5年前のありがとうを君へ
君が生まれ、手術を受け、命を繋いでもらった病院で外来の順番を待っている。そして君は病院にある木のおもちゃで楽しそうに遊んでいる。
時折りこちらを振り返ってニコッとする。
愛しい。
先日、そんな君が5歳の誕生日を迎えた。
5年前、帝王切開で生まれた君。
すぐに保育器に入りNICUへと向かっていった君。
保育器に入る前に、看護師さんが手を握らせてくれたのだけれど、母は麻酔が効きすぎて意識が朦朧としていたから君のお顔がよく見えなかった。
生まれて次の日には手術をした君。
母が眠り続けていた中、パパは手術や入院の説明を聞きたくさんの同意書にサインをしていたんだよ。
帝王切開の傷が痛すぎて泣きながら車椅子まで歩き、なんとか手術前の見送りができたことを告白しておくね。
母だけ先に退院して、搾乳した冷凍母乳を届ける日々の始まり。いつ抱っこできるんだろう……ワクワクソワソワしていたよ。
初めて抱っこできたのは生後14日目だったね。
なかなかお家に帰れなくてヤキモキした時期もあったな。別の病院を選んでいれば……なんて勝手な思いを抱いたこともあった。
無事NICUを卒業した後も、緊急入院や開胸手術を含め幾度も大きな課題を乗り越えた、本当にがんばりやさんの君。
七五三で袴を着て写真を撮ったね。
保育園に毎日楽しく通えているね。
園で泣いている子がいると気になって、「大丈夫かなぁ」と言っているらしいね。
きょうだいにも思いやりを示すことができるようになったね。
「お母さん、ただいまー」って、嬉しそうに母の胸に飛び込んできてくれたね。
生まれてきてくれて、本当にありがとう。
色んな人とのご縁をつないでくれて、本当にありがとう。
ここまで無事に育ってくれて、本当にありがとう。
これからも健やかに育っていけますよう。
ごきげんな母ちゃんでいるからね。(君の癇癪と同じで、母にもゆらぎがあるよ。)
沢山笑って沢山泣いて、一緒に成長しよう。
大好きな君とこれからも。
ありがとうを繋いでいこう。