入門2.推論と妥当性
端的に言って、論理学は『推論の妥当性』ないし『命題の恒真性』を考える学問である。そして、このことは『矛盾』を考える学問であるとも言い換えることができる。
というのも、妥当性をもった推論というのはすなわち『恒真』の形式を採るのであり、それは『矛盾』の形式と───その真理値を逆として───対応しているからである
というと、「さっそく『妥当性』だとか『恒真』『矛盾』だとか知らねえ言葉出してんじゃねえよ、いや、矛盾はなんとなくわかるけど」といったお叱りを受けるかもしれないので、今から説明していきたい。
そのためにはまず、『推論』について話さねばならないだろう。ところで読者の方々は、『推論』についてどのようなイメージを持たれているだろうか?これについては、たとえば「なにか前提というのがあって、そこからなんらかの結果を得るまでのもの」くらいの認識を持っていれば上等である。
本書では、推論を次のように定義しよう。すなわち、『前提となる命題から、結論となる命題を導くまでの手続き』である。
そして『妥当性』というのは、次のような推論形式について認められるものである。すなわち、『前提が真のとき、結論も真となるような推論形式に認められる性質』である。
なんと!面倒なことにまた新たなワードが出てきてしまった…『前提』と『結論』である。
いや、もしかしたらこれは説明するまでもないかもしれない。前提については次のような認識で良いだろう、すなわち、『推論をするときに、とりあえず認めておく命題』くらいのものである。そこに推論を加えて得るような命題が、『結論』である。
そして『恒真』というのは、この『妥当性』を包摂するのだが…一気に書いてもよくないと思うので、それは後のページで。まずは、本項で説明した『推論』および『妥当性』というものを完璧に把握していただきたい。