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ふたりの仲が続くことを祈ってしまいませんように

小さい頃、東京の府中市に住んでいた。
府中駅前の緑豊かな参道先には大國魂神社おおくにたまじんじゃがあって、そこが好きだった。

35年ぶりくらいに行ってみたくなった。
何か少し開けるかもしれない。

妻との中距離ドライブはコロナ前以来と久しぶりで楽しい。

Timesに停め、けやき並木以外は全く様変わりした風景に記憶を重ねながら歩く。

大鳥居前で一礼し、手水舎で浄め、参拝する。

参拝時は住所と名前をお伝えした方が良いと聞く。
神様もどこの誰かわかった方が耳を貸してくださるかもしれない。


どこそこのだれそれです。
こういう方向に生きていきたいと考えています。

そして傍にはずっと妻に居てほしいです。



帰路に着く。

はたと気づく。

自然と最後に出てしまった、妻との幸せをこの先も願う祈り。
更に良くなったりしなくていいから、このままでいいから、と願う祈り。

人は今の状況が心地よいものである場合、それが続くようにと考える。
積み上げて積み上げてピークに近づく頃、継続を願い始める。
どうぞ崩れてしまいませんように。

幸せなことだけど、少し不安になる“継続の願い”。
決して今がピークでありませんように。

これからも積み上げて行こうと気持ちを引き締め直す。

エンジンをかけ、プレイリストも再生する。

入れていた ROTH BART BARONロット・バルト・バロン、中村佳穂 の「月に吠える」が流れる。

失う悲しみに すっかり臆病になって
どこかで勇気を無くしてしまったみたい

月が黒い山を 転げ転げ落ちた夜に
遠吠えが聞こえたら それは君を呼ぶ声だ

まわるまわる世界 振り落とされないように
遠吠えが聞こえたら それははじまりの合図

作詞:三船雅也、中村佳穂

そうだ、もし崩れたって、積み上げればいい。
またはじめてみればいい。

この先に起こらないかもしれない不安。
そんなものをいま案ずることはない。

この先に起こらないかもしれない不安。
そんなものにいまを邪魔されてはならない。

臆せず進め。
今日が新たな、はじまりだ。


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