アファンタジアとは? 心的イメージとは?
1. アファンタジアと心的イメージを自分なりに説明
心的イメージとは、感覚からの入力(刺激)がないにもかかわらず、その感覚を知覚することに似た主観的経験のことを言うらしい。
例えば目の視野内に存在しない対象について、その姿や外見を心の目で「見る」経験を言うそうだ。
なお、単に(心的)イメージと言う場合、視覚的な心的イメージを指すことがある。
心的イメージは人によって異なることが知られており、近年(2015年以降)、覚醒状態において視覚的な心的イメージを全く経験しない、あるいは経験したとしても鮮明性が低いケースをアファンタジアと呼ぶようになった。
その後、視覚性だけに限定されない(例えば聴覚性等を含む)多感覚性のアファンタジアの存在も確認された。
単にアファンタジアと言う場合、視覚性のアファンタジアを指すことがある。
アファンタジアのほとんどは先天性だが、まれに後天性(脳の損傷や心因等)で起こるケースもある。
通常の研究では、覚醒時に起こる閃光的な心的イメージや、睡眠の直前/直後や夢の中で起こる心的イメージは、被験者をアファンタジアとみなさない条件から除外してる。また、精神疾患や薬物摂取のある被験者は除外される。
昨今、心的イメージを全く経験しないケースのみをアファンタジアと呼び、心的イメージは経験するものの一般よりも低い水準(例えば低鮮明)のケースをハイポファンタジアと呼ぶことで、両者を区別することがある。
著名な研究者らを含むほとんどのアファンタジア研究者らは、アファンタジアは病気や障害とは言えず、単に異なる内的経験をしているだけという見解に異を唱えていない。
アファンタジアは主観的な意識体験であるため、その状態の詳細を知る方法は主観的な自己報告に依存している。一部の研究室では、より客観的な測定方法も試みられているが未知数である。
アファンタジアを主観的に測定するツールで有名なものに、鮮明さが連続的に変化する五つのリンゴが並んだミーム画像や、視覚的な心的イメージの鮮明さを質問するアンケート(VVIQ)が知られる。
VVIQは簡単なアンケートなので今すぐ実施可能である。例えば下記の「Aphantasia Network」のページはVVIQ(に準ずる内容)を常時公開している。
https://aphantasia.com/ja/study/視覚イメージの鮮明さに関する質問票/
このページに記載されている16個の質問に回答(1点~5点のうち一つを選択)すればよい。おそらく5~10分もかからない。
すべての質問に回答したら、ページ下部の「送信」を押す前に合計得点を手動でカウントすればよい。合計は16点~80点の範囲に収まる。
ある研究(Dance, 2022)では32点以下をアファンタジアとみなしている。
2. 付録
アファンタジアという用語の命名者であり、アファンタジア研究の第一人者でもあるZemanが、アファンタジアを命名した2015年から10年目にあたる今年の5月に発表した論文がある。
論文:アファンタジアとハイパーファンタジア:イメージの鮮明さの極限を探る(アダム・ ゼマン、2024年5月)
https://cell.com/trends/cognitive-sciences/fulltext/S1364-6613(24)00034-2
原題:Aphantasia and hyperphantasia: exploring imagery vividness extremes
Adam Zeman
論文の内容は、直近の10年間に発表された世界中の研究者によるアファンタジア論文から得られた知見をざっくり俯瞰できる総まとめガイド的な構成になっている。
アファンタジアに関して最新の知見を知りたい場合、まずはこれをオススメする。(最近高性能になったGoogle自動翻訳等でも十分理解できる)