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『瞬間小説』

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短編小説より短い『瞬間小説』と、それよりさらに短い『超・瞬間小説』をご用意しています。(’~^)ゝ
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2014年11月の記事一覧

瞬間小説​『不老不死の薬』

瞬間小説​『不老不死の薬』



「もういい加減、分かっただろ? そんな薬どこにも無いんだよ。」

砂漠のオアシスの給水所で、むせながら水を飲んでいる私に、ガイドの少年はおよそ子供らしくない、諭すような口調でそう言った。

「冗談じゃない! 見つけるまではあきらめてたまるもんか! 私の寿命が尽きる前に必ず見つけ出してやるんだ! 不老不死の薬を!」

少年はヤレヤレといったジェスチャーをしただけで、それ以上は何も言わず、小走りで

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瞬間小説​『タヌキの嫁入り』

瞬間小説​『タヌキの嫁入り』



俺は、動物専門の詐欺師である。

動物と会話できるという、生まれながらの能力を利用し、動物カウンセラーとして森を渡り歩き、動物たちから金品を騙し取って生計を立てている。
人間社会に愛想をつかせた俺にとっては、うってつけの商売だ。

さて、今日のカモはメスのタヌキだ。
金を持っているかどうか怪しいが、最悪2、3日分の食料にはなりそうだ。

俺「えーと、つまり、こういう事だね? とある人間の男

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超・瞬間小説​『サンタクロースの夜』

超・瞬間小説​『サンタクロースの夜』



「願いは、かなう。」

…とは、昔から言われてきたが、近年それは当たり前の現象になっていた。

神の奇跡か人類の進化か、純真な願いなら結構かなってしまう時代なのだ。

詳しい原理は解明されていないが、特に子どもたちの願いは、よくかなう。

そんな訳で、クリスマスイブの夜には、もはや晴れていても星は見えない。

おびただしい数のサンタたちが、夜空をギチギチに埋め尽くしているのだ。

<完>

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