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フジロック2024(金曜夜)の感想

フジロックに行きました。仕事が休めなかったり他の予定があったりした都合で、今年は金曜夜のみの参加です。金曜ナイト券、ありがとう。

観られたものは多くはありませんが、せっかくなので感想を記録しておこうと思います。

観たもの

THE KILLERS

今回無理を押してでも行こうと思ったのはキラーズが来ることになったからでした。めちゃくちゃ大ファンというわけではないけれど、"Mr. Brightside" をはじめ超ド級のアンセムたちで世界中のフェスを沸かせているのは知っていて、それを生で体感してみたい気持ちがずっとあったのです。ヘッドライナーキャンセルからの代打というドラマチックな展開に胸躍ったのもあり。

そういう経緯で「どんなもんじゃい」と思って楽しみにしていたライブでしたが、想像をさらに上回る、特大アンセムを背負って立つバンドの強さがひしと伝わるものでした。ボーカル・ブランドンの「ファビュラス」なロックのアイコンという役割を全力で全うする力強いパフォーマンスが特に素晴らしく、ただ曲がキャッチーなだけではない、群衆の視線を一手に引き受けて魅了してしまえる強烈なカリスマ性を感じました。フレディマーキュリーやプレスリーに比肩される評価にも納得。むしろ、そのショーマンシップで熱狂を背負う覚悟があるから、あんなにキャッチーな曲が書けるんだろうなとも思います。だから観客も全力でそこに気持ちを傾けることができて、多幸感と高揚感に満ち溢れたライブが生まれるんだなと。当初のヘッドライナーだったSZAと比べるわけではないけれど、あの熱狂と、初日にしての大団円感は、キラーズだからこそ可能だったのかもしれません。

あとはやっぱり、途中のワタルさんの演奏も素晴らしかったですね。自ら名乗りを上げて、いきなりステージに呼ばれても完璧で鬼気迫る演奏を披露できる、その度胸とキラーズ愛の深さに感じ入りました。ドラムという楽器の誤魔化しの効かなさを思えばなおさら。この観客をステージに上げてドラムを叩かせる演出はライブの定番らしいのですが、だとしたらファンとの信頼関係が厚すぎると思うし、そこでもバンドの強さを感じます。

死ぬほど雑な感想になりますが、やっぱり音楽にしろ何にしろ腹括ってやらないとダメなんだ……と素直に思わされるライブでした。キラーズにしてもワタルさんにしても、覚悟が違いすぎる。そういう点では最近の音楽体験の中でも一番食らった気がしました。

余談ですが、"Mr. Brightside"のアレンジが面白かったです。アンセムは多々あれど、やっぱりあの曲だけ(観客の期待も込みで)異様に強いというか、会場を相当エモーショナルに高めてからじゃないと繋げないだろうな……と思いながら観ていたのですが、それに対する解決策?が「壮大な感じのシンセポップ風アレンジでワンコーラス挟む」だったのはかなりウケました。確かにそうすれば入りはスムーズだろうけど……!
どうやら去年のレディングの動画で上がってるテイクが同じアレンジっぽいです。前半が終わって、あのギターイントロが来てオリジナルのアレンジに戻るところで素直にブチ上がれるので、これはこれで良いですね。

電気グルーヴ

退勤→爆速移動→キラーズで疲れ切っていたので、レッドマーキー後方に座ってケバブを食べながら観ていました。ただ、途中から歓声に惹かれる形で前方へ。例によってそこまで詳しくはないのですが、めちゃくちゃ盛り上がっててかなり楽しかったです。

噂に聞いていたとおり、フジロックとの信頼関係の厚さとファンコミュニティの熱量を感じました。フジロックの「富士山」が聴けたのが良かったです。改めてライブで聴いて、オケ単体でも普通にダンスミュージックとして成立しそうなところに、歌がちゃんと乗っているのがユニークさの肝なのかなと、なんとなく感じました。

in the blue shirt

これもオアシスの真ん中らへんに座って聴きました。涼しげなサウンドと夜風の組み合わせが気持ちよかったです。高校〜大学前半くらいによく聴いていたFuture Bassを思い出して懐かしくなりつつ、そういう音楽は主にSoundCloudとかで聴いていたので、リアルで、しかも屋外で、こんなに人々が盛り上がっているのを見るのは不思議な気持ちでした。次はもうちょっと体力あるときに、輪の中で一緒に盛り上がりたいです。

CHRISTONE "KINGFISH" INGRAM

とんでもないブルースの鬼。ハードロックを経てブルースに先祖返りしたような超コテコテの泣きのギターを、鉄壁のバックバンドを背景にとにかく爆音で弾き倒す、いい意味で暑苦しくて気持ちの良い演奏でした。ギターソロに入ったタイミングで突如爆音になるのが良かったです。
敬愛するというB.B. Kingを彷彿とさせる渋くて深い歌声も素晴らしく、まだ25歳という事実に驚くばかり。深夜2時前後という時間帯もあり、会場のボルテージも相当なものでした。

ちなみに、こちらの会場だったChristal Palace Tentに行くのは初めてだったのですが、古風なサーカス小屋のような風情があってかなり好きでした。音も良かったし、ちょっと狭めのところで観るからこその熱気にも満ち溢れていて素晴らしかったです。

Us

こちらもChristal Palace Tentで観ましたが、会場の雰囲気も相まってのパブロックバンドのショーを見ている感じが最高でした。ロックンロールの強烈な勢いはありながら、その実は盤石な演奏力に支えられた、パンキッシュなアティチュードとは裏腹に真面目な人たちなんだろうな……という印象です。曲終わるごとに毎回ビシッとお辞儀するし。
なんといってもブルースハープ専任のメンバーがいるのが良いですね。前提としてめちゃくちゃ上手いし、ボーカルと分かれていることでリードが2人いるような華やかさも感じました。ハッピーマンデーズのベズやビークルのケイタイモみたいに、ヒマな時は踊りまくって盛り上げ役に徹しているのも好感持てました。ギターが2人ともソロ弾きまくるのと、リズム隊がハードコア好きそうな演奏してたのも良かった。総じて、なんというか応援したくなる感じのバンドでした。今後の展開も楽しみです。

group_inou

in the blue shirtから、ブルースとパブロックを挟んで再び現代に戻ってきた感じ。ライブは初めて観ました。imaiの「お待たせしすぎたかもしれません」の挨拶とともに "EYE" でスタートする演出がニクい。「朝4時に何やってんだ」的なMCが何度かありましたが、確かに4時だか5時だかにサモエドだコギャル猫だで騒いでいたら夜が空けていたのはかなり意味不明でした。しかしそういう時間帯に選ぶアクトとしては、シュールでエモーショナルでばっちりハマっていたと思います。全体的にきわめて異様な熱気に包まれていてヤバかったです。

パフォーマンスとしては、cpが結構叫んでいたのが印象的でした。uri gagarnの方はこれまで何度かライブを観たことがあり、感じとしてはそのときの威文橋と近いです。音源だと両者でキャラを使い分けていそうな気がしていたので、その点は少し意外に思いつつ、これはこれでライブ感があってカッコよかったです。あとはVJが豪華でした。

その他

日程の都合で叶いませんでしたが、King Kruleとgirl in red、Turnstileは観たかったです。

おわりに

というわけで、たった半日だけですがフジロックに行ってきた感想でした。物足りなさはありつつも、深夜帯は人も少ないし何より暑くないので、それはそれでストレスなく楽しめました。仕事が休めない働きびとの方は、金曜ナイト券おすすめです。

ラインナップがショボいとか色々議論はあったものの、行ったら行ったで観たいもの・観て良かったものは出てくるし、そういうのとは別に非日常で楽しくて居心地の良い空間であることを再認識できました。次はまた3日間いられるといいなあ。

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