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コピーロボットを欲しがっていた私(コーチングを受ける)

40歳を過ぎてから地方公務員から企業へ転職したにゃおです。
今日掲載する文章は、退職1年前(2019年2月頃)に生まれて初めてコーチングを受けた時の話をコラムにしたものです。(某講座への提出用に書き溜めていたものをここで公開します)

コピーロボットを欲しがっていた私

当時、私はコピーロボットを欲しがっていた。

藤子不二雄のアニメ「パーマン」に登場する赤いお鼻ののっぺらぼうのコピーロボット。お鼻のスイッチを押した人そっくりに複製され、記憶も引き継がれるという!

当時、私は地方公務員になり15年目、主任に昇格し3年目だった。
その1年前の春、大混乱があった。
配属されて1年の係から経験者がごっそりいなくなったのだ。
他の団体との折衝も求められ、経験年数2年で半人前、5年でようやく1人前と言われる係なのに、2年生になった私と素人だけだった。
他の団体から「他に話の分かるヒトはいないんですか」と屈辱的でキツいことも言われた。
後先も何も考えず、好き嫌いで異動させたい人を選んだ課長はアフォだし、それを通したもっも上の人も人事も信用できなかった。

メルマガを購読しお人柄に惹かれ、一度会ってみたいと思っていた人のコーチングを申し込んだのは、時間が経ち混乱が落ち着き、新しい体制でそれなりに上手くやっていた時期だ。
ただ、平和なようで心の中にモヤモヤは常にあった。
権利ばかり主張して仕事を人に押し付け先に帰る同僚より、面倒を言わず自分に従順なひと(自分)をコピーロボットで複製して仕事を分散し、早く終わらせたかった。
私だって、職場で過ごす時間は一秒でも短くしたいのだ。
メルマガで初めてコーチングと言う言葉を知った私は、プロのコーチの正規の料金に若干びびりながらも、抜け毛が気になった時に毛生え薬を買うように私の課題はお金をかけてでもきっと解決する価値があると、思い切ったのだ。

コーチングを受ける前にとりあえず自分の現状を洗い出すことにした。
嫌なこと、もうやりたくないことをリストにした。
過去も苦労も美化せず、ありのままを書いて、コーチとの待ち合わせ場所に急いだ。

「コーチング受ける前に今の仕事で嫌なことを書きだしたら6個あったけど、今もう一回考えると本当は6個じゃすまないんです! もっとたくさんあります。どれだけ嫌嫌働くんだと思いますよね? でも、異動したいか? と聞かれるとそうでもないし、やりたくない仕事だからと言って、異動が決まったら颯爽と去っていけるわけでもないです」と、まるであまのじゃくな男に追い縋るような矛盾した話をし始めてしまったのだ。

私の出だしからとんでもない話を、コーチは、静かにうなずき、いくつか質問を投げかけつつ、整理しながら聞いてくれた。
あまり口数の多い方ではなかったが、そこには、何を言っても否定されない安心できる空気があった。

ひととおり話し尽くしたと思った時、コーチは聞いた。

「こうなりたいとイメージした人は、最初から輝いていたのでしょうか」

「困った時に助けてくれる人やこの人のように振る舞えば上手く行くと思えるお手本になる人は周りにいますか?」と。


すぐには分からなかった。
コーチングを終えて、ひとり電車に乗ってさっきのコーチングを振り返ったとき、私が心の中に鍵を掛けて閉まっていた箱の鍵があいた。

ひとりで頑張りたくない私に必要なものは、コピーロボットじゃない!

私には冷めたところがあって、どうにもならないと思うことを「~だったらしかたないよね」と物事に向き合おうとせず、自分だけで片付けようとしていた。
周りに対し違和感を感じていても「勝手に私のことをこう思っているなら思わせておけばいい」と諦めて、諦めを冷めたキャラで隠していた。
私は広く発信したり、誤解を解消しようと働きかけていないことに気づかされた。
与えられた仕事や役割が嫌すぎて周りに対して心を閉ざす一方で、周りから理解してもらえないと足掻いている、仮想の世界にしかないコピーロボットを欲しがっている! 振り返るとなんと矛盾だらけだと思う。
働く時間とは苦しいだけの時間で、給料は我慢料なんだと割り切っていた。
割り切って現状を受け入れようと箱にしまい込んだけど、隠し続けることに無理があったのだ。

コーチは、私の頑丈なカギをたった1時間のセッションで壊してくれた。


気がついたら、どうすれば前に進めるかが見えてきた。
少しずつ前に進めて、時には半歩戻っている内に居心地の悪かった場所が少し居心地の良い場所に変わり、権利ばかり主張して! と思ってた人の個性や事情もそれはそれとして受け入れ、得意なことを任せられるようになった。
そのあと、私は40歳を過ぎての転職という挑戦をした。
給料=我慢料と割り切ることを強いる環境から離れたのだ。


あの時のコーチングがいかに凄いものだったか、コーチングを勉強し、認定コーチとなった今なら分かる。

この間「あなたが提供したい最高のコーチングはどんなコーチングですか」と聞かれた時、口について出たのは、「お話している間に分からなくても良い、後で振り返った時、自分の気持ちの奥にあったものが分かって、コーチが聞いてたことってこれなのかな? と気づいてもらえるようなコーチングが出来てたら最高だと思う」と答えていた。

そう! まさに、私がコピーロボットへの願望を手放したあのコーチングが理想だ。質問の数ではない、心にすっと入る投げかけがあるかどうか。
これまで40回のセッションを提供したけど、まだこんなにすごいコーチングを提供出来ているとは思えない。

それでも、コーチングに興味を持った人に呼びかけたい。
もしかすると、このコーチングが何かを変えるきっかけになるかもしれませんよ、と。
「なにか」を一緒に考えてみませんか? と。


振り返って

当時感じていた違和感は、「限られた人ばかりめっちゃ仕事やらされているなあ」という後ろ向きなものでした。また当時の仕事の内容も、古い古い法律が根拠となっていることがあり、正直現在の社会状況や価値観に合っているとも言い難く、ジレンマを感じていました。
もし、私に権限があったら、こんな古い法律変えちゃいたい。
と言っても、公務員の仕事は国や自治体が法律に基づいてなされるものです。
ジレンマを感じながら、苦情や相談があれば法律に基づいて説明をしなければならない。前へ立たされて、この宙ぶらりんの立場を味わうたびに苦しかった。

そんな時に、コーチングを受けました。
この時のコーチングが、私の中にあった「~しなければならない」「~すべき」という殻を少し破ってくれました。
具体的には、苦手なことを手放して、それを得意とする人に任せることを進めることが出来ました。当時の状況はまだ恵まれていて、私の苦手な細かな事務処理を得意とする人が周りにいて、助けを求めることが出来たのです。
ジョブローテーションをしてみて、お互いが休んでも係の仕事が回るようになり、困った時に一人で抱え込まずに済んで本当に良かったです。

今、同じようなことで苦しんでいたり、困っている人に届け!!
と、思いながら、この文章をアップします。

「いやいや、私の係、縦割りでそんな助け合える人いないよ」
係の誰か1人が困っているのに放置という状態は、全体のためになりません。
ひとりで、抱え込んでいませんか?
他の人は帰っているのに、ひとりで、残業していませんか?
この状況は個人の資質の高低の問題ではなく、上司であったり、課長(所属長)のマネジメントの問題かと思います。
苦しい時は苦しいと打ち明けられますように。

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