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真奈美とカオリ2話 30
(1話からの続き)
次の朝、
誰かのいびきが聞こえる、
えっ、
男の人が横に寝ている。誰??
身体が変な感じ、軽い? 天井が違う?シーツが白い、爪には見覚えの無いマニキュアの色、え!!?? なに? 私じゃない!。パジャマも違う。身体が細い!! 飛び起きて鏡をみると私は真奈美ちゃんになっていて彼女の家の2階の寝室にいる。What the Fuc○!!!!!!! はーーーーー!?
ドラマや映画で、よくある心と身体が入れ替わってしまう物語が現実に起こった。パニクって、気分が悪くなってきた。
こういうのって、青春時代みたいな若者に起こるんじゃないの?たいがい。(いや普通起こらない)
どうしよう、とにかく電話!
きっと私になっているであろう真奈美ちゃんに電話をかけると、向こうは、ニューヨークの夜。彼女もビックリしていて、私に何度も連絡をしていたようだ。
「真奈美ちゃん! 私なの?ニューヨークにいるの?」
「そうなのよ、なにこれ、カオリ、こっちは日曜日の夕方だよ、今、私なの?そっちは私の家?」
私より前にこの現実を知った彼女は、少し落ち着いて、そう答えた。
「うん どうしよう??」
こうしてアラフォー女性の人生交換は始まった。
彼女は私に、私は彼女に、だいたいこんな感じで生活している、仕事はこうして欲しいと事細かに説明した。とにかく暮らすしかしかないのだ。
真奈美ちゃんは、お花屋さんのオーナーなので、朝からお店を開ける。その前に朝ごはんを作り、家族を送り出す。
彼女はとにかくもの凄く働き者だ。性格は、悩みはもちろんあるだろうけど明るい、道で知り合いの人を見かけると、車の窓を開け、「おじさん元気?」と挨拶する社交性。中高もずっと彼氏がいて大恋愛をしていた。お洒落で中学生の時、二人で原宿のラフォーレのバーゲンに朝から一緒に並んだ事もある。
私とは、当たり前だけど、違うタイプで
そして彼女は、今日から、私の生活をするのだ。
信じられない!!ただ、恋愛、トキメキを求めている既婚者の真奈美ちゃんにとっては、私の生活は楽しいかもしれない。ただ、なにをしでかすかわからない。。。
子供と旦那様と落ち着いた暮らしを求めている私としては、彼女の生活は最高の環境なのだが、、、? いや、そういう事では無い。自分の家族じゃ無いし。
しまった。こんな時に限って、婚活を頑張らなければならない私は今週、自分に厳しく3人の男性と会う約束をしていた。彼女は私に成り変わり、上手くデートしてくれるのだろうか?
1人は今週初めて会うアメリカ人、もう1人はずっと話しはしていたけどまだ実際に会っていない日本人、もう1人は先週2回めのデートをして、今週にも会う約束をしているイタリア人。
頼むから、勝手に夜営(夜の営み)をしないでくれる事を祈るが、セックスレスの悩みを長年抱える彼女に、そんなことが、出来るのだろうか? しかも、彼女が入っているのは私の身体なのだ。
夜営、、、ということは、逆に、私は彼女の旦那様とそんなことをしなければならないのだろうか? まずい、これは切実な問題だ、私がもし拒めば、この夫婦の長期にわたるセックスレスライフにもっと拍車をかける事となるだろう、けれど、私は従姉の旦那様としたくはない、あー私の身体では無いけど。なんだか、カレー味の○○○と○○○味のカレーの選択肢を与えられた時の気分。
そもそも、私達のこの交換生活はいつ戻るのだろう?あーーー途方に暮れる。
そんなことを考えてる間にも、小学生の娘が「ママー、朝ごはんはー、」と言い、旦那さんも「ママー、新しい歯磨き粉に変えていい?」と朝の忙しさをスタートしている。
私は高校生の頃、夏に彼女のお兄さんが経営するお店で、お花屋のアルバイトを3週間ぐらいさせてもらったので、やる事はなんとなくわかっていた。
しかし、真奈美ちゃんは大丈夫だろうか?
アパレルの会社で、私はアクセサリー(小物類)の企画を担当していて、とにかく春夏、秋冬コレクションの時期はキツい。デザイナーがデザインを突然変更したり、撮影にも行かされたり。今やクルーズラインやpre fallなんてのもある。デザイナーとの打ち合わせ。工場。同僚。大丈夫なのか? 同僚はともかく、ファッション系の人々はコワイよー。
とにかく、なるべく毎日、自分たちの報告をすることに決めた。
一番心配していた言葉の問題はどうなのか訊ねると。
「 一応、あなたの身体だから、英語は話せるよー。あんまり上手く無いけどね、www」と返ってきて。
「仕事は? 」と聞くと
「仕事は今日のところ大丈夫だったよ」と言われてホッとした。
すると真奈美ちゃんは
「でもカオリ、今週3人もデート入れてるのね?すごいねー。でも楽しみ。路チューとかしちゃおー。」と嬉しそうな声で言った。
「えー。。路チューはしてもいいけど、(アメリカでは当たり前の事だし。)頼むから、私の身体だし、すぐにやるとかしないでね!」
「わかってるけど、その時の気分次第かも、ははは、」
「えー、やめてーーーー!」
「冗談 冗談。」
「もし、真奈美ちゃんの旦那が私に迫ってきたら、どうすればいいの?」
「そうねぇ。絶対に迫ってこなから。大丈夫よ、大丈夫、ご無沙汰だし、もし迫ってきたら、適当にやっといて。」
「やだよーーーー。」
と初日は終えた。
今日は疲れたな〜とお風呂場で、真奈美ちゃんの細い身体を、私とは全然違うなと思いながら洗い、変わった相手が従姉で良かったと思った。そして頭(真奈美ちゃんの)を洗っていたら、「追い炊きが終了しました。」と突然言われてビクッとした。ああー、怖かった。お風呂に誰かいるのかと思った。 そうここは日本なのだ。
明日も朝から、市場に行ってお花の仕入れがある。
早く寝ないと。
と、真奈美ちゃんの旦那さんが寝ているのを確認してからベッドにもぐった。
3話に続く。
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