【人柱物欲レビュー】金井電器産業 USB Mini Keyboard Proは古き良きThinkpadのかほり……
長い前置き
筆者は数十、いや数百年来のThinkpadユーザーである。
(のっけから誇大表現とか筆者の程度もお察し)
もちろん数百年というのは例えの話であり、数百年前からThinkpadがあるわけでもなし、聡明な読者の方々ならそれが比喩表現であろうことはすぐにお分かりいただけるかと思う。
(絶妙に突っ込むポイントがずれてるけど長くなるのでry)
まぁとにもかくにもツカみで滑り散らかしたところで前置きに入ると、質実剛健が売りのノートPCであるThinkpadが今のLenovo製ではなく日本IBM製だった頃から筆者は愛用していて、以来愛したThinkpadは数知れず。そして今この記事を書いているマシンも企業のリースアップのThinkpadX260を中国から取り寄せたフルHD液晶に自ら換装し、メモリも「Lenovoの仕様書だと最大16GBみたいだけどチップセット的には最大32GBだからイケるんじゃね?」とばかりに分解し、メーカー掟破りの倍プッシュメモリ換装の32GBで運用するくらいにはThinkpadを愛用しているのである。
ちなみに10年以上も前の名機、ThinkpadX200sも我が家でLinuxマシンとしてスローライフを送っている。本当Thinkpadは頑丈だわ。
またしても前置きが長くなってしまう悪癖はそのままで、今回のレビューするのはコレ!
「金井電気産業って聞いたことないし、値段も結構するし……」
まぁ、それが普通の反応かもしれない。筆者も購入前はそう思っていた。
その前に、今回の製品とThinkpadに何のつながりがあるのか、筆者がなぜThinkpadにこだわりを持つのか、そこに触れてからの方がレビューも分かり易いかと思う。
筆者がThinkpadにこだわる理由……それはズバリ
キーボードがエロい!
コレに尽きるのである。
「まーたコイツ、意味不な煽りで人の目を引こうとしてらぁ」
……いやいや待ってほしい、エロさは千差万別、非常に細分化先鋭化しやすいデリケートな分野なのである。キーボードにエロさを感じる人間がいたっていいじゃない。他人のエロスを笑える者は己のエロスを開陳できる覚悟を持った者だけなのである。(名言風に口からでまかせ)
エロいエロいというものの、端的に言えば打鍵感、具体的に言うと打鍵時のわずかな抵抗と打鍵後の押し戻す感じが芸術的で官能的ですらある、ということなのだが昔のThinkpadのキーボードには昇華されたそれらが宿っている、のである。メカニカルキーボードで言うとcherryMXの茶軸が近い感じかも。
「ってゆーかThinkpadの別売りキーボードって普通にあるじゃん! そんなに高くないじゃん!」と思ったそこのアナタ。
いや、あるにはあるのだが……
「違う、そうじゃない」とLenovoは鈴木雅之氏からお叱りを受ければいいと筆者は今でも思っている。(鈴木さん巻き込んでごめんなさい)
LenovoがIBMの時から受け継がれてきた7段配列キーボードに見切りを付け、6段配列アイソレーションキーボードをThinkpadに採用してからそれなりに月日は経つが、筆者はこのアイソレーションキーボードが苦手、というか嫌いなのだ。
アイソレーションキーボード、やーやーなの! エロエロパンタグラフキーボードがいーいーなの!!
などと意味不明に駄々っ子に幼児退行しつつもアイソレーションキーのメリットは十分に承知しているし評価もしている。
つまり、
・キーが独立していて押し間違い(誤爆)しにくい
・隙間にゴミが入りにくく掃除がしやすい
・(なんか知らんけど)構造上剛性を持たせやすい
でアイソレーションならぬ「合い」ソレーション的な感じだが裏を返せば、
・キーを独立させるための隙間部分の確保のためにキーの面積自体は小さくなりがち(特に縦方向)
・隙間が狭いのはいいけどその隙間にゴミが入ったら取りにくくないか?
・構造上キーボード部分のみの取り外し等はしづらく、キーボードが故障して交換したいって時にさぁ大変
という「哀」ソレーションということでもあるのだ。(なんじゃそら)
まーた話が横道にそれてしまったが、要は旧Thinkpadキーボードみたいなパンタグラフでポインティングデバイスも付いてて日本語配列のコンパクトなキーボードってないかな~、って話で今回に繋がるのである。
そしてようやく本題突入
というワケで調べているとこのキーボードに巡り会ったわけである。
では早速レビュー。
おぅふ……なんというか……すっごく2000年っぽいデザインです。
Windows98~98SE、XPですらなかったあの頃を彷彿とさせるレトロな外装箱。
「ま、まぁ、大事なのは中身よ中身。なんせ1万近い代物だからさ……」
パカッ(開封)
<合格証>、ハイ合格です……90年代検定ごう~か~く
ひょーしょーじょー、アンタはエラい!
ニンドスハッカッカ!ヒジリキホッキョッキョ!!(c)小松の親分さん
……90年代どころかバリバリ昭和になっちまってるよ。
開梱一発、思わず軽く取り乱すほどのレトロなデザイン。何このツートンカラー……SONYのVAIOというか猫も杓子も『まるちめでぃあぱそこん』だったあの頃的デザインなんですけど……
注)VAIOがダサいとかいう含みは決して持たせていませんのであしからず
まぁ、当たり前だけどAmazon購入時に商品画像を見ているので筆者が今更驚くワケも無く……(でもやっぱり実物を見ると得も言われぬインパクトがあるにはある)
まー、とりあえず使用しないことにはレビューが始まらないのである。
お、USBポート付いてるじゃん!
ここ結構重要で、やっぱりコンパクトキーボードでもテンキーは使いたいって時はある。そんな時にいちいちPC本体や本体から伸びるUSBハブにダラダラと何本もケーブル伸ばして……なんてやってられないのだ。え、ワイヤレス? 無線はなんやかんやで無くしてどっか行っちゃいがちだからNG。繋がっているという有線の安心感しか勝たん。でなくばチャタリングの波に溺れてしまえ!
(なんで急に攻撃的なんだよ)
とにもかくにもスマートに有線するためにもキーボード本体にUSBポートがあるのはかなりポイントが高い。ただし規格はUSB2.0なのでUSBメモリを刺してちょっとしたデータのやりとりくらいならまぁ、という感じ。スマホの充電ケーブルを繋いでどうこうしようとするのは現実的ではない。マウス・テンキー専用ポートくらいに割り切るべし。
そんなUSBハブの影響もあるのかケーブルは若干太め、ゆでる前の冷凍うどんくらいの太さ(わかるようなわからんような)。長さは1.8m位あるので必要十分ではないかと。
で、肝心のキーボード部分、昔ながらのパンタグラフキーボードでキー配置も普通のコンパクトキーボードと同じ。筆者は「_(半角アンダーバー)」をファイル名に多用するのでこの配置はありがたい。アンダーバーのキー(右シフトキーの左側、かなで言うところの「ろ」のキー)ってたまに有名なメーカーでもモデルによっては変則的な位置に置いてたりするので油断がならない(この間レビューしたD○LLのゲーミングノートとか右シフトキーと半ば一体化している始末)。
全体的にはThinkpadの7段配列とまでは行かないけど現行のThinkpadのキーボード同様6段配列になっている。
そしてキーボード中央のポッチ(ポインティングデバイス)とその下の左右のクリックボタンとホイール。
左右ボタンのクリック感は……軽めかな? ホイールには滑り防止のゴムなのか樹脂なのかがぐるっと一周曳かれていて(プラ製の)ホイールが指で滑るってことはないかなって感じ。
青いポッチもThinkpadの赤いトラックポイントに慣れていれば特に戸惑うことなく使うことが出来ると思う。細かいこと言うとThinkpadのより敏感で感度3000倍なくらい(それはない)。この辺はOS側でも調整できるしまぁ、って感じ。交換用のポイントキャップも2つ付いてるけどThinkpadの物とは径とか大きさも違うので互換性はない。シャープペンのお尻の消しゴムとかペン状の消しゴムとかなんかその辺でうまく転用できないもんかね?
筆者は(たぶん他の購入者も)このポインティングデバイスとトラックボールのいわゆる「Wポインティングデバイス体制」で作業している。
1つより2つ、要は両手にマウスを持っているような状態なのでこれがなかなかに便利なのだ。ダラダラと文章を打つような作業の時には真ん中の青いポッチだけで、Excelとかカーソルがあっちこっちに飛ぶような作業には通常のトラックボールで、と使い分けることが出来る。慣れてくると両手でいい感じにポインティングデバイスを操って、気分はアゲアゲクラブDJに。
使用感はというと
肝心の使用感、
キーボード自体が厚めで若干傾斜しているのでそのままでも楽に使えるし、(画像撮り忘れたけど)裏面には折りたたみ式の足もあるので特に窮屈とか打っていて疲れるとかは無いと思う。
そしてキータッチは予想通り……よりも少しおとなしめな感じ。
キーを押し込み時の引っかかりというかペコンって感じがなくスッと沈んでいく感じ。キーを押し戻す感じはまぁ普通。ペコペコというよりはペしペしという打鍵感。
要はエロいのかどうか、それが問題だ。
結論から言うとThinkpadのような官能的なエロさではなく、少しドライで事務的なエロさと言ったところか。
旧Thinkpadのキーボードはキーの押し込み時にわずかな抵抗の後にペコンと押下される。まるで「イヤよ、ダメよ」とキーボードが軽く抗いながらも文字通り押しに負けて打鍵者の誘惑に流され堕ちていくような感じなのだ。
(↑いやマジで何言ってんのこの人)
そんな艶やかな押し問答のような男女の機微がキーボードを通じて打鍵者にずっとずっと伝わり続けるのである……これをエロいと言わずしてなんと言おう。タッチタイプで長文なんぞ打とうものなら連続絶頂エクスタシーである。ENTERキーを思わず連打。さすがHENTAIの国、NIPPON!
(↑親の前で音読してみろ、いやマジで)
ところが、である。この金井電器産業のUSB Mini Keyboard Proだとその押し問答が弱い気がするのだ。まるで始めから基本プレイに入っていたかのようにこちらからの押しをほんの少しだけ事務的に拒みつつもあっさりと受け入れてしまうようなそういうご職業の女性っぽいというか、「会いたい」とだけ言われて相手の真意はわかっているのに淡い期待で「好き」の一言を待ち続けながら男の下心に流される都合のいい女っぽいというか……
(↑だから親の前で音読してみろって、いやマジで(2回目))
ハッキリ言ってそこまで大きな違いではないのでその違いが気にならないユーザーなら十分に優秀なキーボードだとは思う。
筆者としては想定していたThinkpadキーボードの代替品としての100点はあげられないが、まぁ88点くらいはあげられるかとは思う。そしてThinkpadキーボードにはないUSBハブ機能が付いていたので20点くらい加点して108点。
100点超えとるやないかい……
なんというか、図らずしも総合点でThinkpadを超えてしまった感じ。
シン・エヴァンゲリオンで言うところのアスカかレイかで揺れ動いてたらマリがシンジをかっ攫っていった感じと言えばわかると思う。(イヤ全くわからん)
やはり思い出の女というのは思い出の中でのみ生き続けるからこそいつまで経っても素敵なままで、エヴァーグリーンなままでいられるのだ。あの頃のThinkpadキーボードはもう手に入らないのだ。
一方、生身の僕らは常に年をとり続け、現実と向き合い、社会と折り合いをつけながら自らに分相応なパートナーを探し、追い求める。
そしてついに出会った『都合のいい女』は満点超えの『胸の大きいイイ女』へと変わっていく……それがこの『金井電器産業USB Mini Keyboard Pro』だったのだ。
(↑イヤもうマジで最後まで何言ってんのこの人)
マイナス宇宙にまで逸れた話を元に戻すと、このコンパクトなキーボードを繋いで使用する状況というのは大抵の場合、USBポートの少ないノートPCや業務用のコンパクトなデスクトップPCに繋いで使用するような状況であり、決してUSBポートが潤沢なゲーミング系のデスクトップPCとかではない(絶対とまでは言わないけれども)。
そんな状況下においてUSBハブ機能はその真価を最大限に発揮する大きな武器となり得る。モバイル用途等で持ち歩くならなおさらその恩恵にあずかれるだろう。
キーボードとしては何の問題も無い逸品なのだがカラーだけが若干アレなんで、黒とかグレーモデルとかあると予備でもう1枚買うんだけど、金井電気産業さんどうっすかねぇ?
そんなこんなで金井電器産業のUSB Mini Keyboard Proのちょっとだけ風変わりなレビューでした。(すいません後でおくすり飲んどきます)
……実はこのキーボード、元々は秋葉原にも店舗を構えていたサーバ系やネットワーク系に強い「ぷらっとホーム株式会社」が企画販売していた製品でその頃はPS/2接続だったとの事。製造は天下の沖電気に委託され、USB接続版を出すにあたりOKIブランドで販売してたけど一旦は販売終了となり、再度販売するにあたっては製造を沖電気とつながりのある金井電器産業に委託して今に至るという興味深い経緯があるようで……
(むしろその辺の話を端折らずにやれよ)
購入を検討される方は一度ググってみるのをおすすめする。買って損はないよ!
それではよいPCライフを! またね!
(最後雑に締めて逃げやがった)
(各社URLは以下)
金井電気産業
ぷらっとホーム株式会社