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「歌会始」と夢馬券
12月に受診した健康診断の結果を聞くために病院へ行ってきました。
「あれ、WIN5の話はどうなったの?」とお思いの方は鋭いです。
今日は時間が取れないので、日記を書くことにします。
ごめんなさい。明日は、きっと書くと思います。
11時を少し回ったくらいだったでしょうか。
昼前ですから、大して混んでもいない待合室のイスに腰かけて、ボクはテレビを見ていました。
病院のテレビというのは、だいたいNHKを映しているものです。
ボクは、ひるおびのほうが見たかったのですが、勝手にチャンネルを変えるのも憚られます。
きっと周りの人たちも同じことを思っていたに違いありません。
こういうとき『ミッション:インポッシブル』のベンジーみたいな人がいれば、遠隔操作で誰にも気づかれないうちにチャンネルを変えてくれるのに、と思うのです。
でも、彼のキャラクターからして、きっと間違ってテレビショッピングかなんかのチャンネルにしてしまうんだろうとも思います。
不幸にして、そういうハッカーな友達を持ち合わせないボクは、仕方なくNHKを見ていたのですが、この日はどうやら「歌会始」なる皇室行事を中継しているようでした。
これは毎年一月、天皇皇后を始め、多くの皇室の方々と一般から選ばれた人たちとが一堂に会し、歌(和歌)を披露しあう儀式だそうです。
参加された皆さんが畏まってお座りになり、皇家の方々から賜る、ありがたい歌を皆でしみじみと味わうという、なかなか昼時にふさわしい、眠りを誘う行事です。
ボクなんかは、あろうことか陛下の前でいびきをかいて寝てしまい、つまみ出されることは間違いありません。
「それ分かるー」とか「んなわけないじゃん」みたいな声を挙げる方もおらず、やっぱり学のある方は違うな、こうありたいものだと感服するばかりでした。
この歌会始ですが、今年のお題は「夢」だったそうです。
どこかに「夢」の一文字を入れて、和歌を詠むというわけです。
教養のないボクは、ふーんという感じで聞いていたのですが、一つ印象に残った歌があったので、ここに書いてみます。
詠まれたのは高円宮承子さまです。
まだお若い方で、高円宮家のお嬢さんですから、今の天皇陛下とは再従妹の関係になると思います。
『夢の国のちびっこバク』も 三十年を
わが夢食みつつ おとなになりしか
これ、和歌なんですか?
「ちびっこバク」のインパクトが強すぎて、他のことが考えられません。
字余りの多さとか、区切れがどこにあるのかとか、そんなことも全然、気にならないのです。
ボクは内科の順番を呼ばれたのにも気がつかないほどでした。
ネットで調べてみると「ちびっこバク」というのは、承子さまのお母さんである久子さまが書かれた『夢の国のちびっこバク』という本に出てくる、バクの「バックン」のことだそうです。
説明がないと、さっぱり分かりません。
バクは人の見る悪夢を食べるとされますから
「私(承子さま)の夢を30年の間、食べ続けて、バックンも大人になったのでしょうね」というような意味なんだと思います。
皇室の行事というと堅苦しいイメージを持ちますが、こんなメルヘンな句も詠まれるのですね。
でも、歌会で聞かれた方々は、何のことだか分からなかったんじゃないかと思います。
で、今回ボクは招待されませんでしたが、来年は呼ばれることを期待して一句詠んでおきます。
春来よと 夜ごと悩みし 夢馬券
またたくうちに 吹雪となりぬ
「今度こそ春が来い(当たれ)と毎夜、悩みに悩んで買った馬券なのに、レースが始まって、ほんの数分後には紙吹雪になって宙を舞っていることだよ」という歌です。
「瞬く」と「馬叩く」を掛詞にしてみました。
まぁ、下の句は「月曜日には 燃えるゴミの中(字余り)」としても良いかと思います。
お粗末さまでした。
ちなみに健康診断の結果は、特に異常なしでした。
でも、先生から
「あれ、そろそろ胃カメラじゃない?もう三年もやってないよ」
と恐ろしいことを言われたので逃げ帰ってきたのです。