『細菌が人をつくる』
細菌というと腸内環境のことだけを考えていましたが、身体全部にくまなくいることを考えていませんでした。
口の中、皮膚の上、耳の中全ての部分に存在するのだ。
この本は2018年の発行なのだが、原書は2015年のもので翻訳に3年もかかっている。(翻訳の開始が遅くなっただけかもしれないが)
この分野は発見や新理論が目白押しなのでできるだけ最新の情報がほしいのだが海外版は翻訳の時間ロスがあるのでズレが出てくる、日本の書籍は情報は早いが前回読んだ書籍のようになにか宣伝臭い物が多くてちょっと気になる。ジレンマだよね。
しかし、著者は執筆時点の研究の進み具合も加味し読者に対して希望や注意点を丁寧に説明し警告も発している。
印象に残ったことは、著者夫婦が出産をするシーンで、研究者の子供が生まれることも予想外のことが起こり早産のため帝王切開による出産になってしまうのだが、生れてくる赤ちゃんの腸内は無菌状態のため産道に準備された細菌群を赤ちゃんが取り込んで腸内細菌叢を育てる。しかし帝王切開での出産では産道を通らないため、彼等は産道の細菌を綿棒で赤ちゃんに塗りつけ細菌叢を移植したのだ。
現在の研究では帝王切開による腸内細菌叢への弊害は確認されていないがそのような知識がなければ出来ないことである。
身体中に細菌がいるという話をしたが、蚊に刺されやすい体質も特定の細菌が発生させている現象だと研究結果が出ているらしい。
蚊が好きな匂いをお発生させているため、除菌したら刺されにくくなるということだ。
そう言えば、妹が蚊に刺されやすいので刺されなくなる方法を研究した人がいたような。
結論は足の裏をアルコールで拭くことで蚊に刺されなくなったそうだ。
理論より先に実験でこのような結果を得られるのは素晴らしいですね。
蚊に刺されないと言うのは日本ではそれほど大きな問題にはならないがアフリカではマラリアで多くの人命が奪われているため早急に研究を進めるべき課題になっている。
それでも、細菌たちの調和がどのようになされているのかある細菌を死滅させてしまった時にどのようなバランスになり将来的に我々にどのような害があるのかを見極めて進めなければならないと警鐘も鳴らしている。
人間が霊長類最高の支配者だと考えることができなくなり、細菌によって操作されていることも考えなくてはならなくなったため、より周囲との調和を考えて生きて行くべきなのだ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?