ニュージーランドのオークランドが世界一住みやすいという信じられない報道

ニュージーランドに住んでいて、なんでこの国はこうも住みにくいのか、特にオークランドほどに住みにくい街はない、特にオークランドなんて言うのは東京を100倍不便にして10000倍難しくしたような街だ、と思っていたのだが、どうやらこの町は世界一住みやすいらしい。

正直言って私はこれを聞いて目を疑った。住民にとって住みやすい要素が何一つないのだ。おそらくこのランキングには「住民が住みやすいか」という項目がないに違いないと思う。

そういうわけで今回はオークランドの交通事情について話す。住宅事情についてはこれまで何度も話していたが、人々から限界以上に金をむしり取るための投資家のマネーマシーンでしかないの一言で今回はいいだろう。このほかにも様々なポイントで住みにくいのだが、全部書いたら私の手が使い物にならなくなるのでまずは交通だけを書く。

オークランドで何が最もひどいかと言われたら、いろいろな人から100個くらいは出てくるだろうが、その中でも交通インフラは最悪以上の評価が見つからない。これ以外の尺度で評価しろと言われたら地獄だろうか。

ではなぜここまでひどいのかという話を道路、鉄道、バス、の順に書いてみよう。

まずは道路だが、オークランドの人口は150万人らしい。そしてこの150万人のうちのかなりの数が労働をしている。なぜならこの国では共働きをしないと生きていけないからだ。

幸いなことに車を買ったりガソリン代を捻出できない貧困層は道路の不便さをあまり感じないかもしれない。なぜなら歩くからだ。

道路を使うのは、中流以上のいわゆるサラリーで務めているフルタイムワーカーからだ。ちなみに交通費は会社は支給しないので、ガソリン代だろうが何だろうが給料から支払う必要がある。

オークランドの中央と、東西南北は以下のようにつながっている。

中央と北部はオークランドのど真ん中に横たわる巨大な湾にかけられた一本の橋でつながっているため、ひどい渋滞に見舞われる。

中央と東部は片側二車線の高速道路でつながっているため、ひどい渋滞に見舞われる。

中央と南部は片側二車線の高速道路でつながっているため、ひどい渋滞に見舞われる。

中央と西武は最近片側4車線に増やされた高速道路でつながっているがそれ以上に人口が増えたためにひどい渋滞に見舞われる。

つまり、通勤時間帯は常に渋滞に見舞われるばかりか、最近では日中でも渋滞するようになった。つまり、オークランドの道路はもはやそこに住む人たちをさばき切れていないということでもある。

高速道路は中央と東西南北はつながっているが、このほかには西武と北部、南部と西部は一応つながっている。この道を使って通勤する人は少ない。なぜならば、これらの高速道路は商業地区と無関係にひかれているからだ。

高速道路がひどい渋滞を毎日起こしている結果起きているのが深刻な大気汚染だ。環境大国とも思われているニュージーランドだが、実態は、人口過密状態の都市部と、誰もいない郊外に分かれているだけであり、それを全体的にならせば空気はきれいなようだが、都市部は酷い状況でもある。2020年にロックダウンをしたときに、街中を走る車がほぼ消えたことで、大気汚染の状況が目を見張るレベルで改善し、道路渋滞が大気汚染の原因であると実証されたが、結局大渋滞は帰ってきてしまった。しかも前よりひどい状況で。

ラッシュアワーの渋滞がどのくらい酷いかというと、片道20分で行けるところが1時間以上かかるようになる。そして渋滞しているからといって遅刻していいわけではないので、みな早朝に家を出なくてはならない。すると渋滞は早朝から始まるのでさらに早く家を出るという悪循環が起きているのがオークランドの高速道路だ。

そんな高速道路に輪をかけてひどいのが鉄道だ。ニュージーランドはオークランドに鉄道ネットワークが一応あるが、あまりにお粗末であり、実用には堪えない。まず、路線が少ない。オークランドでは経済の発展に伴い住宅もだんだんと遠隔地に建てられるようになってきているが、どの住宅地も車で移動する前提なのか、鉄道は一ミリも伸びない。駅も一つも増えない。

このあたりのインフラ拡充に積極的なのがナショナル政党なのだが、今は野党なので何もできない。与党のレイバーはこの手の公共投資にあまり積極的ではない。労働党なのになぜか労働者を救うことに消極的でいつも移民をいじめてガス抜きをしている。結果鉄道が発展することは絶対にない。

次に、鉄道も高速も共通するが、外環道のようなものがない。もっと言うとオークランドは町のど真ん中に巨大な湾が横たわっているので難しい。房総半島と神奈川を結ぶためには市が必要なのと同じことが起きる。

そのため、全員いったん中央に来なくてはならない。日本だと、千葉と埼玉は外環道と武蔵野線で結ばれているが、これらがなく、千葉から埼玉に行くにはいったん首都高に入るか山手線まで来て乗り換えなくてはならないというイメージだろうか。

最後にバスだ。バスはさらにひどい。なぜなら時間を守らない。バスにはタイムテーブルがあるがここには「おおよその到着時間」と書かれているので、その時間に来るわけではない。そればかりか、おおよその到着時間よりも早く来て通り過ぎてしまうので、バスに乗るにはかなり早いうちからバス停にいなくてはならない。

また、バスの路線も異様に複雑で難しい。さらに運転手が横柄で無礼、乗車拒否も多い、と全くいいところがない。

ちなみにオークランドでは公共交通機関を推奨しているが、一体だれが使いたいと思うのか不思議でならない。

そういうわけで結局オークランドでは以下のようになる。

恐ろしいレベルの渋滞に巻き込まれながら長時間の自動車通勤

駅の近くにいれば電車が使える

バスは使い物にならない

富裕層は通勤しない



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