ビジネスマネジャー #13
動機付け(モチベーション)
動機付けを行うには、まず部下を受け入れます。
良い点を評価し、将来の可能性を肯定します。それによって、部下は勇気づけられ、モチベーションも上がって力を発揮するものと考えます。
その一方で、部下の短所を指摘し続け、粗探しをするマネジャーもいます。
これでは部下も委縮してしまい、コミュニケーションもとれなくなると考えます。中でも、「モチベーションが下がった」「心折れた」という方がいる状態は、その組織のマネジャーから動機付けができているとはいえません。
部下の短所や悪いところが見えたとしても、直接指摘するのではなく、部下の長所を探して評価するところから実践していきましょう。
動機付けには「動因(ドライブ)」「誘因(インセンティブ)」2つの要因が必要と、心理学では考えられています。
検定試験では、この一文に関わる問題がよく出題されます。
動因(ドライブ)と誘因(インセンティブ)を覚えておくとよいでしょう。
マズローの欲求段階説(5段階欲求)
アメリカの心理学者、アブラハム・マズローによって、1954年に提唱された考え方。人間の欲求を5段階に分け、重要度と緊急性に従った、階層構造をなしているという考え方。
物質的欲求-精神的欲求、欠乏欲求-存在欲求(成長欲求)の階層について出題されることもありますので、押さえておきましょう。
2要因理論
アメリカの臨床心理学者、フレデリック・ハーズバーグが提唱した、「職務満足および職務不満足を引き起こす要因に関する理論」。満足を引き起こす要因を動機づけ要因、不満足を引き起こす要因を衛星要因としている。
部下の仕事における満足感を引き出すためには、衛星要因より動機づけ要因にアプローチすることが重要である。ただし、単純に動機づけ要因を充足することだけを考えるべきではない。
2要因の具体的内容がテキストに記載されています。図表をもとに、職場に置きかえて考え、実践してみてください。
過去の試験では、2要因の振り分けや正誤判定に関する問題等が出題されていました。
XY理論
アメリカの心理・経営学者、ダグラス・マグレガーの著書『企業の人間的側面(The Human Side of Enterprise)』の中で提唱された、人間観と動機づけに関わる理論
X理論
平均的人間は、生まれつき仕事が嫌いであり、できることならしたくないと考えている。物質的欲求を多く持つ人間をモデルとする。「アメとムチ」によりモチベーションの維持が必要とされる。X理論に基づくマネジメントを続けると、実際に、そのチームの人々は強制や命令がなければ動かなくなるゴーレム現象が生じる。
Y理論
平均的人間は、生まれつき仕事は嫌いではないとされている。精神的欲求を多く持つ人間をモデルとしている。魅力ある目標と責任を与え続けることによって部下を動かす手法がとられ、Y理論に基づくマネジメントにおいては、部下に期待することにより、部下はさらに期待に応えようとする効果=ピグマリオン交換が生じ得る。
X=物質=ゴーレム、Y=精神=ピグマリオンと覚えていました。
文面だけでは、X理論を「悪」、Y理論を「善」と読み取りがちですが、状況によってはX理論を必要とするケースもあります。低次欲求の拘りを必要とする現場では、X理論に基づくマネジメントもありえます。
部下の成長度合や、現場の特性等、状況に応じたマネジメントが必要です。
ダイバーシティ
今日までの間、60歳または65歳を定年退職の年齢とされ、現役引退の節目とされてきましたが、人間100年時代をうたわれる様になってからは、シニアの方々の活躍が注目されるようになりました。
「業界を移っても、豊富な人生経験を活かした仕事ができる」
これは、定年退職を迎えた人でなくてもできると考えます。たとえば、20代前半から転職を繰り返している人は、あらゆる業種を経験してきています。就労期間より、今日までに得ている経験の深さに注視する必要があります。
一つのモノを極めんとするスペシャリストだけではなく、何事にも対処できるゼネラリストも必要な人材となってきています。チームをより良くしていくためにも、会社にとって、ただ都合の良い人ではなく、改善していく思考と視点、そして実行力であると考えます。
「年功序列」「終身雇用」「非正規雇用から正規雇用への促進」今、まさにこれらの終焉を迎えようとしています。
今後はパートタイマーの採用がかなり増えてくるとみています。アルバイトに対する賞与の支払は認めない。という最近のニュースは皆さんもご存知のとおりです。
自動車メーカー関連の求人においても、派遣社員はほぼ見当たらず、代わりに直接有期雇用やパート求人が増えています。
また、障がい者向けの採用求人も、以前に比べればかなり増えてきたように思います。実際、雇用障がい者数は増えてきております。
平成27年雇用障がい者数 約45万3千人(前年比+5.1%)厚生労働省より
障がい者を雇うことが当たり前の時代です。マネジャーは、部下に障がい者がいることを前提とした環境を整える必要があります。
コンテクスト文化
「暗黙の了解」「阿吽の呼吸」「一を聞いて十を知る」など、言わなくとも分かるというような、コミュニケーションのスタイルを高コンテクスト文化といいます。いわゆる「察し」です。
日本、特に地方では、この特色が強く出ています。
逆に、低コンテクスト文化では、話されている言葉そのものが重んじられ、「言葉=情報のすべて」とするスタイルです。企業の中には、なまりや方言によって、他県出身者に対する差別をしているところもあります。
なまりや方言など、地域の文化として残していくことは大事ですが、職場における「地域的な独特のコミュニケーション」は不要です。
他県や、他国の人たちに対する理解を示し、思いやりのある、優しいコミュニケーションが必須であると考えます。