【テレビっ子アゲイン④】"冷酷! 母と息子がオールドミスOLピン子をつけ狙う?!" 火曜サスペンス劇場『女が見ていた』(1983)
結論から言おう!!・・・・・・こんにちは。(∵・ω・)
小学校の頃、都市部の学校との交流会でスケート場に行った帰りの貸し切りバスで流された車載ビデオが何故か『老人Z』だった、O次郎です。
今回は先月にCSで再放送されていた二時間ドラマ『女が見ていた』(1983)です。『火曜サスペンス劇場』の枠で放送された単発作品であります。
CSの東映チャンネルで毎週、"傑作推理劇場"というミステリードラマの放送枠が有るのですが、もともとミステリージャンルが結構好きなうえに"未ソフト化""初再放送"みたいな惹句にめっぽう弱いのでチェックしておりまして、若き日のピン子さんが存外に麗しくて感心してしまったので感心ついでに一本つらつら書いてみようと思ったわけでございます。
80年代に主婦層を主なターゲットに放映されていた緩いんだかしっかりしてるんだかフワッとした感じの昭和ミステリードラマについての雑記、どうぞご照覧あれ。
それでは・・・・・・・・・・"総製作費¥950624379081505768002(笑)"
今見ても結構笑っちゃうような粋なユーモアが楽しい予告篇。
まぁ、劇場公開時にはいろいろ修正が間に合わなくてソフト化の際にようやく…という『ダロス』みたいな経緯を辿ってたようなので、この予告篇作ってた頃には製作陣は相当追いつめられてたんでしょうが、追いつめられてこそセンスが研ぎ澄まされるのもまた事実。
Ⅰ. わたしにとってのミステリー
よく”ミステリーとサスペンスの違いは?”みたいな話がありますが、そもそもが宣伝の惹句としてより語感の良い方が採用される、ぐらいのアバウトな使用感があるので線引きも曖昧で良いんじゃないか、というのが私見ですが、調べてみると、"作品内で謎を提示し、それを主人公が解き明かして推理するのがミステリー、そこに謎解き要素を含まないのがサスペンス"と出ました。・・・う~ん、やっぱり微妙。(・ω・)
というわけで、個人的に幼少期に初めて意識したミステリー作品は、東映の特撮番組『おもいっきり探偵団 覇悪怒組』でした。当時まだ2歳ぐらいで、たしか『仮面ライダーBLACK』の前か後の時間帯に放送されていました。”怪人VS少年探偵団”という構図はまさしく江戸川乱歩の世界観ですが、毎回基本一話完結で怪人"摩天楼"が事件を起こし、それを少年たちが追い解決する中で”ものを粗末にしてはならない””人を見た目で判断してはいけない”といった人生訓を得るジュブナイル物語はストレートに響きました。
次に思い出すのは怪盗ルパンシリーズです。小学校の図書室に揃っていました。アニメの『ルパン三世』シリーズはTVスペシャルや第二期の再放送の世代ですがそちらに触れるのが先だったため、こちらの元ネタとも呼ぶべきルパンの方はなかなかにダーティな内容に大人の香りを感じたものです。
他に小学校で読んでいたのは『ズッコケ三人組』シリーズと『はだしのゲン』で、ズッコケの方にはちょいとミステリー要素も有りましたがそこは割愛。
そこから小学校中学年に差し掛かるころ、スーファミで発売された『弟切草』と『かまいたちの夜』が大ヒットして"サウンドノベル"というゲームジャンルが活況を呈しました。もちろんちゃんと推理してグッドエンドを迎えることも出来ますが、アホの私でも選択肢総当たりで違うストーリー展開に辿り着けた時には喜びもひとしおだったのを思い出します。
小学校高学年になると、日テレ土曜夜9時のドラマ枠でジャニーズアイドル主演・(主に)週刊少年マガジン連載ミステリー漫画の実写ドラマ作品が登場して夢中に。 ※そのへんは以前の記事で触れてるのでよろしければどぞ
中学生になると朝のホームルーム後から一限目までの時間に"読書の時間"なるものが設けられており、活字ならなんでもOKだったので大人しくラノベでも読んでおけばよかったのですが、ちょっと背伸びをしたくて母親から拝借した西村京太郎さんや赤川次郎さんの作品デビュー、という感じでした。上記のサウンドノベルを手掛けたチュンソフト(現:スパイクチュンソフト)の新作『街 -運命の交差点-』も楽しくプレイしたのを思い出します。
高校時代はというと、ひたすら大学受験を意識させられていたのでミステリー作品の記憶は殆ど無し。たまに風呂上がりに親が観ていた『相棒』をチラ見したぐらいか・・・。
大学生の頃は時間もあった筈なのにミステリー関係で耽溺した記憶無し。高校生の頃に殆どゲームやらなかった反動か、過去の初代プレステのゲームを遡ってプレイした中にミステリー系がいくつか有ったのは覚えてる。
というわけで前置きにもかかわらずかなり長くなってしまったのでこのへんにしますが、中年となった今でこそミステリージャンルは重要です。
良くも悪くも人生経験を積んで好奇心が薄れてきてしまっているので、娯楽といえど興味を持続させるのが難しく、そのぶん”謎解き”という時間を掛けての興味の継続が前提となっているジャンルは重宝するところであります。もちろん例外は有るにせよ。
Ⅱ. 作品概要
この手の作品にしてはWikiのページがちゃんと有るのが珍しい。
基本的には、家庭内暴力で父親を殺してしまった息子と母親と、それを向かいのマンションの自室から目撃してしまったOLとの駆け引きがメインの作品です。プロットだけ聞くと『家政婦は見た!』シリーズのようですが、平和な家族の欺瞞を暴くというような要素は薄く、もっぱら殺人を隠蔽しようとする親子と、事件を目撃したことで彼らに狙われるOLとの心理戦の描写に重きが置かれています。
脚本は裕次郎映画やクレージー映画で知られる池田一朗さん、音楽はこの時期の映画・ドラマでしょっちゅう目にするものの個人的には『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』のイメージの三枝成彰さん、監督は『キイハンター』や『Gメン'75』で知られる鷹森立一さん。
で、内容についてですが、まず主演の泉ピン子さんが若くお美しいです。
本作当時実年齢35歳、ということで作中当時は珍しい独身の"オールドミス"(今なら一発アウトな表現…)ということで変わり者扱いされていますが、さらに若いであろう助演の女優さんたちと比べても若々しくスタイルも良く、失礼ながら意外や意外…という感じでした。
TVバラエティー「テレビ三面記事 ウィークエンダー」で鍛え上げられたマシンガントークとネアカぶりは感じられつつも、ちょっとした好奇心でのやらかしから不安の虜になっていってしまう等身大の女性に抑えているのはさすがです。
次に助演の方々ですが、主人公の上司である係長を演じる河原崎長一郎さんが実にいい味を出しています。今でいう名バイプレイヤーで、この時期のドラマでよく見かけます。
妻を亡くして幼い娘との二人暮らしで、歳がそれほど離れていない独身の主人公を憎からず思っているのですが言い出せず、それを知った主人公にからかわれている姿がなんとも哀愁に満ちながらキュートです。
犯人の親子に付け狙われそうになった際に主人公が咄嗟に彼に助力をお願いし、結果的に娘さんも含めて危険な目に遭わせてしまいますが、それでも彼女の身を案ずる人の良さは本作における最大の両親でしょう。
また、当該事件を捜査する刑事役で東映スターの藤巻潤さんが出演されているものの、こっちはさして大きな見せ場が無いのがちと玉にキズ。
そして高田敏江さん演じる母親の毒親ぶりも必見でした。
父親を殺してしまった息子に隠蔽を指示したり、目撃者と勘違いした主人公の隣室の女性を絞殺したうえで死姦しようとする息子を黙認したり、「夫なんて所詮他人。お腹を痛めて生んだ子どものためならなんだってする」と開き直ったり、キャラクターとしてなかなかの圧力です。
それにしても、あの時代に誰にも知られず一週間部屋に引きこもるのがどれだけ大変か、ということがよく分かるのが面白い。日用品や食料品の買い出しを入念に済ませ、マンションの管理人に旅行の日程を細かく伝える。そして娯楽はほぼテレビのみ…。
今現在であればUberで置き配なりでオーダーすれば隣人たちの居ない隙に出前も受け取れそうですし、娯楽についてはTVはCS等含めてチャンネル膨大なうえにネットやサブスクサービスもあるわけで。
その動機が"見栄っ張りなので海外旅行に行ったことが無いことが恥ずかしい"ということでしたが、今なら間違いなく海外旅行自慢する方がマウンティングとして煙たがられること請け合いでしょう。
Ⅲ. おしまいに
というわけで”火曜サスペンス劇場”枠の二時間ドラマ『女が見ていた』(1983)について書きました。調子が出て前置きの思い出話が長くなってしまったのはご愛敬、ということで。
今はすっかり重鎮になられている俳優さん方の若い頃が見られるのが昭和ドラマの大きな魅力ですが、”女性は結婚してナンボ”みたいな社会通念を背景としたドラマは現代では生まれようもないので、物語としても却って新鮮だったりします。
そしてまた、DVD等では権利問題の絡みで他の曲に差し替えられている初期の火サスのEDテーマ、岩崎宏美さんの「聖母たちのララバイ」がオンエア通りに流れて聴けたのが地味に感動ものでした。
『Gメン'75』や『特捜最前線』みたいに重ぐるしい本編の印象をいい具合に浄化してくれる名曲…。
他にも火サスのおススメ作品等ございましたらコメントいただければ之幸いでございます。
今回はこのへんにて。
それでは・・・・・・どうぞよしなに。
火サスの他のED曲、個人的にはYOSHIKIさん作曲・工藤静香さん歌唱の「深紅の花」も好きでした。この時期では貴重なYOSHIKIさんの曲。