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アファンタジア考 (2025年1月)


🍅2025/1/4|#1

アファンタジアという用語の命名者であり、アファンタジア研究の第一人者でもあるアダム・ゼマン(Adam Zeman)をゲストに迎えたポッドキャスト番組「アダム・ゼマンによるアファンタジアQ&A」(2024-12-31配信、52分)
https://www.youtube.com/watch?v=ddMmenkOmWM .

🍅2025/1/5|#2

とりあえず音声をテキスト化(後ほどAIで和訳予定)
https://note.com/preview/n9f61fa5c047a?prev_access_key=4d152d8e46f0390c34ab77e5fa5a8449 .

  


🍅2025/1/5|#3

先天的にハイパーファンタジア(脳内の視覚化能力が極めて高い)を経験してる人が質問に答えるスレ。
https://redd.it/1hsyf5k

回答の内容が具体的で興味深い。例えば、頭の中にいつもイメージがあるわけではない、一日を通して定期的に一分以内程度の空想にふける、

🍅2025/1/5|#4

どんなに抵抗してもイメージを見せられることもある、そんなときは集中力が低下する、こんなふうに『見え』てるので具体的に説明します、視覚的イメージが見えることよりそこから得られる感情のほうが尊い、等々。

  


🍅2025/1/9|#5

先日、「アファンタジアは偽だ、彼らは勘違いしてる」という主張がポストされた。これ ⇒ https://x.com/justalexoki/status/1876056884618424603

その後、このポストは炎上したが、そのお陰でいろいろな意見を読むことができた。
さて、「心の目にイメージが浮かばないなんて嘘だ、そんな人は存在しない」あるいは、
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🍅2025/1/9|#6

「心の目にイメージが浮かぶなんて嘘だ、そんな人は存在しない」と主張する人がいる。
これは「神は存在する、いや存在しない」「幽霊は存在する、いや存在しない」といったテーマと似てる。
心の目の経験も神も幽霊も、その存在の有無は(少なくとも現時点では)証明できない。

🍅2025/1/9|#7

ただその存在の有無を信じる個人と信じない個人がいて、互いに自分の信念を主張し合ってる。不毛なことだ。可能な限り客観の材料となるデータが提示されたとしても、信が覆るとは限らない。信とはそれほど強い。
いずれにせよ、積まれた信(主観/客観)と多数決によって科学や常識がつくられる。

  


🍅2025/1/9|#8

研究会タイトルが「アファンタジアと創造性:視覚的イメージは想像/創造の核なのか?」とのことだが、答えは明白で、否である。
実際は「視覚的イメージは広い意味での想像/創造の一部であり、それは主役級のエンジンになり得る」といった感じだろうか。
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🍅2025/1/9|#9

一方でアファンタジアの場合は、別の主役級(代替戦略)を揃えることで広い意味での想像/創造が可能なのは、これもまた明白。アを経験してるクリエイターらの実績がそれを証明してる。
いずれにしても、視覚的イメージの有無にかかわらず、飽くなき意欲こそが「核」であるのは言うまでもない。

  


🍅2025/1/9|#10

いまさらながら言葉ってほんと便利なツールだ。個々人の内的世界に著しい違いがあっても、言葉によって細部は隠され情報伝達が抽象化/効率化されつつも、重大な支障なく機能してる(例外は省略)。人類の進歩も退歩も、理解も誤解も言葉というインターフェースのおかげ。

🍅2025/1/9|#11

よくよく考えると、言葉のおかげで知識や思想、歴史などが千年の時空を超えて人々の中に入ってくる。ただの奇跡じゃないか?

  


🍅2025/1/12|#12

一昨日出版された非常に興味深いアファンタジア論文。

【論文】fMRIによる脳の初期視覚野(V1)解読によって明らかになったアファンタジアにおける意識の外にある何らかの視覚的表現
【原題】Imageless imagery in aphantasia revealed by early visual cortex decoding
https://www.cell.com/current-biology/abstract/S0960-9822(24)01652-X .

🍅2025/1/12|#13

【所感】今回の研究では、心の目で視覚的なイメージを経験しないアファンタジアを持つ人々でも、脳の初期視覚野(V1)が活性化することが確認され、脳内(意識の外側)で何らかのイメージの気配(いわゆる「見ずに見る」)が存在する可能性が示唆されたようだ。ただし、その活動は弱いか歪んでおり、

🍅2025/1/12|#14

意識的な(つまり意識の中に現れる)視覚イメージには変換されなかった可能性があるとのこと。また、視覚知覚(目)および視覚イメージ(心)の脳活動パターンが非アファンタジアの人々とは異なり、脳の配線や信号伝達に違いがある可能性も示されたようだ。後日、より突っ込んだ詳細に触れる予定。

  


🍅2025/1/12|#15

先週出版されたアファンタジア論文。

【論文】アファンタジアに無意識の視覚イメージは存在するか?
【原題】Are there unconscious visual images in aphantasia? Development of an implicit priming paradigm
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0010027724003457 .

🍅2025/1/12|#16

【所感】アファンタジアのメカニズムには二つの仮説があるそうだ。

(1) そもそも視覚イメージが生成されていない或いは減少してる。
(2) 視覚イメージは生成されているものの、メタ認知(自分の内的世界を客観視する能力)低下のためそこにアクセスできない。

本研究では (1) の仮説が支持されたそうだ。

  


🍅2025/1/13|#17

先月末、アファンタジア研究の第一人者であるゼマンが出演した52分間の動画が公開された。その内容はアファンタジア研究の最前線に関する詳細な解説であり、非常に貴重な資料と言える。この動画の音声を日本語に翻訳した。
https://note.com/nyaphantasia/n/n5173d02eed2d .

  


🍅2025-01-15|#18

2025年1月10日、著名なアファンタジア研究者であるジョエル・ピアソン教授らによる非常にエキサイティングなアファンタジア論文が出版された(下記引用参照)。

この論文の大まかなハイライト(見どころ)を以下に意訳する。なお、※印から始まる行は私の個人的なコメント。
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🍅2025-01-15|#19

今回の研究では、アファンタジアファンタジア群(14人)と非アファンタジアファンタジア群(18人)の二つのグループが、ある「刺激」を目で見たとき、あるいはその「刺激」のイメージを試行した(つまり心の中で「刺激」を視覚化しようとした)ときの、

🍅2025-01-15|#20

脳の一次視覚野(V1:視覚情報をあたかも画像のような形式で処理する脳の領域で視覚処理のエンジンと呼ばれる部位)の活動を撮影し、アファンタジア群と非アファンタジア群の脳活動画像に類似点や相違点があるかを調べた。また「刺激」が何であるかを脳活動画像から解読(覗き見)できるかを試みた。

🍅2025-01-15|#21

【知見1】
輝度の高い(つまり明るい)イメージを試行したときの瞳孔反応や、感情的な物語に対する皮膚電気反応といった生理的な指標において、非アファンタジア群は客観的な反応を示したが、アファンタジア群は反応を示さなかったことが確認された。

🍅2025-01-15|#22

つまり、アファンタジア群の脳活動は反応を引き起こすほど強くない可能性が示唆された。
※これらはピアソン教授らが従来から研究してる知見。

🍅2025-01-15|#23

【知見2】
アファンタジア群と非アファンタジア群の両群で、ある「刺激」を目で見たときのV1活動を比較したところ、アファンタジア群の活動は非アファンタジア群よりも弱いことが確認された。(これが何を示唆しているのかは不明)
※なるほど、弱いのか。

🍅2025-01-15|#24

【知見3】
アファンタジア群と非アファンタジア群の両群で、ある「刺激」を目で見たときのV1活動パターンと、その「刺激」のイメージを試行したときのV1活動パターンを比較したところ、非アファンタジア群では両方のパターンが類似していたが、アファンタジア群では類似していないことが確認された。

🍅2025-01-15|#25

つまり、非アファンタジア群では両方のパターンが同じ神経表現に基づいていることが示唆されており、一方で、アファンタジア群では両方のパターンは異なるプロセスとして処理されている可能性が示唆された。
※これは興味深い発見。

🍅2025-01-15|#26

【知見4】
アファンタジア群がイメージを試行したときV1に活動があったことを確認した。これは、アファンタジアの原因は視覚情報を処理する脳領域(特にV1)が活動していないことに起因するという従来の仮説を覆す結果となった。

🍅2025-01-15|#27

また、このときのV1活動は意識に昇らない(つまりイメージの主観的経験がない)ことが確認された。
※こちらは従来から示唆されていた知見だが、あらためて強調。

🍅2025-01-15|#28

【知見5】
アファンタジア群がイメージを試行したときのV1活動を分析し、そのイメージの「刺激」は何だったのか?(つまり何のイメージを試みていたのか?)を解読することができた。つまり、そのイメージに固有の表現がV1に存在することが示唆された。

🍅2025-01-15|#29

また、このときのV1活動は(おそらく活動が弱すぎるか歪んでいるため)意識に昇らないことが確認された。

🍅2025-01-15|#30

なお、心の中のイメージを第三者が解読したとは言っても、それは限定条件下における単純なケースであり、心の中の詳細を覗けたわけではない。
※この発見はアファンタジア研究 2.0 の幕開けになるかもしれない。

🍅2025-01-15|#31

【知見6】
アファンタジア群が視界の片側でイメージを試行したとき、同じ側の脳が活動してることが確認された(同側性という)。一方で、非アファンタジア群では反対の側の脳がより活動していることが確認された(対側性という)。

🍅2025-01-15|#32

通常、脳の活動は対側性(左側の視野にあるものは右脳が処理し、右側の視野のものは左脳が処理する)に基づいているが、アファンタジア群ではこれが逆転して同側性の活動が強くなることが確認された。

🍅2025-01-15|#33

つまり、アファンタジア群と非アファンタジア群とでは脳内の処理方法(配線や信号伝達の違い或いは信号強度の違いなど)が異なっている可能性が示唆された。
※こちらの発見も非常に興味深い。

  


🍅2025/1/18|#34

【論文】アファンタジアにおける一次視覚野の役割
【原題】Mental imagery: The role of primary visual cortex in aphantasia
【著者】Fraser Milton
【出版】2024-11-04
https://www.cell.com/current-biology/abstract/S0960-9822(24)01344-7 .

🍅2025/1/18|#35

【感想】有料なので読めたのは概要のみ。脳の一次視覚野の活動とアファンタジア(狭義では視覚的な心的イメージの経験がない或いは希薄)が関係している証拠が積まれた?

  


🍅2025/1/18|#36

【論文】仮面画像の視覚イメージが感情に与える影響および逆境やトラウマとの関連を探る
【原題】Exploring the evocative qualities of masks’ visual imagery and their associations with adversity and trauma
【著者】Asli Arslanbek et al.
【出版】2024-06-10
https://www.frontiersin.org/journals/psychology/articles/10.3389/fpsyg.2024.1337927/full .

  


🍅2025/1/18|#37

苦悩や痛みなど強い感情を伴う画像を見たとき、人生で逆境やトラウマを経験した人の感情を高める可能性がある、という研究(下記引用参照)の一部をざっと読んだ。
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🍅2025/1/18|#38

論文のタイトルに「visual imagery」という言葉があったので「頭の中で視覚イメージを思い浮かべたとき」に関する研究だと思っていたら、どうやら「実際の目でヤバい画像を見たときの感情反応」についての論文らしい。
こういう場合も「visual imagery」という言葉を使うようだ…(紛らわしい?)

🍅2025/1/18|#39

アファンタジアとは直接関連しない論文だが、ヤバい画像を目視するとヤバい視覚的心的イメージの連想が惹起され、それが感情を揺さぶる要因の一つになり得るとしたら、視覚的心的イメージを経験しないアファンタジアは感情への影響が低くなり得るのかもしれない?

  


🍅2025/1/18|#40

【論文】メンタルヘルスケアにおけるアファンタジアの影響
【原題】The Impact of Aphantasia on Mental Healthcare Experiences
【出版】2024-12-23
https://online.ucpress.edu/collabra/article/10/1/127416/204719/The-Impact-of-Aphantasia-on-Mental-Healthcare

【感想】現行のメンタルヘルスケアは心的イメージに基づく治療法が中心となってるそうで、

🍅2025/1/18|#41

心的イメージを経験しないアファンタジアがメンタルヘルスケアにどのような影響を及ぼすかを調べたそうだ。その結果、次のことが分かったそうだ。
アファンタジア群では精神疾患の心的イメージ関連症状(例:PTSDのフラッシュバック等)が一般的な人々と比べて少ない。

🍅2025/1/18|#42

心的イメージに依存する治療法(特に認知行動療法:CBT)はアファンタジア群では効果が低いと報告された。
医師と患者の双方でアファンタジアに関する知識が不足しているため治療方法の選択や適応が難しく、誤診や診断の遅れを引き起こす可能性がある、等々。

  


🍅2025/1/18|#43

【論文】アファンタジアには無意識のイメージがあるのか?
【原題】Is There Unconscious Imagery in Aphantasia?
【著者】Andy Mckilliam, Manuela Kirberg
【出版】2024-11-21
https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=5029718 .

  


🍅2025/1/18|#44

論文(引用参照)の要約を勝手に意訳する。
【意訳】アファンタジアの人々の一部が、無意識的に(つまり自覚なしに)心的イメージを形成している可能性があるという最近の仮説を検証した。この仮説は、アの人々が特定の認知課題(例えば心的回転課題)において、
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🍅2025/1/18|#45

予想外に高い成績を示した理由を説明するもっともらしい解釈ではある。しかし、この仮説を支持する証拠は決定的なものとは言えない。とくに、意識的な心的イメージの経験を評価する際に被験者の内省的な報告(すなわち主観)に依存している点が、この仮説の説得力を弱めている。

🍅2025/1/18|#46

【感想】最近「無意識の心的イメージ」の存在をめぐって、存在を支持する派(*1)とそうでない派(*2)の潮流があるようだ。

*1)B. Nanay、M. MichelとH. Lauら。おそらく最近のJ. Pearson、A. Zemanも?

*2)CO. Scholz、M. Monzel、J. Liu、A. Mckilliamら、おそらくA. Blomkvistも。

  


🍅2025/1/18|#47

【書簡】アファンタジアにおける無意識の心的イメージに対する反論
【原題】Against Unconscious Mental Imagery in Aphantasia
【著者】Christian O. Scholz, Merlin Monzel, Jianghao Liu
【出版】2025-01-16
https://osf.io/preprints/psyarxiv/enwks .

  


🍅2025/1/18|#48

書簡(引用参照)の要約を勝手に意訳する。以下は私の浅い理解による意訳であり原文を誤読してる可能性もあるため内容は保証しません。

Nanay(2021)の見解[2]によれば、心的イメージとは「感覚入力に直接的に引き起こされない脳の初期感覚皮質(V1、V2、V4/V8、MT)における知覚的処理」と定義され、
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🍅2025/1/18|#49

無意識の(すなわち意識上に昇らない)心的イメージとは「心的イメージに関連する知覚処理が、知覚的経験を伴わない場合」とされる。さて、最近の脳活動画像の研究によると、アファンタジアの人がある刺激を心の目でイメージ試行してるとき、

🍅2025/1/18|#50

脳の視覚野の領域にそのイメージ試行と関連する可能性のある脳活動①が観察されたが、その脳活動①はその刺激を実際の目で見たとき(すなわち知覚時)の脳活動②とは異なっている(つまり似ていない)という証拠がある。したがって、このケースにおけるイメージ試行時の脳活動①は、

🍅2025/1/18|#51

最近Zeman(2024)が発表したTiCS(Trends in Cognitive Sciences)のレビュー[1]で論じられたNanay(2021)の見解[2]における「無意識の心的イメージ」の要件(心的イメージとは知覚的処理の一形態であり、そうであるならイメージ試行時と知覚時の脳活動は似ているはず?)を満たしていない。つまり、

🍅2025/1/18|#52

イメージ試行時に脳活動①が観察されたからといって、それが「無意識の心的イメージ」であると考えるのは早計であり、最近Michel(2024)と同僚らによってTiCSに投稿された「アファンタジアの人々は無意識の心的イメージを持っている可能性があるとするNanayの見解[2]は、

🍅2025/1/18|#53

他の見解よりも明らかに優れている」という主張[3]には十分な根拠がない[4]。そこで提案だが、「無意識の心的イメージ」を満たす要件として、現在議論[1,3]されている (1)「アファンタジアの人がイメージ試行したとき視覚野に脳活動が観察される」および、

🍅2025/1/18|#54

(2)「その脳活動は特定の刺激に応じた特定の変化を示す」に加えて、最も厳しい要件である (3)「その脳活動は、知覚時の脳活動と比較して類似性[5](Representational Overlap)と相互の関連性[6](Cross-Decodability:イメージ試行時と知覚時のそれぞれの脳活動において、

🍅2025/1/18|#55

一方の脳活動パターンから他方の脳活動パターンを解読できるかどうか)を満たしている」という基準を加えては如何か。現状、非アファンタジア群において要件(1)(2)(3)は満たされているが、アファンタジア群において要件(1)(2)は満たされているものの[5,7,8,9]、要件(3)は満たされていない[5,8]。なお、

🍅2025/1/18|#56

私たちの考えでは、アファンタジア群における脳活動①は「無意識の心的イメージ」を示すものではなく、大脳皮質において可塑性(状況や経験に応じて脳が再配線されるメカニズム)が反映された可能性があることを指摘する。例えば、

🍅2025/1/18|#57

先天性アファンタジアの人が視覚野を非知覚的な方法で関与させている可能性があり、これはアファンタジアの人が心的イメージとは別の代替戦略[11]を使用している可能性を示唆している。

  


🍅2025/1/18|#58

アファンタジアに「無意識(自覚なし)のイメージ的な何か」は存在するか? (その1)
https://note.com/nyaphantasia/n/na2f7b0bc7c3f

2025年1月10日、著名なアファンタジア研究者であるジョエル・ピアソン教授らによる興味深いアファンタジア論文が出版された。この論文の大まかなハイライト(見どころ)を日本語に意訳した。

  


🍅2025/1/18|#59

アファンタジアに「無意識(自覚なし)のイメージ的な何か」は存在するか? (その2)
https://note.com/nyaphantasia/n/n896bd33fcddd

今回論文を出版したジョエル・ピアソン教授のYouTubeチャンネルで、論文のハイライト(見どころ)を解説する動画が公開された。この動画の音声を日本語に意訳した。

  


🍅2025/1/22|#60

内受容感覚(*1)と島皮質が心的イメージおよびアファンタジアに与える影響 (2025-01-17)
How interoception and the insula shape mental imagery and aphantasia
Juha Silvanto, Yoko Nagai
https://osf.io/preprints/psyarxiv/xv23h

(*1)自律神経の働きによって生じる身体の内部からの情報を感知する感覚のこと。

🍅2025/1/22|#61

この論文は、心的イメージにおける内受容感覚の関与が人々の主観的体験の質感に影響する、ということを論じてる? だとするとそれはより一般の(非アファンタジアの)人々が豊富に経験する話題でもあり、レアケースのアファンタジアを強引に絡めるのは早計では? 自分にとってアファンタジアとは、

🍅2025/1/22|#62

心的イメージがゼロという極限に特徴がある現象のことだが、内受容感覚の関与やそれを担う脳の島皮質/前帯状皮質の働きがそのゼロ現象を説明できるのか? 仮説とはいえ論文タイトルにアファンタジアという言葉を含めるのは勇ましすぎでは? 議論の広がりを意図してということなのか? という夢をみた。 

  


🍅2025/1/22|#63

最近、最も著名なアファンタジア研究者らの連名によって、科学雑誌Cortexにアファンタジアの新しい定義(改定)が掲載された。

アファンタジアの定義(2025年1月)
Definition: Aphantasia
by Adam Zeman, Merlin Monzel, Joel Pearson, Christian O. Scholz, Julia Simner
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0010945224002235?via%3Dihub .

🍅2025/1/22|#64

最近掲載されたアファンタジアの新しい定義(改定)について、個人的に理解した内容を以下にまとめる。なお、新しい定義が掲載された雑誌(有料)を入手するつもりはないため、下記URLの関連記事(無料)を参考にした。
https://aphantasia.com/article/science/aphantasia-definition/ .
🔗引用した投稿を表示する

🍅2025/1/22|#65

1. アファンタジアの定義(広義)
アファンタジアとはイメージが欠如していることを指し、最も一般的には「完全に覚醒している状態」で視野外にあるものを心の中で視覚化できない状態を指す。物事について考えることはできても、それに備わるであろう感覚的な特徴を伴う心的イメージが形成されない。

🍅2025/1/22|#66

(※以降、自分に該当するものは「*」印を付記した)

2. イメージ欠如とみなす条件(二択)
【イメージが完全に無い *】常にどんな時も完全にゼロ
【イメージが非常に弱い】一時的にしかイメージできない場合も含む、例えば瞬間的な閃光のようなイメージ

🍅2025/1/22|#67

3. どの感覚モダリティでイメージが欠如してるか?
【視覚 *】【聴覚 *】【嗅覚 *】【味覚 *】【触覚 *】【運動 *】

🍅2025/1/22|#68

4. アファンタジアの種類(修飾語で区別)
【○○アファンタジア *】○○は感覚モダリティ
【単感覚アファンタジア】1つのみ
【多感覚アファンタジア】2つ以上
【全感覚アファンタジア *】すべて

🍅2025/1/22|#69

5. いつからイメージ欠如か?
【先天性 *】生まれつき、あるいは最古の記憶以降
【後天性】生後のある時期に何らかの理由で、例えば脳へ損傷や精神疾患を要因として

🍅2025/1/22|#70

6. どんな状況でのイメージ欠如か?
【意図的に起こすイメージ *】随意的
【自然発生的に起こるイメージ *】不随意的、例えば物語の読書中に意図せず
【非覚醒時のイメージ】完全に覚醒してないときはアファンタジアとみなす条件から除外、例えば睡眠中の夢、おそらく幻覚体験時や幻覚剤等の摂取時も

🍅2025/1/22|#71

【感想】筆者のZemanら一派に以前から感じることだが、アファンタジア(欠如)の条件をユルくして、なるべく多くの人をアファンタジアに含ませようというスタンス。ハイポファンタジア(ほぼ欠如)という言葉を徹底的に無視しており、Zemanが造語したアファンタジアという言葉のみに固執。

  


🍅2025/1/25|#72

著名な研究者らによって、アファンタジアの新しい定義(改定案)が周知された。
https://note.com/nyaphantasia/n/n2371303b9b3e .

  


🍅2025/1/29|#73

PTSDや不安障害を持つ人へのイメージ曝露(恐怖や不安を引き起こす状況や記憶を心の中に浮かべることで直面させ慣れさせる治療法)は、視覚的な心的イメージがなくても命題的思考(意味的/論理的な思考)だけで可能であり、アファンタジアの人にも効果がある(2025-01-23)
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/psyp.14756 .

🍅2025/1/29|#74

以下は論文の概要(日本語)。
https://x.com/i/grok/share/XL9H1MbY844iquezpB45zcAk8 .

  


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