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【ウォーハンマーRPG第4版】呪われし道キャンペーン回顧録「ミドンヘイムの灰塵」#1

2023年10月末に、2年もの長い間GMしていたウォーハンマーRPG(WFRP)キャンペーンが終わったのを記念して、その記録を残しました。記憶を頼りに書いているので、ほぼ思い出話なGM主観形式です。改めまして長いことプレイヤーとして参加してくださったオセアンさん、にわりんさん、まさむねさん、和尚魚さん、拙いマスタリングに付き合ってくれまして本当にありがとうございました。

 2021年8月頃、このキャンペーンのGMを務めることになる筆者は、オンライン上の仲間内でウォーハンマーRPG4版用の無料シナリオ「流血の夜」をFoundryVTT上で遊び、そのシステムMODの完成度をいたく気に入った。あっと言う間に、中古で関連商品が無いか調べ、クソ高いそれぞれ100ページにも満たない旧版のキャンペーン2部(計12,000円)を買っていた。帰りにパラパラとめくったが、ミドンヘイムとかいう知らない街の観光情報だけがつらつらと出てきたため今度読むことに決めた。…その「今度」はすぐ来ることになった。
 同年9月、前述した仲間の一人が、『「流血の夜」を単発で遊ぼう!』という趣旨で人を集めてくれたのである。そしたらなんと、新規で来てくれたプレイヤー1名がプレイ済みではないか!ヤバい!!!ということで、買ってからめんどうで大して読まなかったあのキャンペーン本、「ミドンヘイムの灰塵」を急いで手に取り、最初のシナリオを始めることにした。

「ミドンヘイムの灰燼」。表紙がカッコイイですね。

 本当に何も用意していないので、裏ではだいぶ焦っていたことは鮮明に覚えている。プレイヤーがキャラクターを作成してもらう間、少しでも読み進められないか、と惨めなほど必死なGMがそこにいた。今考えれば、「流血の夜」で作った、PCが乗る馬車がミュータントに襲われる展開をリサイクルすれば良かったなあ、と思う。
 本を開ける。シナリオは…なんとミドンヘイムの観光案内の後に載っていた!シナリオ本編冒頭に「ドラクヴァルトの森を抜けて」という、2版のルールブックに掲載されているらしい謎のシナリオが軽く触れられ、余計に焦る。
 おおよそ1時間ほどでPCが出揃った。FVTTさまさまである。ボタンをぽちぽち押してるだけでキャラが出来あがってしまう。ゲームバランスとかわからんので、名前と種族以外は全部ランダムで決めた気がする。

出てきたPC達は、次のようなものだった:
ドリュー:ウッドエルフの貴族。パーティの中で一番若い。ウッドエルフのくせに社交的で、貴族のくせに身分で分け隔てしないお人よし。…のだが、【協調力】は結構低い。エンパイアにおいてエルフは偏見の目で見られるそうなので、彼のようなフレンドリーなエルフは逆に人々の警戒心を掻き立てるのだろう。後に「ラインハルト」姓を名乗るがゲーム開始時点では決まっていない。キャンペーン開始時点では(他のPCもそうだが)、命からがら「ドラクヴァルトの森」という所から逃げてきてミドンヘイムという街にたどり着いた、ということぐらいしか決まっていない。

ドリュー(画像はいずれもキャンペーン終了後のもの)


ヴァニ
:ハーフリングの警備兵。前歯が1本欠けていて、ひょうきんな顔をしている。職が定まらず、辞め癖がある(キャンペーン終盤までキャリアレベル2を経験しなかった)。【協調力】が高いため交渉事は結構得意な方なはずだが、あまり出番が無かった気がする。《小柄》のせいで近接戦闘ではハンディキャップを負う(なんで警備兵してるんだろう)が、混沌への耐性がゲームの仕様上やたらと効果的だった。おそらく、ドラクヴァルトの森を抜ける時にドリューたちを護衛していたのでしょう。

ハーフリングのヴァ二


ルッカス
:ウッド・エルフの芸術家。ドリューがパトロンし、度々作品を買って貰っていた絵描きの卵。とても美しい唇をしていて、口紅は欠かさない。プレイヤーがキャラ画像を多重にプリクラ加工していたため、面白い顔をしていた。ドリューより多少エルフらしい。のちに魔法使いになるが、キャリアで得られる長柄武器への習熟のおかげで、グレイヴを振り回し、魔法体系のおかげで金属鎧も着ていたので、いで立ちは終盤まで普通に戦士。

絵描きのルッカス

ベルタ:ドワーフの使用人。ドリューに仕えており、彼を幼少期から見守っていた。キャリアはランダムに決めたのに、貴族の初期所持品に「私的な使用人」があったのは運命の導き感がある。セルジオ・レオーネがチャールズ・ブロンソンを見た時、花崗岩の塊と形容したそうだが、それと同じようにベルタも岩のような顔と肌色をしている。本業の傍ら、夜の仕事もしている。この設定、冒険外活動した時くらいしかゲーム上はあまり話題に上がっていなかった気がする。村に訪れる要人の相手をしては最新の政治情報を巧妙に聞き出す、色欲モンスター、怪物。キャンペーン中盤からスレイヤーの誓いを立て、重装歩兵と化す。

使用人のベルタ

鼠の話


 冒頭で、ミドンヘイムについてごく簡単に説明した気がするが、割と世界観がフワフワしたままPCたちはドラクヴァルトの森にある滅んでしまった故郷から持ち出したイコン(聖像)をシグマー教の修道院にいるNPC神父に差しだす。神父は礼もかねて生活を立て直すための資金25GCをパーティにあげた。

 当時は4版と2版の違いがあまり分からず、本文記載通りの金を与えたが、コンバートする上で物価を考慮することは重要だと思う。例えば、片手用武器は2版だと10GCであるが、4版だと1GCになっている。差は品によりまちまちであるが、普及品であるほど減額され、商品が高額になるほど差が詰まってくる印象だ。ここはグループごとに判断が分かれる所だと思うが、2版→4版のコンバートにおける金銭は、計算しやすいよう、シンプルに記載の1/10程度にするとおおむね良いだろう。「呪われし道」キャンペーンは全体的に規模が大きく手強い戦闘が多いので、筆者が次回マスタリングする機会を頂けるなら、グループの様子を見て記載の1/5まで色をつけるかも。

 さて、急に大金を得たPC一行は、宵越しの銭は持たぬと言わんばかりに冒険者らしく、武器防具を一通り揃えて大いに散財する。作りたてホヤホヤの新人である彼らは、急にメイル・アーマーに盾や片手武器などで身を固めた、一介の傭兵団のごときいで立ちになってしまった。買い物を終えたPC一行は居候する気全開で修道院に戻るが、神父NPCが殺害された上にイコンが盗まれたことを知り、なんやかんやで事件の裏を探る羽目になる。現代で言う、警察に似た権限を与えたが、プレイヤーたちは悪用しないでくれた。

 調査の末謎の魔狩人軍団(オルド・フィデリス)が関わっているとかなんか分かり、なんやかんやで神父殺害の犯人(スケイヴン)にたどり着いて戦いが始まる。この戦闘で突撃が超強いことに卓の全員が気づき以降、このキャンペーンでは敵から距離を離し助走距離を稼ぎ特攻するキャラクターの姿が戦場で一般的に見られるようになる。
「パタポン」のきばポンみたいだね。

 ゲームデータは準備できる時間が無かったので、全部無視してルールブックのスケイヴンと、ボスにストームヴァ―ミンを出した。攻撃技能を成長できないキャリアがパーティの半分を占め、残りの戦えるうちの一人は《小柄》のためになるべく敵に近づきたくないハーフリングだったし、スケイヴンの中には金属鎧で身を固めたストーム・ヴァーミン(鼠強兵)もいたので普通に考えてもそれなりに苦戦するはずなのだが、GMが戦闘の数的優位の箇所を読み飛ばしてたり、パーティがなんかうまいこと先手とったりしてPCたちは危なげなく、たやすくラットマンどもを仕留めた。
「洞窟の奥にあるは邪神コーン(コーンってなんだ…?)を信奉する『深紅の髑髏』教団の紋章と、あなたたちが探してたイコンです。」なんてのたまったが多分卓のほぼ全員がピンと来てなかったと思う。
こうして一行はイコンを取り戻し、シグマー教団に納めることに成功し、セッションは終了した。プレイヤー全員に興味を持ってもらえたため今回限りの単発ではなく、キャンペーンとして遊ぶこととなった。「ミドンヘイムの灰塵」はキャンペーンの第一部であるためか、かなり一本道に作られている。初心者GMとしては読むだけでキレイにイベントを起こせる構成は大いに役立った。

【次回に続く】

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