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ドッターと見るドット絵広告

 この記事は ドット絵 Advent Calendar 2017 18日目の記事です。

 こんにちは、大津(@O2A1)です。
 ドット絵って温かみがあって良いですね。以上です。ご覧いただきありがとうございました。




はじめに

 みなさんはドッターで、ドット絵広告をご存じです。AdをBlockする宗派の方はご存じないかもしれませんが、インターネットはドット絵広告が稀によく氾濫し、雑です。ドッターはドット絵に思い入れがありますが、広告はドット絵に思い入れがありません。広告は雰囲気でドット絵をやっている。

 ドット絵とは、世間一般では
 1)懐かしい
 2)温かみがある
 3)カクカクしている
 という、ドット絵三原則が遵守されているモノを指す言葉です。

 世間一般は新しいドット絵を求めていません。新作を発表しても資格がないのでマシカクアートになります。逆に、スーパーマリオとかロックマンとかをなんか四角いので再現したやつのほうがドット絵並びにドット絵職人として丁重に扱ってもらえます。現代におけるドット絵はレトロスペクティブの記号として解釈され、消費されます。

 全く関係ない話ですが、ドット絵に自身がないときは「8ビット風」「ピコピコ風」「レトロゲーム風」と銘打っておくと魔除けになります。

 閑話休題。ドット絵の定義を学んだところでドット絵広告を見ていきましょう。本記事はアドセンスおよびプロモーション全般を「広告」と呼称します。内容は個人の感想と純粋な邪推なので、気分を害する可能性があります。あらかじめご了承ください。また、ドット絵がメインのアプリやゲームの広告は含みません。(ブレイブフロンティアとか) それはドット絵を広告しているので、ドット絵広告でないからです。



■日清食品 カップヌードルナイス

カップヌードルナイス - http://www.cupnoodle.jp/nice/

 日清食品の2017年新商品。最近のカップヌードルの広告といえば、世間一般ではサザエさんを現代風にアレンジした「アオハルかよ。」のCMが非情なムーブを起こしていましたが、個人的にはパッケージをレトロ風にアレンジした「ピクセルかよ。」のほうが静寂なブームを起こしていました。

 糖質控えめで「罪悪感ないス!」というキャッチコピーを掲げドラクエ風のCMで始まった本商品ですが、まことにざんねんですがこの路線は消えてしまいました。もともと、公式サイトの企画意図には「パッケージに合わせて8ビットのゲームみたいなCMにした」と記載されていたので、CMはパッケージありきインパクト狙いの戦略だったのでしょう。
 だとすると、なぜ大本命のパッケージがドット絵デザインなのか勘ぐりたくなりますが、「糖質控えめ→量が控えめ→情報量が少ない→ドット絵」ぐらいしか思いつきませんでした。ドット絵はレトロスペクティブの記号として解釈されるので、シンプルさを表現するのに適しています。

 では、ドット絵部分を見ていきましょう。

◆画像:カップヌードルナイス成分紹介

 あなたが「たまご」や「キャベツ」のドット絵を見て違和感を覚えなければ、世間であり一般です。ドット絵はシンプルの権化であり、検収で合格しているからこそ、こうして私たちのもとに届けられています。

 あと違和感を覚える部分といえばパッケージや公式サイトのフォントでしょう。調べたところ「ドットゴシック」という古いパソコンをイメージしたフォントを使用しているようです。

 ドット絵として見ると、文法がおかしな日本語を読んでいるクラッシュします脳が感じで。文字として見ると、遠く離れても可読性があり、“レトロ風”という意図が伝わりやすいので優秀なフォントだと思います。強いていえば、ドッターはターゲット層ではありません。

 カップヌードルナイスのドット絵は「裏奥義0.5ピクセル」や「謎の非等倍ピクセル」など個人的小言ポイントがまだまだあるのですが、これ以上時間を割いていると切りがないス! よってカットします。(糖質控えめだけに) 強いていえば、ドッターはターゲット層ではありません。

 ちなみに、初期の公式サイトは詰めが甘かったです。(糖質控えめなのに)
今は修正されています。よかったですね。

 余談ですが、同じ日清食品の「どん兵衛 鴨だしそば」キャンペーンのときにもドット絵を起用しました。

Internet Archive 鴨長明の野望〜インスタント方丈記〜 -  https://web.archive.org/web/20160402133959/http://www.donbei.jp/kamo/game/

 「鴨の超うめぇ」のシャレが超上手ぇかは置いといて、こちらは「遊べるゲーム」として作成されたためかしっかりとしたドット絵です。歴史上の人物をモデルにしたゲームなので「信長の野望」や「源平討魔伝」を意識したのかなと勝手に思っています。

 とまあ、同じ会社内のドット絵広告でも方向性がてんで異なるということがわかっていただければ幸いです。「一商品」と「一商品のプロモーション」なので一概に同じ広告とはいえませんが。



■.Games(ドットゲームス)

本当に面白い人気のアプリゲーム情報 | .Games - https://dotgames.info/

 特にスマートフォンでブログを見ると見ない日はない広告、それが「.Games(ドットゲームス)」。こちらはバナー型のドット絵広告が多いことで個人的に有名です。

 広告をタップすれば、ライターのオススメアプリをランキング形式で紹介するページに飛びます。私が確認した当時はかなりの頻度で1位が都落ちする大富豪みたいなライブ感あるランキングでした。(今は安定しているみたいですね!)

◆画像:3分間で下克上が3回発生したランキング

 基本的に紹介されるアプリは最新のバリバリ3DかバリバリLive2Dのゲームアプリです。バナーに描かれたドット絵は疑似餌ですね。ドット絵はレトロスペクティブの記号として解釈されるので、ゲームらしさを表現するのに適しています。

 では、ここで代表的なバナー広告を見てみましょう。

◆画像:本当に面白いゲームアプリTOP10!

 ポケモン風のドット絵広告です。このバナーをタップすると「ピコピコ世代のライターがハマったおもしろゲーム」を紹介してくれました。内容は前述の通りバリバリ現代っ子向けゲームなので、ピコピコ世代はイマという時代をたくましく生きています。

◆画像:「無課金でも遊べる」ゲームランキング!

 おそらくこれもポケモン風のドット絵広告です。【保存版】と銘打たれていたので保存しておきました。ドット絵のやべー技術が豊富に含まれているので、ドッターは参考にするといいでしょう。

◆画像:本当に入れてよかったと皆が大絶賛!

 戦闘画面風のドット絵広告です。ファイナルファンタジーを意識した感じでしょうか。ちなみに「.Games」はフリーのドット絵素材を多用することで個人的に有名です。ご覧の広告ではドラゴンが「Rド」、パーティが「臼井の会」のドット絵素材です。あえて画質を落としファミコン風に寄せているところがなかなか憎い演出ですね。憎い。憎い。

◆画像:あのファンタジーRPGが好きなら絶対ハマるスマホゲーム10選!

 みなさんもご存じ、あのファンタジーRPG風の広告です。こちらのバナーも、もれなくフリーのドット絵素材を使用しています。敵側の素材は「Material World」の「ガルーダ」と思われますが、どうみても鳥系で、鳥を意識した名を持つグラフィックに「ファイヤードラゴン」と名付けられるセンスは群を抜いています。鳥の祖先は恐竜なので理屈は通ります。参考になる!
 横を向いたドラゴンの素材が見つからなかった説は無視しましょう。

 以上のように「ゲームと言えばドット絵」「ドット絵万能説」「ドット絵に反応した人だろ」を地で行く広告展開をしているので、インターネットでドット絵広告のバナーを見たらだいたい「.Games」です。

 ちょっと興味を持って調べてみたのですが「.Games」の運営会社は「株式会社シロク」です。「株式会社シロク」の関連会社(親会社?)は「株式会社サイバーエージェント」です。ちなみに「note」の運営会社「株式会社ピースオブケイク」は「サイバーエージェント・ベンチャーズ」から増資を受けています。





 .Games最高これからもじゃんじゃんアプリ紹介してください!シロクさんGrowthbeatめっちゃ使ってます実装楽!最高!AbemaTV見てます!最高!サイコミ読んでます!最高!最高!

最高!

最高!



■キャリタス就職 キャリタスクエスト

キャリタスクエスト - https://quest.career-tasu.jp/

 ドット絵広告にけちをつけすぎではないか、という幻聴がするので別方向の例を紹介します。

 キャリタス就活という、就活生をターゲットにしたプロモーションサイトです。就活を冒険ととらえ、診断結果を「RPGのキャラクター」で例えています。ドット絵はレトロスペクティブの記号として解釈されるので、ゲーム感を表現するのに適しています。ドット絵を使う意義が見受けられる広告ではないでしょうか。

◆画像:診断結果の例
(URLの数字をいじるとキャラパターンだけなら全部見られると思う)

 診断結果=キャラクターのドット絵は100種類以上あるらしく、手間がかかっている印象です。顔や装備などはパターン化されていますが、それでも面倒なことには変わりません。アニメーションもしてるし…

 サイト全般に使用されているフォントは「PixelMplus」でしょうか。全体的にドット絵(≒ゲーム風)によせているところが個人的に好感を持っています。Bold体には目をつむりましょう。

 あえて突っ込むとするならば「ドット絵はカクカクしている」という意識に引っ張られてフレームやふきだしのラインが太い(解像度が粗い)ところでしょうか。めちゃくちゃ気になる人がアラ捜しで提示するレベルですが。



■IPSA TARGETED EFFECTS

IPSA TARGETD EFFECTS - https://www.ipsa.co.jp/sp/te1710/tesg.html

 異色中の異色、化粧品のドット絵広告です。「有害物質からの肌ケア」を「モンスターとの戦闘」ととらえ、RPG風のドット絵で構成された広告です。ドット絵はレトロスペクティブの記号として解釈されるので、ゲームの雰囲気を表現するのに適しています。

◆画像:たるみの説明をする博士みたいな人

 サイトの内容については、わかりやすさ重視のためかキャリタスクエストと比べるとドット絵によせていません。こちらの広告のメインはなんといっても宣伝動画に尽きるでしょう。

 プロモーションビデオとしても完成度が高いですね。昨今、ここまで気合の入った動画はめったにお目にかかれません。よくてドット絵をメインに使ったゲームアプリか、ピコピコサウンドミュージックビデオくらいです。

 こちらもあえて突っ込むなら、どうして「ドット絵」と「化粧品」、相反する客層をTARGETEDしたのか、という点でしょうか。

 現代社会におけるドット絵をカワイイ対象とする女性層は、ピンクとシアンがグラデーションしたドット絵か、ゆめにっきやUndertaleのようなグロテスク要素を含むドット絵を好むといわれています。(※個人の見解です) その辺りは加味していないのか、担当者の趣味かはわかりませんが、広告としては若干勿体ない感じはします。



■セントラル短資FX

将来が変わる!お金の増やし方とは - https://www.central-tanshifx.com/ad/lp4_1/38/index_lp38.html

 個人的にはキング・オブ・ドット絵広告にあげるサイトです。理由は後述するとして、サイトは「FXを初心者にやさしくゲームで例えて説明する」コンセプトで作成されています。ドット絵はレトロスペクティブの記号として解釈されるので、ゲームっぽさを表現するのに適しています。ちなみにこのサイトはAdなので、Blockしていると表示されません。個々の判断に任せます。

 それでは、ドット絵部分を見ていきましょう。

◆画像:「石の上にも三年。」なのだ。

 ワオー。

 ドラゴンのドット絵は「敦煌回廊」の「ドラゴンの歩行グラフィック」ですが、無理にニアレストネイバーで非等倍に拡大したためかピクセルがガバガバです。他には、日本国旗はドット絵なのにトルコ国旗がドット絵じゃなかったり、コインの放物線が普通の太線だったりと無理にドット絵を使わなくてもよかったのではという感じはありますが、都合のいいフリー素材はインターネットに落ちているわけではないので致し方がないところもあります。
 これぞ「ゲーム=ドット絵」という、見えない縛りが産んだ広告とも言えるかもしれません。キングと呼んでも差し支えないと思っています。

 サイト中に使用されている「モンスター(骸骨とか)」や「仙人みたいな人」も同サイトの歩行グラフィック素材ですが、メインの会社員みたいな人のドット絵の出どころはわかりませんでした。オリジナルでしょうか。

 肝心のサイト内容は、個人的には「ゲームで説明する」ことに振り回されてるなあという印象です。モンスターが上下に動いているって何なんだろう…



おわりに

 私は趣味でドット絵広告を集めていて、いつかまとめようと思っては放置を繰り返してきたのですが、Advent Calendarという機会を得て記事にしました。文章を書き慣れていないため後半が壊滅的な内容になりました。お手軽ですがご容赦ください。
 記事を書いといてなんなんですが、私自身、面倒くさい性格なのがよくわかりました。世間一般はドット絵広告を保存して記事を書いて突っ込んだりしません。つらい。


 10年後、ドット絵は存在するでしょうか。存在します。ドット絵三原則がある限り、見えない鎖に縛られたドット絵がそこにいます。今後もカクカクしたイラストが世間をにぎやかし、ピコピコしたサウンドが一般に持てはやされるでしょう。


 ドッターは現状を打ち破ることができるだろうか。
 わからない。ただ、ドッターはドット絵を打ち続けることができる。





おまけ

 記事中で軽く触れたドット絵のミュージックビデオについて適当に貼ります。ドット絵はレトロスペクティブの記号として解釈されるので、レトロゲームを表現するのに適しています。見直したらだいたいKAI-YOUに載ってた

 こういうミュージックビデオ製作者に同じ人が多いのは、ピクセル・アニメーションを手がけられるクリエイターの数が少ない説を推しておきます。逆にいえば、あなたがピクセル・アニメーションを手がけられるのであれば、この枠に入れる可能性があります。

 ドット絵で有名になるためには、アニメーション技術の習得は必須科目です。積極的にアニメーションに取り組みましょう。海外メディアにインタビューされる日も近いかもしれない。


 僕はアニメーションをがんばらなかったのでこうなりました。

 載っただけでもありがたいと思え、という幻聴がするのでここで終わりといたします。ありがとうございました。

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