お前も貫禄が付いてきたし、ここいらでそろそろ身を固めろ」と暗に政略結婚を勧められるも、「女には不自由してませんし、尻が軽いのはどうも・・・」とやんわりと断りを入れる。縁談の話を聞かされてその脳裏に浮かんだのは、とあるバーのホステスをしている一人の女だった。
以前、不義理をした若い衆にその場で制裁を加える凄惨な場面を目撃して組の者以外は悲鳴を上げてバーから飛び出したものの、そのホステスのヨウコ(演:土井美加さん)だけは臆することも無く逃げなかった…。
それを切っ掛けとして彼女を気に入った竹田はカネや贈り物でその気を惹こうとするも、そうした典型的なヤクザのやり方を蛇蝎の如く嫌うヨウコにはなしの礫であり、しかしながらそれがゆえに竹田はより一層に彼女に惹かれるものを感じてしまう。
とある雨の深夜の路上で口論となった二人。咄嗟にヨウコを壁に押し付ける竹田だったが、ヨウコは真っ直ぐに彼を見据えつつ「やってご覧なさいよ。殴って言うことを聞くかどうか」と静かに啖呵を切る。それに肝を潰された竹田は素直に自分の敗北を認めて帰路に就こうとするが、その潔い彼の態度に初めて彼女も心を開くのだった。
そしてとある夜、護身用の銃を携えつつ夜の街に繰り出す竹田だったが、行き先のバーで護衛の若い衆の眼を盗んで一人タクシーでとあるレストランへと向かった。留守電にメッセージを入れてくれていたヨウコの待つ店に。
席で待つヨウコを見た刹那、タクシーを秘かに尾けていた対立する組の鉄砲玉の連中が店に踏み込んできて竹田をハチの巣にしてしまった・・・。
激しく動揺しつつも一言も発さず此方を凝視するヨウコに対し、自らの血の海に沈んだ竹田は何かを呟いた。
彼女に惹かれた理由……幼少期の運動会での駆けっこで後続の生徒にこっそり足を掛けられて転倒し、他の生徒たちからの囃し立てる声を浴びる中で真剣な眼差しをじっと自分に向けていた見知らぬ女の子の佇まい。その芯の強さをヨウコに見出していたことを感じつつ、武田は薄れゆく意識の中に消えていった。
冷厳なる任侠の世界と夜の蝶の世界とのほんの一時の交わり、みたいなお話で、メインの男女を演じてるのが池田さんと土井さんというだけで外画のような安定感と重厚感を感じますが、物語展開的にも画造り的にも様式美が過ぎたので逆に残らなかったのかもしれません。甘味成分はほぼ皆無な潔さ等、個人的に好みな要素は有るハズながら。
・第8話 「ライオンとペリカン」 (個人的評価:★★★★☆)
初めて滝口(演:大林隆介さん)と会ったのは、志乃(演:吉田理保子さん)がまだホステスとして駆け出しの頃だった。
店にタニマチの男たちと一緒に客として訪れた滝口は既に名投手として名を馳せていたものの、野球を全く知らないがゆえに滝口のこともてんで知らなかった志乃に逆に興味を持った滝口は「アンタに野球を教えたる」と言って自らの運転する車で彼女をバッティングセンターへと連れていく。
彼女を目前に立たせてその寸前で逸れるカーブを投げる滝口。目を瞑らなかった彼女の度胸を讃えるとともに強引にその唇を奪う彼の性は、それまでのあくまで紳士的に彼女を扱ってきた過去の男たちとは一線を隔すまさに"雄"を感じさせるものだった。
それからというもの、関西がホームグラウンドである滝口の球団が東京に遠征する際にはまさしく"現地妻"のごとく、彼の食事管理をはじめとして彼の選手生活を陰ながらサポートすることに。割り切った関係であることは端からお互い同意だったものの、雑誌で彼の妻子との睦まじい様子が掲載されるのを見るにつけ、独占欲がもたげてくるのも否めないところであった。
が、そんな平穏な日々も終わりを迎える時が来て、肩の故障からの成績不振で先発を外されるようになった滝口は「一度相手に弱い姿を見せたら、勝てんようになるんです」とアッサリと引退の記者会見を行う。長年の球団への貢献を讃えてブロンズ像が贈られることになる。
ブロンズ像を誰に捧げたいかと記者から問われた滝口は「愚痴も言わんと長い間ワシを支えてくれた女が居ます。照れくさいことを言うようですけど、ワシの女房に送りたいんですわ」と晴れがましげに語り、それは当然のことながらも内心忸怩たるものを感じてしまった志乃。
滝口が現役生活を終えたことで関係もきっぱり切れたが、雪がちらつくとある冬の夜、バーテンにその後を任せて自らの店を出た彼女が目にしたのは、地下から登る階段の上にポツンと置かれたブロンズ像だった。
"初めてみせてくれた滝口の優しさが、私を包んでくれた"
お互いに人間的には決して噛み合わないゆえに添い遂げるなど到底無理筋ながら、出会ったことは間違いとは言い切れず、綺麗に別れることが双方の礼儀としての愛情表現、、、初見時は未だ高校生ながらも"こんな潔い不倫もひょっとしたらあり得るのかな…..?"とかしんみりしてしまったのを思い出します。
本作も前エピソードのそれのように、メインの男女を演じる大林さんと吉田さんの既に酸いも甘いも経験しているもののさりとて色を忘れるまでには至っていない中年の青春感がなんとも素晴らしい限りでした。
・第9話 「ホワイトクリスマス」 (個人的評価:★★★☆☆)
久美子(演:戸田恵子さん)は同僚の野呂(演:田中秀幸さん)に苛立っていた。律儀な性格の彼女にとっては、仕事での待ち合わせにはしょっちゅう遅刻し、会社でだらしなく居眠りしていることも間々ある彼のいい加減さが我慢ならなかったのだが、同時に編集者としての彼の文章の才能は否定しがたく、そのことがより一層に彼女の神経を逆撫でしてもいた。
二人での作家先生への取材の帰り、せっかくだからと久美子を呑みに誘った野呂は自身の企画案を話して彼女と盛り上がるも、その最中に別の用事をすっぽかそうとしてることを知って彼女に激怒される。「何言ってんのよ!大した用じゃなくても約束は約束でしょ!少しは待ってる人の身になって考えてみたら!!」と。しかし久美子は内心で、自分を信じられないから他人も自分を信じてくれないのではないかといつも怯え、それがゆえに虚勢を張ってもいたのである。
折に触れて幾度も軽く見せかけてアプローチしてくる野呂は「今度のイブ、7時に取材が終わるから8時に待ち合わせよう」と誘ってくるが、どうせすっぽかすに決まっていると呆れた彼女は了承しつつも「もし一分でも遅れたらそれっきりよ」と突きつける。
そして当日の夜、遅れてしまったのは久美子の方だった。自分の方の取材が押してしまったのと、稀に見る降雪で道中の道路が渋滞してしまっていたのである。
どうにか待ち合わせ場所までたどり着いたのはもう日付けが変わる頃。4時間も遅刻してしまったからには近くの店で飲んでいるか、なんなら待ちくたびれて帰ってしまっているのも已む無しと思ったものの、そこには雪を被りつつもじっと彼女を待ち続けていて此方に微笑みかける野呂の姿が…。
心底詫びる久美子に対し、野呂は彼女を強く優しく抱きしめて口付けを交わすのであった。
これも決して悪くはないんですが、如何せんベタなどころか先述の「愛さずにはいられない」のエピソードでの男女の立ち位置をまんまひっくり返したような形に見えてしまうのがなんともかんとも。
ただ、本作で気になったところとしては久美子が自宅で自らの性格を自己分析する中で「几帳面過ぎたり綺麗好きというのは、母親がおしめを取り替える時に上手く替えられなかった子どもに多い」というフロイトの言説を持ち出すところでしょうか。もし初見時の高校生の頃に本エピソードを強烈に記憶していたら何かの折に知識のひけらかしとしてコレを再引用していたかもしれませんが……そもそも実際の言説からはかなり脚色が入ってるパターンかも?(•͈⌔•͈⑅)
Ⅲ. 『愛物語(1991)』[実写版]
・第1話 「夜をぶっとばせ」 (個人的評価:★★☆☆☆)
展開はアニメ版の方と概ね同じですが、後続の彼方と比べるとだいぶコント色が強めになってます。もちろんアニメ版の方も一種の喜劇だったわけですが、序盤の主人公の緊張感が最後に気の抜けたオチへの落差のキモなのに此方は序盤から間の抜けた感じが漂っていて、正直なところ冗長な印象は否めません。
特に主人公が知人の女の子のいるブティックにアバンチュールの女の子を連れていって小物をプレゼントすることで吊る、というような展開を挟むことで彼の小狡い感じがマシマシになってるのがなんとも共感を呼び辛いところで。
あと、ヤクザが追ってくる途中であちこちぶつかって傷を負いながらもゾンビのように徒歩で追ってくる件も実に気が抜けてます。おそらくは長尺のカーチェイスに費やす予算が無かったのかと察しますが、"たたりじゃ~"的に刃物持って追いかけてくるシークエンスが代わりに追加されているもののそっちもやっぱりコント感が出てて切迫感が無いうえに逃げる二人が途中でラーメン食べちゃったりしている始末。
主人公の情けなさゆえの整合性を取るためか、ラストのカーチェイスでは女の方が「あたしを愛してるなら海に車ごと飛び込んで!」と迫り、主人公は目前で怖じ気づいてドリフトして逃げる展開に。アニメ版の方では"愛を試されているのはどちらか?"という話でしたが、こちらは"社会的にアウトローな者たちの方が実は一途な愛を示し、此方の薄っぺらさが際立った"というなんともビターな味わい。
もしも『世にも奇妙な物語』の一遍だったとしたら、他のガチのホラーエピソードでの恐怖を落ち着かせる、且つブラックユーモアを担う話として案外としっくり来たのかもしれません。
・第2話 「裏切りの街角」 (個人的評価:★★☆☆☆)
アニメ版とは違い、主人公自身が緻密に元カノとの別れをシミュレートする頭脳派タイプではなく、その役割はその悪友をキャラクターとして足すことで結果として主人公をキザな人となりにしなくても済むことに。
がしかし、それを受けて、幼馴染みの天真爛漫で都会知らずの女の子に彼とその周囲が気圧されて絆されていく、という本来の趣旨から外れた展開に向かっていくのはオイオイと思っちゃったところで。
ラストの別れと新幹線のホームで彼女の涙に心打たれる流れは踏襲しながらも、その新幹線に主人公が駆け込もうとするところで物語が終わっちゃうので肝心要の"彼女の方が一枚上手"みたいなオチが無くなって純真無垢の大勝利、みたいな感じに。さしずめ、超短縮版の朝ドラ主人公、的な真っ直ぐさか。。
Ⅳ. おしまいに
というわけで今回はどちらもVHS化オンリーのかわぐち先生原作の映像化作品のご紹介でした。最新映画の感想評だったらもっと短くまとめられたハズなんだけど、マイナー作品の話を記事再開に選んじゃったので一話一話あらすじも書かねばと思っちゃったわけで。
ちなみにアニメ版の方を探す際には「抱きしめたい」「夜をぶっ飛ばせ」「裏切りの街角」「ライオンとペリカン」しか内容を覚えておらず、9本立てだったことを教えてもらって驚いたものでした。恐縮ながらかわぐち先生の漫画は代表作群含めほとんど読んだことが無いのですが、フリークの方がこれらの作品を読むなり観るなりすれば先生特有のエッセンスを随所に感じられてまた楽しいのかも。
noteで記事書くのがほぼ一年ぶりになっちゃったのですが、理由としては実に面白くもなんともない"仕事が忙しくなっちゃった"というヤツでして…。一度習慣を止めると再開するのにはなかなか難儀するものですが、一方で再開の一歩を踏み出すと案外と抵抗感が無くなるもののハズなのでまたぞろ定期的に書き書きしたい気持ちでございます。
そういえば、一個前に映画の『学校の怪談』シリーズの感想記事書いてて番外編作品の感想部分書いてないまま放ったらかしだったな…orz。
今回はこのへんにて。
それでは・・・・・・どうぞよしなに。
"おそらくこれが年齢的にドラクエデビューの最後のチャンスや‼"と思ってこの度のドラクエⅢリメイクを買いました。・・・まだ封開けてないけど。
最初に触れたRPGがスーファミのFFⅣで、きちんと発売時点からプレイしたのはFFⅤから。ほんでもって幼少期から凝り性だったんでジョブチェンジやアビリティーポイント云々で膨大に時間の掛かるFFⅤを延々プレイしてる時期が有ったんでドラクエシリーズにまで手を出そうと思えなかったんだと察します。あと、子ども心に味方キャラクターが表示されないドラクエの戦闘画面にはどこか納得いかないものを感じてたように記憶してます。
数々の初期シリーズリメイクもスルーしてしまってきてのこのチャンスなのでちゃんとプレイするべく自分を奮い立たせるためにドラクエといえばこの曲を。
いや、世代的にはドラクエのアニメといえば最初のダイの大冒険の方なんではございますが。( ; ›ω‹ )