読書録 - 「夢とその操縦法」
サン・ドニ伯爵の本「夢とその操縦法」に載っていた夢を操縦する方法についてまとめた記事にしてみました。本書は3章に分かれていて、1章が本の注釈と目次・2章が夢に関する当時の学説とサン・ドニの夢に関する科学的な持論となっています。3章には今私が一番関心のある夢の実践的観察・それを操縦する方法の紹介となっていてこれを中心に記事としてみることにしました。
夢日記をつける
サン・ドニは13歳の頃から挿絵付きの夢日記をつけていて、この分量は1946回分となっている。夢日記をつけ始めてから3ヶ月で夢に関する記憶が鮮明になり始めたという。その後夢の記憶がほぼ確実になったのをサン・ドニは「夢が完全になった」と記憶している。夢が完全となったのは、179回目以降であると記述している。
サン・ドニが初めて明晰夢(夢を見ていることを自覚できるタイプの夢)を見たのは、207回目に明晰夢を見て以来。夢日記をつけ始めて約6ヶ月で明晰夢の割合が約40%、1年で約75%、1年半でほとんどの夢が明晰夢になったという。サン・ドニの記述がホントだとすると、偽の覚醒夢や明晰夢は見たことを記憶する=記録するたびにそれを再び見やすくする効果があるらしい。筋力や計算力と同様、夢を見せる脳の特定の部位は意識して思考できる・学習できる箇所にあると推測することができる。
明晰夢の見方 - 入眠時幻像に集中する
サン・ドニによると、入眠時にそのまま明晰夢に入ることも可能だという。これを実現するには、入眠時幻像に集中し続けると良いらしい。私はベッドで眠ろうとすると入眠時幻像を耳鳴りと同時に見ることがあるが、入眠時に明晰夢に入れるタイプの人はこれが明確な映像になりそのまま明晰夢になるという。個人的には、入眠時幻像がそのまま夢になったことというのは1度もない。もしかしたら睡眠薬のせいかもしれない。
夢が不明晰となって覚醒してしまうのは、夢の中で目に映る映像が朦朧としたり混乱し始めた時であるという。逆に明晰夢を見続けるには集中力をそれまで見なかったところ、例えば拾った1枚の葉っぱなど小さな物体に向けると良いらしい。葉っぱがボンヤリし始めていたとしたらこの葉っぱが鮮明に見えるように成り、それに合わせて周囲の風景も鮮明になるという。
これを「深い睡眠を取り戻す」と表現している。実際にはレム睡眠は浅い睡眠であることがわかっているので、起きすぎず眠りすぎない睡眠のレベルを維持する方法であると言えるだろう。
明晰夢のような鮮明な夢では内容に一貫性が生じるらしい。鮮明な夢を見れる人に話を聞いたことがあるが、その人は「現実と全く同じスマホゲームを夢の中で遊ぶ」という驚くような一貫性のある夢を見れるという。
夢の記憶と忘却
夢を確実に記憶できる時間は起床時から5分までとなっている。15-30分以上経つとほぼ確実に夢の内容を忘れる。深い睡眠が夢の記憶を消すのと同様、覚醒してすぐの脳にもそのような機能が働くのだろう。
サン・ドニは起床以内の5分に夢日記を書くことで、入眠時幻像を見てからの夢の内容をほぼ思い出せるという。私は入眠時幻像までの記憶を遡れたことは今のところ一度もない。
夢で使える超能力
夢で使える超能力について。明晰夢では、意図的に考えたもの・ことのイメージがそのまま実体や運動を伴って「現れる」という。例えばサン・ドニが明晰夢に登場した馬にまたがると、「進め」「止まれ」というアタマの中の「念」で馬を操作できたという。
明晰な夢であれば、「念」にできるような言語やイメージはほとんどすべてが体験世界に「現れる」と考えることができる。例えば、「仕事場の暖炉に置いてあるヤタガンが欲しい」と念じるとそれを実際に手にすることができ、「カーテンをめくったら、美しいオダリスクが見えたら素晴らしい」と予期するとその通りの光景が見えたという。
明晰夢には、意図的に考えたもののイメージだけでなくイメージにあった物事の詳細も現れる。これを「無意識的記憶=レミニサンス」と表現している。
夢と香り
夢を見る際の内容と感覚は、その感覚と結びついた経験的な印象からも大きな影響を受ける。例えばサン・ドニは旅行に香水を持ち歩いてその香りと旅行の記憶を結びつけた。
眠っている間にその香水を染み込ませた枕で寝ると、その旅行の記憶に基づく記憶を見る確率が高まった。これを10日ほど続けると香りに関する感覚は鈍り、その旅行の記憶は夢に見なくなったという。
また1つの香水を別荘での滞在中・もう1つの香水をアトリエで絵画制作中に使ったのちに2つの香水を混ぜた枕を使うと、舞台設定が別荘・アトリエの入り混じった夢になったという。
夢と音楽
同じ方法で、サン・ドニは音楽が特定の人物を夢に登場させる効果があることを発見した。舞踏会で流す音楽と舞踏をした人物を記憶し、眠る際にそれと同じ音楽を蓄音機で流すと夢の中に同じ人物が登場する確率が高くなったという。香りに舞台設定・登場人物を誘導する効果があるとすると、音には登場人物を誘導する効果があると言える。
根源夢と派生夢
サン・ドニは感覚が直接誘導する思考・夢の内容、あるいなその影響をあまり受けない副次的な夢の内容をそれぞれ第一次思考・第二次思考、根源夢・派生夢と命名している。
根源夢の段階では、まず感覚と記憶に誘導された舞台設定・登場人物が明確に決まる。派生夢の段階では、根源夢の展開に辻褄合わせや直感に基づくイメージが決まる。根源夢に相当する舞台設定や登場人物を固定したいとなったら、音楽やアロマ・香水を活用すると良いかもしれない。
入眠時幻覚
入眠時幻覚を研究できないか、とサン・ドニは真面目に提案している。これは入眠時幻覚のパターンと夢の始まり方・パターンを統計的に比較するという形で可能になるのではないだろうか?これは検討しておく。夢だけ出なく、夜就寝するとき・WILD法で二度寝する時の入眠時幻覚を記録してみることにする。
結論
結論要旨という章で、夢を操縦・支配するためのコツが挙げられている。
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