ピアニストに捧ぐエピローグ
さて本日4月9日はなんの日でしょう。(※書き始めたときは4/9でした…)
そう!!!!
我らが最高のピアニスト務川慧悟さんのお誕生日です!!!!!!!!!!
31歳おめでとうございまぁーーーーーーす!!!!
(ドンドンパフパフーーーーー🥳🥳🥳🥳)
昨年は30歳とのことだったので急ぎ似顔絵を描いたものの勢いに任せて書いたのもあって今年はゆっくり用意……………できませんでした!!!!!
しかし何もしないのもなんで考えて、今回は小説をお届けしようかなと考えました。
いや御仁のお気に召すものが書ける自信はないのですけれど、書いてみようかなと。
果たして成果やいかに!!!!????(試すな)
※4/11 0:05加筆修正しました。
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その日、僕はとあるピアニストのソロリサイタルに足を運ぶことにした。
疲れていた。何度も出会いと別れを繰り返し、それでも諦めることができずに、ずっと探していた。しかし、見つからなかった。
何度も繰り返し試した。どれも偽物だった。
僕は天使を探していた。
君が死んだあの日、僕は天使を見た。
それはそれは美しい天使。
宙を舞い、微笑む。君は天使だった。
けれど、あれからずっと隠れている天使。
きっと他にもいるに違いないと思っていたのに…
もう疲れた。そしてはたと目に留まったのが、そのピアニストのソロリサイタルだった。特に何の気なしに、そういえばあの日以降そういったものに足を運んでいないことを思い出した。
君はピアノが上手だったね。一緒にコンサートホールにも足を運んでいた。けれど、君がいなくなってからは天使を探すことに奔走し、すっかり足が遠のいてしまっていた。
その日リサイタルに行こうと思ったのは、何の気なしに見たプログラムに「シャコンヌ」の文字があったからだ。いつも「この曲が好きなのに上手に弾けないの」とこぼしていたことを思い出した。
今回はどうやらブゾーニの編曲版のようだが、個人的にはブラームスの編曲版の方が好きだった。
しかし、君はブゾーニの編曲版が好きだった。全くもって囚われているものだと自分でも少しおかしかった。
始まるリサイタル。
客席は暗くなり、ピアニストが演奏を始める。
気がつけば、休憩をすっ飛ばして最終曲。ずっと天使のことを考えていた。目の前のピアニストには悪いことをした。別のことを考えていて上の空だったなんて、失礼千万。
最後の曲が目的の曲だったし、最後くらいはしっかり聴かなくては。
そして僕は後悔する。なぜ最初から集中していなかったのかと。なんと心に突き刺さるシャコンヌだろうか。目の前にいるピアニストは存外に若い。
まるで、責められているような気分だ。
なぜ繰り返すのかと。
なぜ諦めないのかと。
まるでステージ上の巨大な鏡に今までの自分自身を映し出されている気分だ。
諦められるものか。
きっと他にもいるはずなんだ。
天使は。
あれほど美しいものはない。
あれほど欲しいものはない。
なぜ、求めてはいけない?
短調の調べが杭のように僕を突き刺す。
あれは、特別に僕の前に現れたんだ。
僕に会いに来た。
一瞬の出来事だったけれど、間違いなく僕に会いに来たんだ。
ならば今度はこちらの番だ。
狂おしいまでに美しい天使。
天使は僕のものだ。
だから探しているだけだ。
もう一度だけでいいから。
そんなに責めないでくれ。
そうこうしているうちに、曲は長調の盛り上がりへ向かっていく。
そのときだった。最高潮に達したとき、ステージ上に羽が舞った。
光り輝くステージに白い羽根が降り注いでいた。
まさか。
ここに天使がいるのか?
どこだ!!!
僕は周りを見渡す。
本当はステージに駆け出していきたかった。
しかし、今はコンサートの最中、できるはずもない。
そもそも、まるで金縛りにでもあったように動かなかった。
もどかしい。
どこにいるんだ。
一目でいい。姿を…
そこにあるのは神の祝福の瞬間のようだった。
降り注ぐ天使の羽。
光り輝くステージに1台の黒いピアノ。
そこから奏でられる音はまるで天上の音楽だ。
あぁ…僕の天使…どうして姿が見えない。
僕が…僕が探していたのは…
ただ、もう一度会いたいだけだった。
ただ、あの笑顔にもう一度…
君はずっと人のふりをして僕の前にいた。
すぐそばで。
友人だった。
ただただ、その時間が好きだった。
友として過ごす時間が、好きだった。
しかし、時間を経るごとに少しずつ少しずつ君は捻じれていった。
表面的にはいつもの「君」だった。
しかし、その瞳には別のものが映っていた。
それでも、傍にいてくれればよかった。
あの日、君は僕と一緒だった。
いつものように、二人で高いビルの上へ。
そして君は天使になった。
いや天使であることを明かしてくれたのだ。
だから今度は僕が探す番なのだ。
でも、いくら誰かを愛しても、いくらそばにいてくれても、誰もかれもが天使ではなかった。
どうして君はあの日に天使であることを明かしてくれたのだろう。
僕はその理由が知りたい。
けれど君はいなくなった。
そうだ。僕は、あの天使に会いたいのだ。
僕は、もう一度会いたいだけなんだ。
別の天使なんて必要じゃなかった。
これは、これは罰なのか?
どうして見えない…
姿をどうか現してくれ。
なんの罰なんだ。
教えてくれ。
君の口から…
僕の罪はなんだったのかを。
天使を探したことか。
君以外を、天使以外を、彼女たちを愛したことか。
それとも…
もしかして……
そのとき、一際強く、鋭い楔が身体に刺さった。
一音一音が突き刺さり、その曲は終曲した。
割れんばかりの拍手に応じるようにピアニストは立ち上がった。
光あふれるステージの上で、彼はまっすぐに立っていた。
やっと金縛りから解放され、息をつく。
今、僕が見つけた可能性。
そして、僕もようやくステージを見た。
その時だった。
まばゆい光の中ピアニストの後ろに天使がいた。
微笑む天使が。
あぁ…やはり君は天使だったんだね。
君は…あの日お別れに来たんだね。
僕には、君のそばにいる資格はなかったんだね。
初めから…
その日は、ピアニストの誕生日だったようで、袖から花束を持ったスタッフが現れた。天使は、花束を差し出すスタッフに重なった。
あぁ…君はその男を選んだのだね。
君が祝福したのは、その男なんだね。
君の愛したシャコンヌをこんな風に演奏できるのだから、君が祝福するのも当然だ。
こんなにも真実を浮き彫りにするのだから。
彼が祝福されるべきだ。
それでも、もう一度会えた。
天使に。
もう終わりにしよう。
このリサイタルが輝かしく幕を閉じたように。
僕も、僕にも幕引きを…
2024年4月9日 23:40
ある男が警察署に出頭した。
その男は、この1年で発生していた女性の連続投身自殺の犯人であると申し出た。しかし、女性に共通点はなく、その女性たちが付き合っていた男性はその男とは異なる人物だった。
確かに死んだ女性たちの友人に該当する人物の写真を見せると、皆「この人ではない」と口にした。
写真などは残されておらず、証言者の言を集めてモンタージュを作成しようとしていた。
ところが、その男は、女性たちが付き合っていたとされる男性に偽造した身分証を持っていた。
男の供述によると、付き合った女性たちが本物の天使であると信じ、天使を呼び出す儀式として、女性たちをビルの屋上から突き落としていたという。
なぜ、出頭したかの理由について、ずっと探していた天使が、今日行ったピアノリサイタルのピアニストの元に現れた。その彼を天使は選んだのだと。
そして、彼ならばきっと天使にふさわしい人間でいてくれるはずだと。
警察官たちは、首をかしげるしかなかった。
身分証はこの一連のものだけでなく、調べられていないものもあり、さらに被害者いると推測される。
まあ、調べたところそのピアニストとその男には何の関係性も見つからず、たまたまリサイタルに足を運んだだけのようである。
そのピアニストの名は…
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はい!!!大遅刻!!!!!4/9が過ぎてしまったぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!
も、申し訳ございません!!!!!(スライディング土下座)
さて、もちろんこのピアニストは務川慧悟さんその人であります。
ということで、短編小説を書いてみました。
実は、少し前に短い小話を書いており、そちらのエピローグとして書きました。
元ネタは以下↓↓
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いつかの君が僕に問うた 「天使を見たことはある?」 あれからしばらく経つが、天使を見たのは1度きりだった。 そう。君が死んだあの日。 君はまるで天使のように宙を舞っていた。羽が見えた気がした。 美しかった。 きっと君は天使だったんだね。
あれからずっと探している。 天使が他にもいるかもしれない。 何度試してみても、天使ではなかった。 羽は見えなかった。 あれからずっと探している。 何人も何人も何人も… みんな偽りの天使だ。 君のように隠れた天使はなかなか見つからない。
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Xのタグが流行っていてそれに乗っかって書いた小話です。
まぁ…少々人の悪い内容になっておりまして、そこに御仁の演奏によって幕を引くというエピローグを作ってみました。
私個人として、救われた経験がたくさんある中で、この物語の主人公も囚われた思考から救われてほしい。
そして、その力があるのが務川慧悟その人であるということが伝えられる物語にしたかった……なぁとこれまた個人的な欲望のまま書きました。
果たして、お好みのものかどうかはわかりませんが、今の私の語彙力を振り絞って、お祝いと代えさせていただければと思います。
務川慧悟さん31歳のお誕生日おめでとうございました!!!!!