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2023ベイスターズCSレビュー

2024年のポストシーズンが開幕する。ベイスターズの2023年のクライマックスシリーズを振り返ろう。

MAZDAスタジアムに乗り込んでのファーストステージ。

レギュラーシーズンの最終戦に負けて3位になって、ハマスタ開催を逃した。球団もファンも肩透かしを食らっての舞台は三浦監督の鬼門、広島のMAZDAスタジアム。

振り返ると、シーズン終盤の追い上げが、ホームCS開催として実ったカープとは、勢いで押されていた気がする。

①C3x-2DB
先発は床田と東の左腕対決。我慢比べで、5回の宮﨑の2ランで最初のラップを獲る。2-1で迎えた8回裏、続投の東に、落とし穴が待っていた。

先頭が四球で出塁すると、バントで二進、代走の羽月が三盗、最後は菊池がスクイズで同点。ノーヒットで追いつかれたショックは大きい。

その後もバントを絡めて粘り強く攻めるカープは、九里も注ぎ込み、カッチカチの7投手の継投。ベイもサヨナラのピンチを9,10回と耐えるも、11回裏に根負け。

東で負けた。大きなビハインドだ。

https://sp.baystars.co.jp/t/game/result/2021014356


②C4-2DB
先発は今永と森下。今永は初回から西川に一発を浴びる。
この一発が試合の後半の伏線になる。打線は森下を攻略できない。

6回にようやくチャンスをつかむが、新井監督英断の継投策にかわされる。その裏に末包に飛翔一発。
0-2、重苦しい。

そして7回表、中﨑が登板すると反撃が始まった。

ベイスターズ公式サイトより

突然だが【問題①】山本祐大のこの打席の???の結果を覚えているだろうか?

答え合わせはのちほど、その後の経過は以下の通り、ベイスターズは、とにもかくにも同点に追いつく。

ベイスターズ公式サイトより


しかし、8回裏、カープは無死一二塁で、ホームランを打った3番の西川が打席に入る。ピッチャーは2イニング目の上茶谷だ。

【問題②】西川のこの打席の結果は?

結局、このあと2失点を喫し、2-4でベイスターズは連敗となった。

同時にシーズンも終了、この試合が今永の最終登板となり、翌日に予定されていたバウアーの復活登板も実現しなかった。

https://sp.baystars.co.jp/t/game/result/2021014358

ベイスターズは2試合で4得点と、前年に続き、得点力で支配することはできなかった。そもそも、2023は打力のチームとは言い難かったが。

しかし、敗因を探すより、勝因を探すべきだろう。
新人監督ながら新井監督の情熱と丁寧な采配に軍配が上がったのだ。


ここからは、解答編
問題①の解答は犠打。
問題②の解答も犠打(野選)。

先日、「三浦監督、クライマックスでは中軸にバントも辞さず」という記事が出た。これに脊髄反射して否定的なコメントをするファンもいる。しかし、IT企業を自負するDeNAの監督が犠打のデータメトリクス的な考察を知らないはずはないだろう。

ファンは派手に勝ったゲームは覚えていても、地味に負けた試合は忘れがちだ。そして監督や選手は負けた試合をよく覚えている。

2023年のクライマックス、ベイスターズは、バントに負けた。そして同時にバントで勝てなかった。

問題①の場面は、山本のバントが成功して、その後同点に追いついたが、解答が「安打」だったら逆転して勝っていたかもしれない。

しかし、2022年のクライマックスの記憶が監督の脳裏に蘇る。「併殺地獄」、「少ないチャンス」、「連打はそうそう出ない」。そして、山本祐大はバントも巧い。

結局、2試合で20イニング攻撃して、得点を挙げたのは2イニングだけだったことを考えると、たぶん、バントは”正しい”選択だ。

問題②の場面は、前の打席でも、西川はバントで走者を進めている。得点にはつながらなかった。そしてまたバント。二度目は予想の範囲内とはいえ、そして予想の範囲内だからこそ、無死一二塁のケースでは、ある意味で大胆な選択だ。大胆さに狼狽した上茶谷が間に合わない三塁に投げて、結果は野選。そこで勝負は決まった。

先の三浦監督のバントコメントは、昨年の最初の試合のノーヒットで追いつかれた場面と、問題②の場面が意識下にあるのだ。シーズンの後半、8月からはバントを増やして、短期決戦へと視野に入れつつある。

タイガースの2番は中野、ベイスターズの2番は牧。甲子園の牧にバントはさせないはずだが、展開でバントの選択や成否が勝敗を分ける局面が来るかもしれない。

下剋上チームのCSの目標は、日本シリーズを勝つことのみ、だと思っている。

去年、不在だった佐野や筒香もいるのだ。羹に懲りて、ポストシーズンの序盤から、ぎこちない野球はいただけない。ない話だとは思うが、このポストシーズンでどこまで進むかが、監督の去就を決める条件闘争だったら、なおさらノーサンキューだ。

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