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アラフォーでプログラミングに挑戦

アラフォーにもなると、新しいことを始めるのに躊躇してしまう、というのはよく聞く話です(私も現在42歳のアラフォーです)。しかし、躊躇しても、最終的に始めてしまいさえすれば、充実した日々が待っています。

ということで、今回は、何かを始めるのに年齢は関係ないということを身をもって学んだ話です。

私は37歳でプログラミングを独学で学びはじめました。この時点でもうアラフォーですね。そして、現在もプログラミングは大好きで、最近は、このプログラミングの学習が功を奏して、正式にアプリ開発エンジニアとしての転職が決まりました。

「プログラミング」と聞くと、なんだか自分とは全く別の世界の話だと思う方も多いのではないでしょうか。私もプログラミングを始める前はそうでした。思い浮かぶのは、黒い画面に大量のカラフルな文字がこれでもかと敷き詰められているイメージですよね。あれを想像してしまうと、自分には到底無理、別世界の話、という感じがするのはよくわかります。

まず、なぜ私がプログラミングを始めることになったのか、というきっかけのお話から。当時私が所属していた社内のとあるコールセンターのプロジェクトの中にITチームというのがありました。当時現場の下っ端管理者だった私に急にお声がかかり、IT嫌いじゃないし、ということで、そこに異動することになったのです。基本業務としては、もっぱらPCのセットアップ、IT機器の設営や撤去、トラブルシューティングの対応、あとは不正監視業務などを担当していましたが、プログラミングを扱う機会はありませんでした。

ある日、ITチームのマネージャから「みんなが使っているPCのユーザデータを社内のサーバーに自動でバックアップする仕組みを作って欲しい」という指令が出ました。当時私が所属していたコールセンターでは、毎日オペレーターの席が動的に変わる仕組みを採用しており、毎日出社するたびに、各自、手動でサーバーから自分のデータをダウンロードしたり、手動でマウスやキーボード、音量などの各種設定を行う必要がありました。また業務が終われば、バックアップとして、各自で必要なデータをサーバにコピーする必要がありました。

指令を受けたとき、「いや、プログラミングとかやったことないですけど…」というリアクションしかできませんでしたが、別部署の先輩Oさんが教えてくれるから大丈夫、とのことでした。Oさんは、プログラミングがバリバリできる人で、以前は某有名ゲーム会社でプログラマーをしていたらしいのです。

プログラミングの基礎すらわかっていない私に、Oさんは丁寧に教えてくれました。結果的に、完成したプログラムはほとんどOさんが作ったようなものになりましたが、Oさんと一緒にプログラミングをやっている最中は「ああ、なるほど、そういうことか!」という瞬間、いわゆる『アハ体験』を何度も経験しました。これがなんとも言えない快感でした。

そして、実際にOさんと作ったプログラムが、PC用のアプリとして現場に導入されました。現場のスタッフが毎日10分かけて手動で行っていた作業が、ワンクリックすれば10秒で完了するのを目の当たりにしました。コールセンターでは、毎日200人くらいのオペレーターが元旦以外毎日稼働しているわけです。10分かかっていた作業が10秒になり、それが200人に影響し、さらにそれがほぼ365日続くのだと考えると、「プログラミングのパワーってとんでもないな」と心の底から思いました。私がPCのセットアップをどれだけ早くできるようになっても到底辿り着けない境地なのだと、このときはっきりと理解したのです。

それ以降、上司からプログラミングの指令を受けることはなく、業務でプログラミングをする機会はさっぱりなくなりました。ですが、私はプログラミングのパワーに完全に魅了されてしまいました。それに、わからないことがわかったとき、できないことができるようになったときの、あの快感を欲するようにもなっていました。もっとプログラミングをしたいと思うようになったのです。

躊躇いが全くなかったかというと、そんなことはありません。当然、ネット上にあふれるネガティブな情報に触れる機会があり、迷いも生じました。

例えば、プログラマー30歳定年説。これは30歳を過ぎるとプログラマーとしては使えない、という感じの話ですね。あとは、20歳以降脳老化説。20歳を過ぎると脳が老化していく一方なので、新しいことを学ぶのは相当困難である、といった内容です。35歳転職限界説なんかもありましたね。これは徐々に年齢は上がってきてますが、最近もよく聞きます。とにかく年齢で縛ってくるような情報がまあ多いこと。当時37歳の私は、これら全ての限界突破をする必要があるのかと、絶望しそうな気持ちにもなりました。

最終的には、ネガティブな情報には流されず、自分のやってみたい気持ちを貫くことができました。世間の通説を生み出している得体の知れないネガティブな思念のようなものに、自分の気持ちを制御されてなるものかと。月並みですが、何かを始めるのに年齢は関係ない、と思えたのです。

よく言われることですが、始めたいと思ったその瞬間が自分にとって一番若いわけです。そして、なにより「やってみたい」とか「好き」といった感情は、私にとっては、滅多に湧いてくるものではありません。なにかをきっかけに湧いてきたそのレアな感情をみすみす逃すのは、あまりにももったいないことだと思ったのです。

ちなみに何かを始める前によぎる「どうせ自分には無理」という感情も少なからずありました。ただ、冷静に考えれば、やってみないと無理かどうかもわからないですよね。実際に無理だったとしても、「それが自分には無理だということがわかった」だけでも一歩前進なのです。「どうせ無理、時間の無駄」と言って何もやらないほうが時間の無駄なのだと理解したわけです。

そうして始まったプログラミングの独学ですが、Python(パイソン)やSwift(スイフト)といった文法が比較的わかりやすいと言われるプログラミング言語で学習をはじめました。エラーが出て苦戦することも多々ありましたが、それでも何日も調べてエラーを解消したときには恍惚感のようなものがあり、より一層プログラミングの沼にハマっていったように思います。

とにかく昨日の自分より成長できていることを、毎日、はっきりと実感できました。他者と比較するのではなく、過去の自分と比較するというのが、学習を継続できた最大の理由ではないかと思います。

そうして、楽しみながら、自分のペースで学習を進め、Pythonの資格を取得したり、iPhoneのアプリをAppleのApp Storeでリリースしたりしました。アプリのネタが切れたころには、ゲームの個人開発にも手を出しました。Godotというオープンソースのツールを使うのですが、プログラミングのスキルが活かせて、ネタも尽きないので、最高に楽しい趣味を見つけられたなと感じています。

プログラミングの学習を始めてちょうど1年後くらいに、会社の業務で再びプログラムをする機会に恵まれました。

当時はコロナ禍で、在宅勤務が急に始まり、ITチームでは在宅勤務用のPCのセットアップ業務が急増しました。アプリのインストールや各種設定を手動で行っていたので、とにかく時間がかかっていました。ITチームのメンバーは日々残業に追われ、疲労でミスも増えるという悪循環でした。この状況を打破するために、PCのセットアップを自動化しようという話になったわけです。

私はそれまでに培ったプログラミングのスキルを発揮し、ここぞとばかりに奮闘しました。1ヶ月ほどで自動化のプログラムが完成し、見事にPCのセットアップがほとんど放ったらかしで完了できる状況になりました。ITチームの残業も減り、ミスも減り、ひとつの大きな課題を改善する経験ができました。おまけに、私はそれまで契約社員だったのですが、この実績を高く評価され、正社員に登用いただくことができました。

その後も、資産管理用のWebアプリを開発したり、ローコード開発をチームの中心になって行ったりと、活躍させていただける機会が出てきて、それまでに比べて仕事にとてもやりがいを感じられるようになりました。人から頼られたり、すごいねって言ってもらえることが、大きなモチベーションになりました。

ある程度職場のIT化も落ち着いた頃、さらに自分が成長できる職場を求めて、ここ半年ほど転職活動を続けていました。そして最近、一社から内定をいただけました。プログラミングの独学と開発の実績を、自分のキャリアアップに活かすことができたと感じています。

来月から新しい職場でアプリ開発エンジニアとしてのお仕事が始まります。今までは、会社の仕事であっても、個人開発のような環境でした。言ってしまえば、なんちゃってエンジニアです。これからは正式にソフトウェアエンジニアとしてのキャリアがスタートします。プログラミングを始めた頃からずっと憧れていた職業です。不安で、すでに緊張していますが、この大きなチャンスを最大限に活かしてさらに成長していきたいと思っています。

人生100年時代と言われる昨今、いろいろ挑戦して、できることを増やして、人生を自分好みにシフトしていくというのが当たり前の時代になっていくと思います。シフトするタイミングはそれぞれ。何かを始めるタイミングや続ける期間、順番など、本当に人それぞれになると、年齢なんかどうでもよくなるのではないでしょうか。あらゆることにおいて、他の人と比べる必要はなくて、自分がどうしたいか、それだけが問題なのだとあらためて思います。

ちなみに、脳みそは使っていればいつまでも成長するらしいですよ。私自身、今が人生で一番頭が冴えている気がするのです。本当に不思議なものです。

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