読書記録「現代マクロ金融論」ゲーリー・ディムスキー ロバート・ポーリン
ミンスキーの金融不安定性仮説をゲーリー・ディムスキー教授とロバート・ポーリン教授が編者となり理論的および実証的に論文集である。ミンスキー理論をモデル化しその特徴を明らかにするとともに、実証的に分析することによって、その現実妥当性を検証している。ミンスキー自身、金融不安定性仮説を主張するとき、言葉によって議論を展開し、数式を用いてモデル化することはほとんどなかった。また最近の計量的手法を用いて実証的に分析することも限られていた。本書は、ミンスキー理論の神髄を理解し、また現実的側面から考察するうえでもたいへん重要である。
目次
第一章 金融不安定性の分析
第二章 金融の脆弱性:病因は手近にあるか?
第三章 情報の非対称性、不確実性および金融構造 ―ニューケインジアンとポストケインジアンのミクロ的基礎付け―
第四章 国際金融システムにおけるミンスキー的不安定性
第五章 金融脆弱性と大恐慌:1920年代における信用拡張についての新しい実証
第六章 貯蓄、資金調達および利子率 ―基本的なケインズ命題に関する実証研究―
第七章 金融不安定性の費用と便益 ―大きな政府の資本主義とミンスキーの逆説―
ミンスキー理論の神髄を理解し、とあるがミンスキー理論自体の説明は少ししかないので、金融不安定性仮説について知りたいのなら「MINSKY, H. P.; 岩佐代市. 投資と金融 : 資本主義経済の不安定性」や「金融不安定性の経済学」などを先に読むことを勧める。ある程度理解した上で読むべき構造になっている。
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