【陽だまり日記】落書き
疲れた時、つい、ノートの余白に落書きを描いてしまう。
つい、というより、いつの間にか、が正しい。
広い紙面の端っこに、もこもこ描いて、言葉の形にしない気持ちを密やかにこの世に召喚する。
そうしたら、不思議とまあるい満足感と仄明るい気持ちがペン先から届く。
一方で、例えば、絡まって縺れそうな気持ちは、紙に書き出すと良いと世の中では誠しやかに囁かれてる。
私も実践してみたことがあるのだけれど、こんなに溢れる気持ちが余りにも短く束ねられてしまったことに絶望した。
ペン先から虚無が溢れてくるようで只々悲しかった。
それからというもの、感情の整理のためにペンを持つことを、私は辞めてしまった。
すこし疲れた木曜日の夜。
夜にぽかりと浮いた四角い部屋の中、疲労と曇天の心地に沈みきらないようカリカリと描いた落書きの、能天気なまなざし。
私から生まれたくせに、ひとりでに勝手に歩き出しそうな三角耳の子に、ほろっと笑う。
そんな夜。