UFOの夏
今日は6月24日。全世界的にUFOの日だ。
なんでなんだと思って調べたら世界で初めてUFOと言う存在が認知されたケネス・アーノルド事件の日付だからだそうだ。へーそうなんだ。
事件と言ってもこのアーノルドさんが飛行機で移動中になんか空飛ぶ円盤を見たというだけなんだけども。
UFOに関する思い出が二つある。とはいえ別に目撃したわけではないし、片方は厳密に言えばUFOは全く関係ない。
UFOが関係ない方のUFOの思い出話をしよう。
『イリヤの空、UFOの夏』というライトノベルがある。名作なので未読の方は是非読んでほしい。
僕がこれを読むきっかけになった友人の話だ。
学生時代、僕はバンドをやっていた。ライブを繰り返しているうちに沢山知り合いや友人が増えた。
そのうちの一人にKと言う大男がいた。
Kはどうかしているくらいフレンドリーな男で皆に好かれる良いやつだった。あと異様に僕のことを気に入ってくれていた。
僕はちょっと気持ち悪いなと思いながらも、彼のことはとても好きだった。
時々ドライブなどして遊ぶ仲になり、その間に色々なことを話した。
中でも印象深いのが「カップラーメンを食べる最も素晴らしいシチュエーションは何か」という話題だ。Kはこういう突拍子もない話題をよくふっかけてくるやつだった。
僕は好きな漫画『よつばと!』の、天体観測をしながら公園でカップラーメンを食べるシーンを思い浮かべ、それだと言った。
Kの意見も僕と近かったが、少し違った。「夏の夜、建物の屋上に上って食べるカップラーメンだ」と言うのだった。
僕はそれを聞いてなるほどそれは確かに素晴らしいなと思った。
その会話をしてから何日だったか何ヶ月だったか忘れたが、しばらくして、Kがなぜか死んでしまった。比喩などではなく本当に死んだ。
葬式の時にKの友人に「Kと仲良くしてくれてありがとう」と言われたが、僕は別に善意でKと遊んでいたわけではなかったし、なんだか少しムッときてしまい、結局なんと答えて良いのかわからずに「あいつは気持ち悪いやつだった」などと答えてしまったことを今でも本当に後悔している。もっと他に言うことあっただろうが。
それからまたそこそこ月日が過ぎた頃、書店であるライトノベルが目に入った。『イリヤの空、UFOの夏』だ。Kが大好きだと言っていたのを思い出したのだ。
購入してからしばらく本棚の肥やしにしていたが、ある日なんとなく手にとって読み始めた。そしてあるシーンで声を出して笑ってしまった。
Kの考える最も素晴らしいカップラーメンを食べるシチュエーションが、作中に全くそのまま書かれていたのだ。
巧妙に張られた伏線が回収されたような気分だった。あと笑いすぎて死ぬかと思った。
そして夜、当時住んでいたアパートの屋上に上り、カップラーメンを食べた。確かにとても美味かった。
これがUFOが関係ないUFOに関する思い出だ。
UFOに関する思い出というよりも『イリヤの空、UFOの夏』に関する思い出だがUFOという単語から思い出されるんだから仕方ないだろうが。
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