Baystars, Be Ambitious.
晴れたので、羊ケ丘展望台に寄って、エスコンフィールドに行ってきた。
僕にとって、北海道といえば、盛田幸妃。次に出てくるのは、札幌市出身の砂田毅樹(ドラゴンズ)。彼は9年前の札幌ドームで先発デビューし、そのあと7月に19歳11か月でプロ初勝利を挙げた。
今のチームに北海道出身者の不在は残念。ファイターズつながりの大田泰示も今回の遠征には不在で、前回遠征時に札幌ドームでノーヒッターを達成した今永もいない。
さて、誰を応援しようか?
ところで、エスコンとは無関係のベイOTKな問題をひとつ。
砂田毅樹と三浦大輔と石井琢朗と山口俊が達成した共通の記録は何か?
ヒントは第二段落にあり。
石井琢朗(忠徳)がトリッキーだが、答は10代のうちに先発勝利を挙げた投手たち。
高卒投手が入団後およそ2年以内に一軍で勝利を挙げるのは、ベイスターズにとってレアケースだ。過去50年を遡っても数えるほどしかいない。
10代という部分にことさらの意味を持たせるつもりはないが、高校を卒業して早くから戦力となった投手は、三浦監督のように長く応援できる。
佐々木や宮城はもちろん、戸郷や髙橋宏斗、才木と10代から勝っている投手はチームの顔といっていい活躍だ。チームはもちろん、球界の希望の星だ。
さて、
エスコンフィールドのブルペンは、外野のフェンスの向こう。ブルペンを直接見下ろすセブン‐イレブン ブルペンシートは、プラチナチケットらしい。オープンエアなレフトのブルペンは三塁側の内野席からもよく見えた。
公式戦は初めてのエスコンとなるファイターズとの3連戦は、選手もファンも記憶に残るカードになるはずだ。
しかし、最後のゲームは、乾いた空気の中で、ファイターズのバッターが悔しいほどの快音を響かせる。試合展開は劣勢、2‐9。「日曜日の憂鬱」も、ベイスターズと美食を追いかけて北海道まで遠征したらしい。
売り子さんの生ビールもレモンサワーもタイムセールで550円となった。しかたない、ガラスの向こうの青空をアテにもう一杯飲もうじゃないか。
それに、ひとりでも多くのエスコンデビュー戦を見届けたい。
8回表、ベイスターズは9番の梶原からだ。横浜では三振ばかりしていたが、ようやく調子が上がってきている。交流戦はそれまでのリーグ戦で苦しんでいた選手のよいきっかけになるのでは、とちょっと期待している。
そして、レフトのブルペンに視線を向けると、僕が待望するピッチャーが投球練習を始めた。
キャッチャーを立たせたままだが、キャッチボールではない。フォームも球にも力がこもっている。
背番号48、京山将弥だ。
前日の先発の中川颯と入れ替わりで、急遽の来道だ。1泊1.5日の弾丸遠征。一軍再登録といっても、まだ今季の登板はない。
昨季も登板はゼロだった。
先週は雨の神宮で、三塁側のブルペンで黙々とストレッチをしていた。その日はブルペンで投球練習さえもままならなかった。悔しそうな表情を隠して、ストレッチバーを肩で担いで左右に回す。最後はマウンドに上がる坂本裕哉に水をつけて、翌日、ファーム行きの指令を受けた…
その日から約2週間の今日、8回裏にようやく、京山の名前がコールされた。エスコンのベイスターズファンが小さく湧いた。メディアによると608日ぶりの一軍登板らしい。
ファイターズはトップバッターから。その日当たっている水谷だ。
全球ストレートで見逃し三振。すべて球速は151㎞以上だ。
力がどうしても入るはずの久々の一軍登板だが、山本祐大はその緊張を解くリードをしている。
素晴らしい。
次の宮崎には同じく全球ストレートだが、コーナーを狙い過ぎて四球。球速は155㎞まで上がった。
そして、次の奈良間には初めて変化球を投げて内野ゴロ、続くアリエル・マルティネスには、粘られるも最後はストレートで内野フライに仕留めた。
好調なファイターズの上位打線に真っ向勝負で、外野に打球を許さなかったのだから、久しぶりの登板としては上出来だ。
京山は牧らと同じ98世代。デビュー当初は、球のキレで抑えていたが、線が細く、スタミナに課題あり、イニングが進むと、球が揃って痛打されることもあった。球種もそれほど多くはない。
しかし、久しぶりの一軍登板は、心なしか体も大きくなって、明らかに球速も上がっている。
今季から加入した入来二軍ピッチングコーチの指導の賜物ということらしい。
1イニングだけとはいえ、先発ローテへの復帰への大きな一歩だ。
最初の課題に戻ろう。
10代で先発勝利を挙げた現役投手は、今のべイスターズには京山だけだ。
彼は、入団2年目の2018年4月1日に先発し、19歳9か月でプロ初勝利を挙げた。その年は6勝。待望の若手先発投手の誕生に僕は歓喜した。
しかし、その後は伸び悩む。高卒選手の体と体力、技術の成長バランスをコントロールすることは難しいのだろう。
まだ25歳。スタートは華麗で、停滞もしたが、同年代の投手に後れをとっているわけではない。
先に挙げた10代勝利投手のうち、石井、三浦、山口に加えて、デビューの年に勝利を挙げた野村弘樹と、4人のスーパースター達と別の共通点もある。
2022年8月、京山はハマスタでホームランを打った。10代で勝利を挙げた投手が打者としてホームランも打つ。
この4氏と同じレジェンド候補なのでは?
京山は、もしかしたら、スーパースターの入口まで来ている。このチャンスはモノにしないと。
少年よ大志を抱け。
日曜日のゲームは残念ながら勝てなかったが、北海道で思いがけず、よい予兆に巡り合った。