今、あえてのリムブレーキ
■時代はハイテク■
ハイテクノロジーが席巻する昨今、ロードバイク業界も技術革新の真っ只中だ。
代表格が油圧ディスクブレーキと電動変速であることはホビーユーザーですら実感しているはずだ、ディスクブレーキの高い制動力、部品供給の安定性、車体の重心低化、電動変速の電光石火のシフティングなどのメリットは数知れず、もはやこれらのテクノロジーを否定する理由など無いはずだ。
しかしながら、今自分の手元には「アルミフレーム・ワイヤー外装・リムブレーキ」の自転車がある。
さながら現代のドン・キホーテ、はたまたラストサムライ
何故、私は時代遅れも甚だしいシーラカンスの様な自転車を買ったのか。何故、今リムブレーキなのかを書きたいと思う。
■リムブレーキこそオールドスクール■
リムブレーキの利点、それはズバリ、メンテナンスが容易であることだ。ディスクブレーキに比べて構造がシンプルで、ほとんどの調整や修理を自分で行うことができる。これにより、メンテナンスにかかるコストと手間が大幅に削減される。
また、リムブレーキはディスクブレーキよりも軽量だ。これは、ディスクローターやキャリパーなどの追加コンポーネントを必要としないからだが、正直そんなものは論理的なメリットの話でしかない。
なぜ、高性能な車があるのに旧車に乗り続ける人がいるのか……なぜクッション性や履き心地に優れたスニーカーがあるのにヴィンテージシューズを愛する人がいるのか?
それはつまり「オールドスクール」
一種の懐古的な良さがあるからではないだろうか?
かつて、ロードバイクは気軽に乗れる高性能な自転車であったはずだ。
ランドナーやスポルティーフは間違いなくこの立ち位置であった
10年程前はロードバイクももっと自由で独創的で各メーカー色がある自転車をリリースしていた。
最新のロードバイクは誰しもが早く走れ、そのテクノロジーを享受できる。だが、結果的に各メーカー似たようなものになり、ロードバイクに自由が無くなって来たように感じる。
ふと、こんな環境を窮屈に感じる自分がいることに気付いた。
だったら思いっきり消えゆく古き良き自由な時代のロードバイクを楽しもうではないか!
そんな思いでリムブレーキのワイヤー外装ロードバイクを購入したのである。
■ジャージの様なアレー■
今回購入したのはスペシャライズドのアレーという自転車だ。
このロードバイクはスペシャライズドの入門モデルであり、上位にはアレースプリントというレースでも第一線で活躍する様なストイックなモデルも存在する。
その点、このアレーは至ってシンプルなアルミバイクで特筆する様な飛び道具を備えてはいない。
しかし、この自転車はそのオーソドックスさ故にパーツ交換がしやすく長く楽しめる余地がある。
乗り味も非常に素直で貧弱サンデーユーザーの私でも扱いやすく、限界も非常に把握しやすい車体でありどこまでも優しさを感じる作りだ。
ただ乗りやすいだけではない。
パーツをしっかりとしたものに変えてもフレームが劣ることなくシッカリと操作に追従する動きを見せる。
■まだまだ遊べるリムブレーキのロードバイク■
私は、ジャージのように気軽に扱えカスタムする楽しみを与えてくれるアレーというバイクに満足しています。それは、メンテナンスが容易で、軽量で、扱いやすく、乗ることの純粋な喜びを思い出させてくれるから。
もし、ロードバイクを始めようと思っている人や最新の高性能ロードバイクに手が出なくて困っているライトユーザーがいたら、あえてリムブレーキのシンプルなアルミロードバイクを勧めたい。
古き良き時代のロードバイクにもまだまだ楽しめる余地があるのだから……