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それは知らなくても困らないが、知る”べき”大切なものの一つ
25/12/2021 ホステルにて.
旅での出会いは思わぬ出来事に変わる。
今こうやって隣でタバコを吸っているタイ人の男も、そういえば道を聞いたことがきっかけだったなぁと思うと、不思議なものだ。
僕は普段は決して外交的なタイプではないが、旅に出ているときは積極的に話しかけるようにしている。
その点、ゲストハウスは人との出会いに適している。
その国の人間だけでなく、色々な国から人が集まってくるのだから、そこにいるだけで世界中の国に触れているようなものだ。
今回のゲストハウスにも、フランスに住んでいる韓国人、マッサージを学びに来た元旅人メキシコ人など、肩書を聞くだけで面白そうな人たちがたくさんいる。
僕が海外では外交的にふるまう理由は、もちろんその人自身を知りたいというのもあるが、それ以上になにか面白い出来事を求めているからに他ならない。
旅はどこを切り取っても非日常で面白い出来事の凝縮なのだ。
先日僕は、夜遅くまで仕事をしており、夜の2時くらいにご飯を求めて外に出た。
路上の屋台を求めてさまよったが、どうやらこの周辺には遅くまでやっているお店がないらしい。
こういう時は現地の人間に聞くのが一番であると踏んだ僕は、ホステルのベランダでタバコを吸っているタイ人に声をかけた。
あいにく、そのタイ人は英語がほとんどはなせなかったが、気質が優しい国民性の通り、タイ語と身振り手振りを合わせて一生懸命伝えてくれた。
それが”ユー”との出会いだ。
ここ数日、気づけばユーと一緒にいる。
一緒にいるといっても、昼間は何をしているかわからないので、毎晩偶然出会いベランダで音楽を聴きながらビールを仰ぐ程度。
彼とは日本語はもちろんのこと英語もほとんど通じないので、翻訳を通して話している。
会話をワンラリーするためには携帯に話しかけてそれを見て、を二回繰り返すのだが、なぜか彼との時間は楽しい。
話している内容も日本の音楽がなんやバンコクの街がなんやなど大した話ではない。
決して、すべてを”それらしき言葉”で飾る気はないが、僕とユーは心でつながっているのだと思う。
生まれも育ち持ちがければ話す言語さえも違う。
彼の事を知っているかといわれれば、何の仕事をしているのかも知らないし、そもそもなぜこのホステルに泊まっているのかもわからない。
数日共に過ごしたという事実を除けば、彼とは全くのストレンジャーなのである。
それでも毎晩一緒に過ごすのは、言葉にできない何かでつながりを感じているからだ。
恐らく、心のつながりを感じているのは、日本にも何人かいるだろう。
だが、言葉というものは便利であるが故に、見えなくしてしまうものも多い。
ユーとは言葉が通じないから、この”見えない繋がり”をじかに感じることができた。
しかし、言葉が通じていればそれが分かったかどうかは定かではない。
旅には、不便利さから生まれる学びもあるのだ。
言葉が通じないからこそわかること、それは知らなくても困らないが、知る”べき”大切なものの一つかもしれない。