【名作迷作ザックザク①】~素晴らしきかな"GW" その二~ 祝!4Kリマスター公開(前篇) 頂点に立った瞬間に己と周囲の醜悪さに気づく"どん底"青春映画『サタデー・ナイト・フィーバー』
結論から言おう‼・・・・・・・こんにちは。(・∀・)
ダンスといえば、高校生の頃の体育祭の「オクラホマミキサー」と「コロブチカ」がおそらく最後の記憶、O次郎です。
今月に入ってから、「Dance&Music映画の不滅の金字塔」ということで件の2作品がリバイバル上映されていますので、ゴールデンウィークにかこつけた記事ということでそれぞれについて語ってみたいと思います。
上記の通り、わたし自身がダンス体験といえば学生時分の体育ぐらいで、あとは少年期に観たこのへんのイメージです。
”ダンス”と聞いてすぐさまパリピをイメージして拒否反応を示してしまう人、ないしキラキラした青春映画が苦手という人にこそ読んで作品に興味を持っていただけたら幸いでございます。未見の方でネタバレを避けたい方は目次Ⅱまで。適宜リンクより飛んでくださいませ。
それでは……ローリング・サンダー・フジヤマ!!
Ⅰ.どんな作品?
ジョン=トラボルタの出世作の一つですが、今日まで語り継がれるダンスシーンそのものよりも家族や友人、ヒロインと己の不満をぶちまけてぶつかり合う、鬱屈とした葛藤の場面が多いです。登場人物それぞれが各々の劣等感を隠そうと必死に虚勢を張り、それがゆえに相手の気持ちへの配慮が出来ないストレスが画に満ち満ちていて、そうした普段のありのままの姿から目を背けたディスコの享楽的なシーンがコントラストとして一層映えているのが皮肉であり、なんともリアルです。
自分の付き合っている親兄弟、友人の人間性を鏡のように見るにつけ、ゆっくりと自省して成長していく姿を描く作品は数多いですが、本作は先の見えない生活の中で最大限輝く瞬間を得た主人公がその頂点でその”気付き”を得て急速に醒めていく様がユニークであり、それこそはダンスシーンは別にしても数十年も人々の心に残る所以だと個人的に思っています。
Ⅱ. キャストいろいろ
・ジョン=トラボルタ
19歳の貧しい出の高卒青年。同居する両親とは喧嘩が絶えないながらも、「兄貴はあんたらのコンプレックス解消のための期待に応えて神父になったんだから、俺は好きにやらせてもらう」という達観と割り切りの良さは非常に次男坊らしい。
その一方でガラの悪い友人と付き合って派手にナンパしながらも、すんでのところでリスクを考えて未だにチェリーだったりとナイーブな印象も強く、その後の『ミッドナイト・クロス』あたりからのワイルド感マシマシな印象からトラボルタ初めをした自分としては新鮮だったりする。
そのあたりのある種、中途半端で煮え切らない感じが当時の同世代の共感を得たのかもしれない。
・カレン・リン・ゴーニイ
主人公より若干年上で、同じブルックリン生まれながらも教養を得てマンハッタンに住む才女ステファニー。主人公の学が無く刹那的な生き方を軽蔑的に見る一方である種の羨望も抱き、彼女の打算的なステップアップを喝破してその上で見習おうとする主人公に愛憎相半ばする。
あからさまに好感を持てるようなヒロインではないところが逆に好感が持てるんだけれども、その後の目立った作品が無いのが残念。
もっと主要キャストを順々に取り上げたいんだけども、正直言ってトラボルタ以外にその後目立った活躍をされてる方が居ないのでキビシーところ。
苦し紛れも甚だしいが、書いてる最中に”トラボルタ”と打とうとして誤って”トラボルト”と打ってしまったので、彼のご尊顔でご容赦を・・・。
Ⅲ. "どん底"シーンの数々
・ヒロインのマウンティングがとにかくエゲツない
・主人公が実は終始醒めていて、”脱皮”する瞬間もエゲツない
・己の真実に気付いたのに友人の真実には心を寄せられなかったエゲツなさ
Ⅳ. 観終わると…
というわけで、当時のダンスやミュージックに全く思い入れのない立場から本作を観てみましたが、そうした主成分とされる要素を素通りしても響くものは間違いなくある作品だと思います。
特に、物語の本筋であるダンスコンテストの最高潮の場面で主人公がどん底の気分に叩き落され、自分たちの鬱屈した生活の原因である被差別意識の解消のためのプエルトリコ人差別に気付くくだりは、現実の直接的な差別撤廃運動とは違った形で響いたのではないでしょうか。こと今日の状況に至っては、35年前に作られたこの作品から、選民意識の恐ろしさをあらためて突きつけられているような気すらしてきました。
Ⅴ. おまけ
「若いカップルがダンスを通して繋がる」という展開の映画は探せばいくらでも出てくるかと思いますが、ひねくれもんの自分としてはこの作品を思い出します。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%B2%E3%81%A8%E3%82%8A%E3%81%BC%E3%81%A3%E3%81%A1%E3%81%AE%E9%9D%92%E6%98%A5
”ダンス映画”というジャンル映画として毛嫌いしていると、思わぬ好物を見逃しちゃうかも。
というわけで、次は『フラッシュダンス』についても書いてみようと思います。どうぞよしなに。(・∀・)