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【陽だまり日記】しあわせ炊き込みご飯
こんなに風が冷たくて、冬の気配が漂っているのに、花粉の気配がする。
鼻から喉にかけて、こそこそとした痒み、後鼻漏による不快感に、マスクの下で早くもうんざりしつつある金曜日。
まあ、美味しいものでも食べて、自分の機嫌をとりましょう、そうしましょう。
日曜日に購入して、そのまま冷蔵庫に眠らせてしまっていた蕪を取り出す。
料理は割合と好き、だけれど、平日に料理に時間をかけると、まるで他のことができなくなることに気付き、ここ最近はかなりセーブ気味。
平日の料理にかける時間は15分までと決めている。
これに洗い物を含めると結局相応の時間がかかるのよね。
だけれど今日は金曜日なので特別、好きなだけ料理をします。
蕪の実の方は出汁で炊き上げ、葉の方はさっと茹であげ、ザクザク切る。
それから人参と生シイタケを刻み、ミルクパンでお醤油と出汁と味醂で甘辛く煮つつ、お米を研ぐ。
……料理の手際というやつが捗ると、なんだか、妙に有能な人間になって気分。
時計の針を見ながらチャキチャキ動けることに、仕事もこれくらい捗ってくれたらなあと思いつつ。
お釜に米、先程の蕪の葉と椎茸に人参を混ぜ、あとは炊飯器にお任せ。
時短のため本日のお吸い物は、松茸のお吸い物に乾燥わかめと豆腐を適当に放り込んだものにします。
ご飯が炊けるまでは自由時間。
最近、何のビジョンもないけれど、いつか自分で雑誌のようなものを作りたいなあと思っていて。
その割に私は雑誌を日常的に購読したことが、これまでなかったわけで。
取り敢えずレイアウトの感じを把握したいなあと思い、図書館から複数のそれらを借りてきた。
女性向けの雑誌、男性向けの雑誌、シニア向けの雑誌、ファッションに経済、少しずつフォントの種類も大きさも魅せ方も、色も写真の風味も違って面白い。
キッチンに座り込みペラペラとページを捲っていく。
楽しいな、自分で作れたら素敵だな、そう思う。
それなのに、AIで、簡単に文章もデザインも生み出すことができてしまう世界で、此の手のことに素人の自分手を出す意味とは、なあんて……メリットデメリットで考えるもう一人の自分が哀しい。
時間があるのならお金になることに投資すべきでは、なんて、なんだかなあ。
そんなことを言いながらも、投資だのなんだの、お金のことも良く分かってないのだ。
否定よりは肯定、そして、自分の声のどちらを否定することなく欲張れば良い気もする。
お金の勉強もデザインや創作に興味を持つことも、少しずつ少しずつ手を出せば良いのよ、きっと。
優先順位は必要だけれど、切り捨てることを、そんなにいつも考えなくて良いじゃない。
きっと、我らがハーマイオニー、もとい、エマ・ワトソンならそう言ってくれる……。(唐突のハリポタ)
ピヨピヨ炊飯器が鳴いて、ふんわり良い香り。
今日のお夕飯は、炊き込みご飯にお吸い物、そしてレタスと蕪と豚シャブのサラダです。
おなかがペコペコの時の一口目の幸せったらない。
サラダもドレッシング切れていて、適当に出汁醤油とオリーブオイルを混ぜたのをかけたけれど、全然イケるじゃないの。
湯気の立つ、炊き込みご飯、色々と刻んで混ぜ合わせて炊き上げたそれは、言わずもがなとっても美味でした。
人生は長く短い。
諦めることに慣れた大人より、愛したいものがたくさんある大人の方が素敵なんじゃないかな。
焦らず、炊き上げていけば良いのよ、きっと
丁寧に、色んな好きを混ぜて、ちょっとずつ調整して、じっくり美味しくしていくの。
さて、今夜も、ごちそうさま。