冬の着物生活
26歳くらいから着物を着るようになった。
母の妹である叔母が亡くなっていくつか私に着物を残してくれた。彼女には娘がいなかったため、姪である私(と多分従姉)が着物を譲られたのだった。明治生まれの母方の祖母も死ぬまでずっと着物を着ていたから私にとっては着物は身近なものでもあった。
叔母の形見から始まった私の着物ライフは25年になった。
私は20代の頃に卵巣の病気をしたので「子供のいる未来」は早くから無かった。これら叔母の着物を子供に残すという選択肢はなく「もらったからには私の代で着倒してやろう」と思い就職したあたりからコツコツと着物の道具を買い集めた。
着物と帯を譲られたとはいえすぐに衣服としては着られない。
下着、じゅばん、腰紐、伊達締め、帯揚げ、帯締め、草履、着付けなど実際に「着物を着る」ところまで行くのに3年くらいかかったような気がする。
働いていた頃、労働の喜びを着物に換えていた。給料を貯めては着物関連の道具を誂えるのが楽しみだった。
夏は汗がひどいので着ないけど、気候がいい時期の、ちょっとおしゃれなお出かけ着の9割は着物にしている。着物は体重の増減にも優しく、太っても痩せても買い換える必要がほぼない。(太っている時は力士みたいになるし、ぽっちゃりしているのでいつでも力士っぽい。でも誂えだからチグハグ感はないと思う。)
叔母からもらった着物と帯。うちの叔母はセンスがいいな、って思う。
若草色にピンクの帯なんて素敵。
これも叔母からのお下がり。帯は五千円くらいで見つけたのだけど、20年くらい活躍してくれてる。ブローチは昭和っぽくて気に入っている。
この着物は1980年代に母が反物のまましまっていた草木染め。ベージュで地味でおばさんぽくて嫌い、って思っていたが、50歳過ぎたら急に着用回数が増えた
クリスマスっぽい色合いだけど、これはもうそろそろ若すぎると思うので、
誰かに譲るかも。
紺色のカスリは自宅用
便利。気楽に着られるしタートルで着ることも多い。
ああ、ほんと大好き。着物。
あと何シーズン着物を着られるんだろうか。
叔母は50歳代で亡くなったので考えさせられる。これからも着倒していかねば。
婆さんになっても着ようと思う。