WWDのセミナーに参加しました/ファッションローについて(2)
このようなnoteも書いていますし、何より、最新の事例に触れたいという考えから、以下のセミナーに参加しました。(なんかタイトルが変になっていますが)
WWDは、ファッション業界の中では、超がつくほどの有名メディアですが、当然、法律の専門メディアではありません。しかし、一昨年ほど前から、「ファッションロー相談所」という特集記事を定期掲載したり、昨年末には、1号まるまる「ファッションロー特集」を行うなど、当該分野の認知拡大に多大な貢献をされていると思います。このような背景もあり、ファッションローの一線で活躍されている、小松先生(※Twitterやられていますが、法律は別の場でとおっしゃっているのでリンクは張らず)、海老沢先生、池村先生、関先生が一同に会するセミナーということで、私は、当然、参加しました。ほかの方の期待値も高かったようで、大雨の中での開催でしたが、満席でした。中身にも触れたいところですが、有料のセミナーということで、詳細は、控えさせていただき、今日は、感想めいたことと、このような先生方とどのように企業側が接していけばいいのかという話をしたいと思います。
(1)セミナーの感想
まず、1部として、小松・海老澤両弁護士(三村・小松法律事務所)がファッションローの全体像をご説明。非常に実務感の溢れるお話が多く、日々、いろんな(企業側、クリエーター側問わず)相談が来ていると感じさせる内容でした。特に、モデルの人権等への配慮に関しては、かなり学ぶところがありました。(日本では、まだまだ話題に上がっていない分野だと思います)。海外のラグジュアリーブランドが出している指針等は、近い将来、日本にも到来する可能性が十分にありますし、この点をキャッチアップできたことは収穫でした。
第2部は、池村先生(三浦法律事務所)。著作権法の基礎、肖像・パブリシティのご説明。ご本人曰く、ファッションの案件が多いわけではなく、ファッションが好きだから、今日は登壇している理解です(笑)とのことですが、確かに、放送・エンタメの方という印象を持たれている法務クラスタの方は多いと思います。なお、当日のスタイリングはさすがでした。内容については、そのような前振りはありましたが、おそらく、同分野の著作権事件については、ほぼ網羅されてたのではないかと思いますし、かなり整理できました。社内のセミナーにも利用できそうな資料的な価値も高かったです。(残念ながら、関先生(関真也法律事務所)は、池村先生の裏番組でお聞きできませんでしたが、ファッションスタディズ でも連続講座を持たれているので、そちらでキャッチアップできれば。というところです。)
(2)ファッションロイヤーとのお仕事
さて、このようなファッション分野に強いファッションロイヤーの方々と、お仕事をする点で、もっともメリットがあるのが、業界事情に強いという点だと思います。共通言語が多いともいえるかもしれません。例えば、「コレクション」といって、いつ頃、どのようなものかということの説明は、不要でしょうし、SS(春夏)、AW(秋冬)なんって言葉も、そのまま通ると思います。第1部冒頭の説明でもあったのですが、業界構造が専門家の頭の中にしっかりと存在しますので、企業側が、本筋と異なる説明に時間を取られることなく、案件として、重要な部分にしっかりと時間をかけ、適切なアドバイスを受けることができるのではないでしょうか(ファッションに限った話でありませんが)。
ただ、前回のnote にも記載しましたが、ファッション業界は、そのブランドの特性によって大きくその戦略が異なります。これらのどの分野(ラグジュアリー、トレンド、ファスト、ほかにも、ストリート、スポーツなどなど)にでも、精通している方というのは、なかなかいらっしゃらないのではないかと思います(ファッションローという切り口は、少なくとも日本では、ここ数年の話ですので、今後、これら先生方、そのようになっていかれる可能性が非常にあると思いますが)その前提をとったときに、企業側がとれることは、自ブランドの領域における特性をしっかりと法的に整理し、それを、多くの情報・資料の裏付けをもって説明できるようになっておくことではないかと思います。特に、例えば、法務部の方でも、自分の会社のプロダクトに関心がないという方は、(ファッション業界にかぎらず)わりといらっしゃってびっくりします。特に、この分野では、そのような姿勢は、かなりなマイナスだと思います。(その意味で、池村先生が、「ファッション好き」とおっしゃっていることは、案件の多寡を超えて、信頼に値することだと思います)。
法的なところについては、おいおいまた、書いていきたいと思いますが、私自身が、ちゃんと自ブランドや属するカテゴリーについて、説明できるようにするために、心がけていることは、以下のようなことです。
1.自ブランドの展示会・ショーへの参加(少なくとも展示会は、どのブランドも開催しますので、そこで、トレンドをしっかりと押さえます。) 2. 百貨店、ファッションビルのお散歩(ブランドのテイストで、出店するビルは大きくことなると思いますが、時間が許す限り訪問するようにしています。製品だけでなく、PRの方法、VMDなど、法的に気になる情報もたくさん収集できます) 3. 買う(店舗でもECでも、やっぱりお客さんになるというのは、とても大事だと思っています。CSなど、体感してはじめて、気づくこともたくさんあります) 4.ファッション誌ブートキャンプ (あまりできていない時もあるのですが、定期的にファッション誌を時間をかけて、かたっぱしから、読みということをしています。もちろん、何冊も買えませんので、(重いし。。。。)Kindle unlimited で、読んでいます。 5 4と近いですが、ファッション誌のストック (不正競争防止法の視点で割り切っているのですが、3年間ほど、自己のブランドが掲載されいる書籍をストックしておくと、トレンドの長いスパンでの傾向も読めますし、何より、訴訟資料にも使えます)なお、これは、企業に属ししている方は自社に必ずありますので、それを頂けるようにすればいいだけかと思います。
当然、法的な分野の自体の習得も同じか、それ以上に重要だとは思っていますが、よりよい仕事するために。。といった視点で書いてみました。このあたりは、業界によっても、いろいろな方法があるかもしれませんね。