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特別送達の受取注意 控訴・上告期限徒過の対策
8年前にこんなメールを所内にしていたのですが、所長弁護士が所内弁護士に再送してくれています。
せっかくなので、ここにコピペしておきます。
※こうして記事にする関係で少し改訂しています。
---------- Forwarded message ---------
From: 大西洋一
Date: 2016年10月12日(水) 13:41
Subject: 控訴・上告の留意点
To:(省略)
1.控訴期限・上告期限をきちんと確認してください
土日は時計が進まないと勘違いしないよう注意。
勝手に計算せず、裁判所に確認しておくこと。
もっとも書記官が間違える可能性もありますが。
判決正本受領又は送達を受けた日が起算日。
↓
土日に仕事してるときに判決正本の特別送達郵便が来ることもあります。
「私はちょっとこの郵便については承知していないので、お手数ですが平日にお願いできますか」と言って受け取らないようにしてください。特別送達は受領拒否はできませんが、何も事情が分からず、このようなことも承知していないので平日にお願いしたいのですがというソフトな言い方で持ち帰ってもらえるようにしてください。
連休初日や正月休み中に受け取ると本当に困ります。
2.期限の3日前くらいを依頼者宛の期限とする。
「●月●日までに当事務所が把握できる形でどうされるかご連絡をお願い致します。この日を経過した後に控訴・上告をするとの意向を頂いても対応できない可能性があるので留意下さい。」
みたいにしておく。
3.催促は形に残す。相手が確認しているところまで確認する。
メールを送っただけではだめ。メール+電話できちんと伝える。判決正本のコピーを送るときにきちんと期限について明示して、その期限を口頭などできちんと確認する。
→メールや手紙を送っていればセーフなことも多いが、それ以前に、文句が来ないような形を作っておくのが本当の意味での保身だと思います。
4.期限日当日に手続きしないようにする。
何かの数え間違えの可能性もあります。
絶対に大丈夫なうちににやれることは済ませておく。
5.依頼者の都合に留意する。
土日祝日・夏期正月休暇などで連絡が全然取れないこともあります。
個人だと長期旅行に出ることもあり得ます。
とにかく早く知らせるようにしてください。
例えば、交通事故なら、保険会社の担当者・代理店、色んな人に「連絡が付かなくて困ってる」という話を出しておく。
6.どうしても連絡が付かない場合
保存的に上訴しておくのも手です。委任事項に書いてありますし。ただ、収入印紙代がかかります。
7.上告審
上告状・上告受理申立書
する場合は、どちらも出すのを原則としますが、上告事由がなければ上告受理申立書だけでokです。
上告理由書・上告受理申立理由書が遅れると一発アウト(却下)です。
「上告理由は追って上告理由書で述べる。」
という形式的なものでもいいですが、明確であれば、一言書いた上で
「詳しい上告理由は追って上告理由書で補充する」
としても良いと思います。
8.上訴期限徒過、上告理由書・上告受理申立理由書期限徒過
期限徒過で懲戒請求を食らうと、間違いなく戒告にはなります。
ただし、こちらがやることをしていて、返事が来ない、あるいは遅れて返事が来たときにきちんと留保条件を伝えておいたときは大丈夫です。
各自、保身をきちんと図るようにして下さい。
「電話で催促していた」→証拠は?となったとき、証拠がないとキツいです。
なお私がこういうメールを送っているのは、皆がうっかりミスをしないようにするためというのが第一の理由ですが、私の保身の意味合いもあります。
「法人の代表として勤務弁護士の指導を怠った」と懲戒請求されたときにこのようなメールを重要マーク付けて定期的に送っていれば「いや、このメールのとおり、きちんと勤務弁護士には注意を促しています。」と弁明できます。
期限徒過は言い訳ができないことが多いのでくれぐれも気をつけて下さい。
また、期限徒過に限らず、何かウッカリやってしまったときはその日その場で私の携帯に電話連絡して下さい。出ないときは留守電に「やらかしてしまって大変なのですぐ折り返してほしい。」と吹き込んでください。また、何度も電話してください。
「あとできちんと報告しようと思っていた」なんて弁解にならないようにしてください。
悪いニュースはすぐに隠さずお願いします。
私に必ず相談してください。
報告が遅れると「報告が遅い」「報告しないままで済まそうとした」などと、追加失点的な悪評価をされかねません。
(以下メール署名なので省略)
ーーーー
事務所経営している先生はこのような注意を定期的に促すとよいと思います。
(おわり)
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