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【陽だまり日記】風を読んで、風に乗る。


海辺の町に住むのが夢だった。

子どもの頃、夏休みに祖父母の家へ帰省すると、良く海へ連れて行ってくれた。
いわゆる海水浴場ではないその場所は、地元の人だけが知る、干潮の時だけ現れる小さな浜辺だった。
穏やかな波が寄せては返るその場所で、潮が満ちるまでの間を、のびのびと過ごした。
海風に乗って羽ばたくカモメを見ると、なんだか幸せな気持ちになれた。


ちなみに、カモメのような飛び方を、滑空飛行と言うらしい。
滑空飛行とは、羽ばたきの回数は最小限に、翼を広げて滑るように飛ぶ方法のこと。
エネルギー効率が良く、長距離の移動に適しているんだとか。


学生の頃も、社会人になった今も、一生懸命羽ばたかなければ、飛ぶことができないような、生きていけないような、そんな気持ちになることがある。
でも、最近は、本当に大切なことは、風を読むことなんじゃないかと思う。
頑なに張りつめ、抗い、努力することで得るものはきっとある。
それを否定するわけじゃあ、ない。
そうすることで得られる宝物は確かにある。

でも、人生って思うよりも長くて、なのにとても短いもの。
それでいて、人は、いくら歳を重ねようと、風を、周りの環境を思いのままに操ることは出来ないのだ。
だけれど、だからこそ。
風を読んで、しなやかに羽根を動かすことはできるようになるかもしれない。
深く息をして、大きく数度羽ばたき、風にのることで、遠く、遠くまで行けるかもしれない。

2025年は、風を読んで風に乗る、そんな年にしたいなあ、なんて思う次第。

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