ニュージーランドは銃社会へ向かう

ニュージーランドは牧歌的な国であり、重大な犯罪などめったに起こらない。警察もほとんど武装しておらず、重大な犯罪が起きると一旦警察署に銃を取りに行くために初動が遅れがちなほどに平和な国だ、というのはニュージーランドにいる日本人の間で割と語られる話だ。

一方で最近のオークランドでは警察が常時武装しており嘆かわしいという話も聞く。

そんな日本人の間であまり話題に上らないニュージーランドの真実が一つある。

それはこの国は銃社会だという点だ。

何年か前にジャシンダ・アーダーンが感動的な演説をしたクライストチャーチのモスクへの襲撃事件、犯人はオーストラリア人の若者だが、彼に銃を供与したものがいるがゆえにこの犯罪が実行されるに至った。

この事件後ニュージーランド政府はお得意の迅速な事後対応で銃の回収を行っているが、うまくいっていない。

なぜうまくいかないかは簡単で、誰が銃を持っているか政府が把握していないからだ。

ニュージーランドでは行政はインターネットをかなり活用しており、これも現地の日本人が便利だなんだとほめそやしているが、裏を返せば政府はインターネットに書いたんだからそれでいいだろうという対応になっていることは言っておく必要がある。

ニュージーランドでは先の襲撃事件以降例えば軍隊レベルの銃火器は違法なものになったが、これも裏を返せばその辺の人がそういうレベルの銃火器を持っているということでもある。

また、少し郊外に行くと、「ここは武装された所有地だ」という看板も目に付く。

つまりアメリカ同様自己防衛手段として銃火器がニュージーランドに蔓延しているということでもある。

今は銃を購入するときは、身元を明らかにする必要があるがこれもクライストチャーチの襲撃事件以降に導入された制度のため、今も国内には政府が把握していない銃火器が方々にあることは明かだ。

そしてこの度ニュージーランド国内の銃は学生にまで所有されていることが明らかになった。

これはニュージーランドのハイスクールでけんかをしていた女子の一方が相手の女子の頭に拳銃を突き付けた、というものだ。

日本にいるとあまりイメージしにくいかもしれないが、海外では女子も殴り合いのけんかをする。私も何度か見たことがあるが、目が合って3秒後には顔面にこぶしを叩き込んでいる。

今回のけんかについては頭に銃を突きつけるということで明確な殺意すらあるということだ。

ニュージーランドにいる日本人はあまりこういう話をしないが、コロナによるロックダウン以降銃犯罪は目に見えて増えている。

ロックダウン以前は銃犯罪というのはほとんど新聞に載っていなかったが、深夜の店で店員にショットガンを突き付けて強盗を働いたというニュースを一度見たくらいだろうか。

そう考えるとコロナウィルス以降この国の銃犯罪はすさまじい勢いで増えている。

コロナウィルスに伴うロックダウン、日本人はジャシンダ・アーダーンの迅速かつ勇気ある決断に敬意を表していたが、ニュージーランド社会では人太が職を失うことを懸念していた。

事実ロックダウン以降ドメスティックバイオレンスの件数は増加し、これは人びとが将来における不安、仕事を失うストレス、などによって一部の人が暴力行為に及んでいるという分析をごく初期にしていたが、その後この手のニュースは聞かれなくなった。

この国でも日本と同様報道されないことは起きていない。

だがこの国では犯罪を犯して刑務所に入ることは悪いことではない、なぜなら刑務所の生活が快適だからだ。

ニュージーランドでは囚人一人当たりに支払われる予算が今は年間15万ドルになっているらしい。これは囚人の数が減っているからだ。2018年に12間ドルだったのが囚人が25%減ったので15万ドルに増えた。

つまりかなりの額を支払って囚人の面倒を見ているという事にもなる。

日本人にとってのオーストラリアは羊ばかりのおおらかな人々の国、というものが今もって根強く、この実は銃社会であるということを知るとショックを受ける人もそれなりにいるし、この国にいる日本人はあまりこのネタを話題にしない。

だがクライストチャーチ襲撃事件以前は、その辺のアウトドアショップで普通に猟銃が販売されていたことからもいかにこの国が銃社会であるかはすぐにわかるだろう。

ロックダウンと深刻なインフレによって開き続ける貧富の差や貧困層を中心に醸成される社会的な不満が今後も銃犯罪を生み出す可能性は高いといわざるを得ない。

そういうわけでニュージーランドに来ることはお勧めしない。

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