【翻訳記事】ウォーハンマーRPG 4版 エルフでいるのは大変(原題:WFRP It's not easy being Elven)
<訳者注釈>
https://cubicle7games.com/blog/wfrp-its-not-easy-being-elven
Cubicle7公式ブログの、2019年4月9日の記事を翻訳しました。上記リンクより原文が読めます。ウォーハンマーRPGの卓準備に役立ててください。
本文
C7ライターのBen Scerriによる、ウォーハンマーRPGを深掘りする過去のブログ記事は楽しんで頂けたでしょうか。もし見逃していましたら、第1回はここ、2回目はここ、先週の回はこちらで閲覧できます。本日Benが語るのはエルフ的なことすべて!いつものように、FacebookやTwitterでのフィードバックを心待ちにしています!
またもやこんにちは、皆さん――ウォーハンマーRPGを話すため戻ったよ!ウォーハンマー世界で最も好きなものの一つとして異なる人の違いに対する扱い方がある。オーストラリアへの移民二世として、それを当事者として経験したし、ウォーハンマーの設定上、種族間で多くの嫌悪があるにも関わらず、興味深く、正確で、自信付かせる方向で扱われている。
これはネット上でよく見た議論の主題と衝突する――第1版が芽吹き始めたインターネットの闇のかどで住処を見つけた時から。議論とは何か、だって?「事実として」エルフ達が強すぎるってことだ!だから今日は、数字と物語性で話す。それは私がその二つが隣り合って存在しており、物語自体がゲームデータである*と確信しているからだ。
*訳者注釈:原文はmechanicとありますが、訳者の肌感でゲーム内の数字やダイス面が関わる事柄はひとまとめに「ゲームデータ」、「データ上」と表現されてがちと思っているため、この訳語としています。
では、深掘りしていこう。
「お前がエルフならどんなポーズもカッコイイポーズだ…」
“Every pose is a power pose when you’re an Elf…”
エルフでいて良いことって?/What’s So Great About Being An Elf?
まずは数字から始めよう:結局、私の主張は、数字は重要ではないという点だが、それが分からなければ…まあ…あまり丸い主張とはなりえないでしょ?
基本ルールブックp.33の特性表を見てみよう:
ダイスを無視して、ボーナスだけ見ると、同じ幅の結果がある。ここで確認できるのは、ドワーフとハーフリングは人間の平均である+20以上の能力値があり、エルフは+20より下のものは無い…合計で、人間は+200の能力値、ドワーフは+240、ハーフリングは+230、そしてエルフは驚きの+280だ!
他の能力を見ると、エルフは人間とドワーフ並みの耐久値を持ち、それは強い能力値で補助されるため種族それぞれの平均耐久値は次の通りとなる:人間は12、ドワーフで16、ハーフリングで10、そしてエルフは13だ。
エルフはさらに人間の値に加えて+1の移動力を得、即ちドワーフとハーフリングに対し+2なので、彼らが遠距離から弓矢で奇襲をかけたら捕まえることが難しくなる…
エルフが負けるのは運命点、執念点、追加ポイントの箇所だ:人間は合計で6点、ドワーフは4点、ハーフリングは5点、エルフは2点だ。
正直、この時点で、なぜ人々がドワーフの悪口を言わないのか不思議でならない!
エルフは強く見えるが、運命点/執念点の欠乏はかなりの痛手だ…まあ…エルフがひどい痛手を受けた時にね。彼らは間違いなく一撃をいなすことはできるが、仮に何か失敗に見舞われた時、大きくすぐにひどくなっていく。これはかなり的を得ている、この古の種族の歴史を鑑みれば、ね?
だけど私がいつも言うように、「戦いに準備せずに挑んでいるなら、その時点で何か過ちを犯している」んだ。戦闘がデッドリーなことはみんなに当てはまる――なんだったら、それ自体に関する記事を前に書いたくらいだ!
なら、あなたは聞くかもしれないだろう…
…エルフでいてヤなことって?/...what’s not to love about being an Elf?
本当の骨折り損のくたびれ儲けというのは、エンパイア内のエルフでいるということである。それは彼らがすべてを飲み込み、逃れることができない一団であるからだ。エルフであるということはドワーフ――先祖代々の友人でエンパイアの同盟者、組織の多様性に富む――であることとは訳が違うし、またハーフリング――エンパイアの市民と関わりを持ち、名目上それ自体でもあり、あまりに一般的なため冗談のネタ以上の扱いをほとんど受けない――であることとも違うのだ。だからと言って、ドワーフやハーフリングも後進的で超保守的なエンパイアにおいてそれぞれ問題に直面しないわけではないのだが、エルフは別枠だ。
ウォーハンマーRPGらしく、あの有名な二面で語れる:「外なる敵」、「内なる敵」で。
外なる敵:過剰な嫌悪/The Enemy Without: Extreme Prejudice
エルフはオールド・ワールドで過剰な嫌悪を直面する(とはいえ、p.311を信じるなら可能な限り吐き散らされるだろう!)。それは種族の主要な要素2点に注目される:ドワーフとエンパイアとの衝突の歴史、そして単に人類と著しく異なる部分があるという所だ。
これには考古学的な人類学者の帽子(ウォーハンマーなので、髑髏にダガー、巨大な羽も付けよう!)を被り、オールドワールドの歴史の大まかな概要を見ていこう。
ドワーフは最果て山脈に居をかまえ、エルフはウルサーンに商いを始める。
混沌が北南極よりオールドワールドに流れ込み、道すがらのすべてを堕落させ(非常に初期の人類も含む)、ディーモンの軍勢を撒き散らし、とにかく混乱を起こした。
エルフとドワーフが邂逅し、すべての命への脅威を退けるため共に戦う。混沌の荒野までディーモンを押し返し、両種族は盤石な友となった。
エルフたちはオールドワールドの谷あいや海岸沿い、後にティリア、エスタリア、ブレトニア、エンパイアと呼ばれる土地に住むようになった。
エルフとドワーフ間のちょっとした言い争いは、やがて数世紀に渡る戦争に発展し、互いに大打撃を受ける。
多くのエルフはオールドワールドを去り、ウルサーンに帰還し、やがてハイ・エルフとダーク・エルフとなり、戻らずにいた者たちはウッド・エルフとなった。
人間は次第にこれらの地域に移り住んできたか、より強力な種族間のひどい戦争後に隠れ家から出てきた…彼ら人間はやがてシグマー・ヘルデンハンマーの指揮下でエンパイアを建国する。
この歴史は全員を含めるには多くの箇所を残している:エルフとドワーフの古の悔恨、エルフの人間に対する、「彼らの」土地(思い出してほしいが、長命ため、彼らにとってオールドワールドに住み始めてからまだ長くないのだ)に住み始めた怒り、そして人間がエルフに向けた恐怖心(ウッド・エルフが隠されたグレイド*を守り、全くの影中より自身の興味を満たしているため)。エルフ達の長寿、ドワーフからの悔恨、あらゆる所からの誤解が、正しかったり単純な答えが存在しない現状に至っており、それを一様に話そうとする者も少ない。
*森林内の空き地のこと。現実世界では樹木が育つための土壌が薄いために生まれる。日当たりが良いため気温が森林内より高い。(wikipediaより)
この問題を悪化させているのは、たとえ彼らが状況を話し合おうとしても、この三種族は――特にエルフと人間が――あまりに共通事項が無いので互いを分かりあうことはきっと無いということだ。瞬きも必要なしに老衰で死ぬまで50年待てる相手に、いったいどうやって議論に勝つというのか?どうやって、村に100世代も住んだ家族がいるのに、彼らに自身が一番最初に住み始めたと説明できるのか!これは両種族の間に存在する多くの哲学的、文化的、宗教的、そして生物学的な障壁の氷山の一角だ。
しかし、すべてが解決した時も、エンパイアの人間は数で勝り、何百万人で不平を言い放ち、エルフ達はそれに妥協せねばならない…が、エンパイアの人々がそれを難しくしている。エンパイアでは人間たちは日常的に自らの恐れと無配慮をエルフの友人の面前にぶつけ、憎悪と暴力の前でエルフが慣れることをより難しいものとしている。
別名:不死性の影響/AKA: The Ramifications of Immortality.
だけど、エンパイアだけではない。エルフたちは己の社会を歩んでいかねばならない。それは複雑で、魔法的で、効果的な不死性の組織で成り立っている。ご自身の家族的な義務を考えてみてほしい:数日・数週間ごとにお父さんやお母さんに連絡をとるかもしれないし、世話が必要な子どもがいたり、会いたい友達がいたり、あなたが愛し気にかけている祖父母がいるかもしれない。今度はあなたの家族が全世代生きていると想定してほしい…あなたの母、祖母、曾祖母。ご両親の兄弟姉妹を考えてみてほしい。そしてあなたのいとこ全員を。そしてあなたのいとこの両親、その他その他。
エルフは義務が詰め込まれた社会に住む。実際、私たちはこれをゲーム上の処理にした!p.195-196――エルフの進捗とエルフが重んじるものを見てくれ!
ではあなたの家族が、どのようにあなたの幼い頃に接したか、そして彼らがあなたの成長した姿の妄想を伝えるさまを想像してほしい。移民の子どもこそ私が言ってることが分かるだろう、それはこのステレオタイプが大抵真実であるからだ。しかしあらゆる家族は何かしらの決めつけや期待を自身の子どもに寄せる。あなたに医者、弁護士や、音楽に長けたほしかったり、素晴らしい運動選手になってもらいたいのだ。あなたの家族的なプレッシャーは上の世代、無限に続く家系図を持つ重圧で増す。存命者は生まれてから数世紀経過しており、全員が潤沢な功績と信じられない経験を持つ!
上記が非現実的だって?p30-31の、クラスとキャリアのランダム決定表を見てほしい。人間は63種のキャリアにアクセスがあり、ドワーフは47種、ハーフリングは48、ハイ・エルフは35、ウッド・エルフは22!そこであなたは「まあ、この社会が単にそのような仕組みというだけだ―ハイ・エルフは湾港労働者がいないし、ウッド・エルフにはいかさま師はいない」、と言うかもしれない。そう…その通り…それが私の論点だ。
人間性から解放されているとはまったくもって言えないのだ。エルフ社会は義務だけでなく、審判でも彩られる。終わりのないことだってある。ほぼ「永遠に」生きるエルフは、自由からは程遠い。人間性からの解放には程遠い。己の生に何か意味はあると、よく他の種族に思い出してほしいのだから。
(本当に永い)最高の人生を生きよ/Live Your Best (Really Long) Life
エルフである、というのは真に異なる存在を知ることにある――固有の利点と欠点を持つ未知の文化を。エルフであることのデータ上の利益は、存在しているだけで彼らが直面する社会的・文化的障壁でバランスを保っている。
ここまで過剰ではないとはいえ(だって、私たちはまだ人間だし)、これは私個人と周りの体験との間に多くの相似が見られる。マイノリティ文化は内外から乗り越えるものに直面するし、愛着を持てる私たち自身の強みがある。そしてハイ・エルフとエンパイアのように、全員が協力した方がより良い結果になる。
このエルフに対する短い記事が彼らを多少なりとも味わい深いものにして、あなたにエルフをプレイする際の新たな視点を授けることを期待している。今考えているだけで一人作ってみたい気持ちだ!
もしエルフがオールドワールドに関係していくか何か質問があったら、私たちのFacebookやTwitterのSNSチャンネルに頂ければ、すぐに回答します(私たちが答えてもらうためにアスライ、アスール、イオニルに見つけたら、の話ですが)。
ああ、それと最後に、この記事は魔法や、それに対するエルフの関係、混沌と魔法のつながりについても全く触れてない。この議題はいつだって通りすがりの魔狩人や信仰深いシグマー信者に人気だ。でもそれは別の投稿で抑えるとしようじゃないか、なあ?
ではみなさん次回まで!
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