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【コパ・デル・レイ】マジョルカが昇格組のエスパニョールを下す!【4回戦 マジョルカ対エスパニョール】
いつも記事を読んでいただいたり、スキやフォローをいただいたり、本当にありがとうございます。
今回はコパ・デル・レイ4回戦のマジョルカ対エスパニョール戦を観戦しましたので、レビューしていきたいと思います。
因みにスタメンとハイライト動画はこちら。
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実際の配置は、試合を見た限りでは上記の表の通りだったと思われます。
それでは早速レビューしていきたいと思います。
・サイド攻撃が円滑になったマジョルカ
前回のレビュー時にはパスが2本繋がっただけでノッキングを起こしていたマジョルカですが、今回はその反省を踏まえてか、特に左サイドが非常に活性化していました。
前回のレビューを読んでいただいた上で試合を観るとよく分かるのですが、拙いとは言えノッキングすることもなくクロスまではいける状態になっています。
何故なら前回と違い、セントラルMFのセビージャが最終ラインに下がってボールを捌くことでSBを押し上げ、かつエスパニョールの2トップや中盤のプレスを受けることなくボールを展開することが出来ていたからです。
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上図のようにエスパニョールはシステム上、丸で囲んだ所にスペースがあり、そこで数的有利を作られるとその後の展開が不利になる傾向があります。
そこを中盤のセビージャが最終ラインに下がって擬似的に3バックを敷くことで、効果的にそこのスペースから展開することが出来たのです。
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この動きを前半から行うことで、エスパニョールは両サイドを下げざるを得なくなり、特に右サイドはマジョルカの主力、ダニ・ロドリゲスが居たこともあり連携から何度も破られてしまっていました。
ただこれは問題でもあり、確かにサイドにダニ・ロドリゲスが入るとサイドは活性化するのですが、トップ下に適任者が誰も居ない…という状態になってしまいます。
久保も出来るのは出来るのですが、やはり右サイドのハーフスペースをより好んで使う傾向があるので、トップ下を空けてしまう傾向があります。
マジョルカとしてはFW獲得を目指しているそうですが、中盤でセビージャと同様のクオリティを持つ選手の獲得が出来れば、可変システムもより円滑に動きますし、そこから決定力不足も解消できるのではないか、と個人的には感じています。
実際の試合を見ていると、FWに届けられるのはゴールの確率の低い、精度的にも低いクロスが多い傾向があります。
余裕を持って抉ったり、高精度のクロスを入れる為にはポゼッション強化は不可欠であると考えます。
久保やイ・ガンインといったアジア人選手も受け入れる下地があるだけに、Jリーグ市場にも目を向けて欲しいな、と個人的には感じています。
・エスパニョールの戦術兵器・R.D.T、恐るべし!
上に書いた通り、ボールこそある程度保持できていたマジョルカですが、確率の低いクロスは簡単に跳ね返されてしまい、何度もカウンターを喰らっていました。
その中でも異彩を放っていたのがR.D.T、ラウル・デ・トマスでした。
2部で20得点以上を挙げて満を持してプリメーラ挑戦、現時点でリーグ戦10得点を挙げてスペイン代表にも召集されるような実力者です。
エスパニョールは共通理解としてR.D.Tに早めにパスをつけること、というのがあり、何度もカウンターの起点になりつつシューターとしても機能しており、エスパニョールはリーグで上位につけるわけではありませんが、油断すれば大量失点してしまうような、危険な切れ味を持ったカウンターを何度も繰り出していました。
ポゼッション時も難しいことはせず、FWとサイドハーフ、セントラルMF、SBで四角形を作り、そこでパスを繋いでR.D.Tに勝負させる、という形が出来上がっていました。
ノッキングすればCBまで慌てずに戻し、そこからまた四角形を形成して繋ぐ、という、とてもシンプルですが洗練されたチームになっていました。
・チームの熟練度としてはエスパニョールが上回るも、勝ったのは…
ここまで書いた通り、戦術的にもエスパニョールが上回っているところは多々ありましたが、勝利を収めたのはマジョルカでした。
久保が直接FKを実力者、ディエゴ・ロペス相手に沈めてみせ、後半にはCKからアブドンが頭で追加点を取り、セットプレーを活かしてみせたマジョルカに軍配が上がりました。
正直、チームの成熟度やR.D.Tという実力者が更にどこまで行くのか、という意味ではエスパニョールに勝って欲しかった、という気持ちが全くなかった訳ではありませんでした。
ただ、日本人である久保建英が更にコパ・デル・レイでの冒険が続けられる、というのは悪いことではありません。
ここから更にどうチームが成長するのか、移籍市場でどう振る舞うのか、その結果がチームにどう反映するのか、これから楽しみでならなくなってしまいました🤭