【J2リーグ】勇気を持って【第14節 ロアッソ熊本対ヴァンフォーレ甲府】
こんばんは、今日もロアッソ熊本の試合レビューを少しだけ書いていきたいと思います。
今回は雨の中での試合ということもあり、ロングボールが行き交う展開になるのかなぁ…と思っていたら、我らが熊本はそんなことなくいつも通りの展開でした。
そんな今回の試合のスタメン、システム、得点者は以下の通り。
得点者
34分 石川大地(熊本)
86分 石川大地(熊本)
いつもと違う?同じ?
今回の対戦カード、DAZN発表によるとこの試合前時点で何と熊本の1勝4分9敗とのこと。
圧倒的に甲府が熊本を得意としているというデータが出ていました。
試合前からの雨もあり、流石に今回は少し変えてくるのかな、と思いきや、スタメンは前節と全く同じ。
戦い方はロングボールを織り交ぜて来るのかな、と思えば水溜まり等も気にせずいつも通りショートパス主体の攻撃。
変わったと言えば、守備では復活したハイプレスを温存し、5-4-1でゾーンで対応したことでしょうか。
個人的には雨でボールが足につかないところをかっさらう、という意味ではハイプレスを仕掛けて欲しい、と思っていただけに残念というか攻撃的な采配を振るうことが多い大木監督にしては意外だなと感じました。
試合が進むにつれ、可変が間に合わず個々で対応する場面も見られましたが、概ね対応出来ていたのではないでしょうか。
あと強いて言えば、右サイドの島村が中央に絞ってくる動きが多かったことです。
これは左CBの大西が運ぶドリブル多用→左サイドの数的優位をより顕著にする狙いがあったのかな、と同時に左サイドで作って右サイドや中央で刺す為に敢えて絞ってきたのかなというのが見えました。
島村は逆足ウイングということもありカットインする動きが多いことから、真ん中辺りまで出てきてボールに関与することは悪くないアイデアだな、と感じました。
イメージとしては香川真司を左サイドで起用していた頃の日本代表のイメージ、でしょうか。
右サイドは藤田一途が元々バランスを取ってポジショニングしていたり、ポゼッションが詰まると右CBの黒木がオーバーラップしてきたりもするので、左一辺倒にはならないのではないか、と感じました。
攻→守のネガトラ時には不利になるかな?と思いきや、藤田がSB、黒木がサイドハーフを見る形でケアしていたので、思ったより破綻せず攻守のリスク管理が出来ていました。
大まかに見るといつも通りの熊本だったのですが、細かいところではマイナーチェンジが施されていました。
それが効いたのが先制点、前半34分の場面。
藤田がボールを持ってサイドを前進するとインナーラップしてきた島村へパス。
そこから中央へボールを送ると、PA中央は混戦状態に。
そこで抜け目なく狙っていた石川が右足を強振、ゴール真ん中を射貫く得点が生まれました。
甲府もなす術なくやられていた訳ではなく、ミドルプレスで対抗していました。
ピーターウタカが39歳で攻守にフル稼働、という訳にはいかず、パスコースを限定する程度のプレスにとどまってしまう、という部分もあったのでしょう。
セット時の守備は4-2-3-1で、ハイプレスはせず守備的プレスにとどめ、代わりにサイドにパスが入ったらSBとサイドハーフ、トップ下にボールが入ったらCBとセントラルMFで挟んでプレス、という形でボールを絡め取っていく狙いがありました。
ボール奪取からカウンターに出ようとする甲府ですが、熊本のカウンタープレスにあってしまい、サイドの深いところまで前進することは出来ていませんでした。
カウンタープレスで奪取→攻撃を続けられたこともあって、前半の時点でボール保持率59%を記録しています。
甲府はシンプルなサイド攻撃や左右に流れたウタカにロングボール→2ndを狙う形だったことでボール保持率が上がらなかったこともあるかとは思いますが、それでも熊本が圧倒的にボールを支配したことが見てとれる前半となりました。
勇気を持って
後半になると甲府が修正をかけてきます。
まずハーフタイムにDF蓮川とMF長谷川を投入して選手を代えてきました。
それと同時に、雨が後半から少し弱まったこともあってか最終ラインからビルドアップして前進しようとする形が見られるようになりました。
ここで熊本がハイプレスを掛けたら更に畳み掛けるような展開になるな、と少し期待しましたが、連動したハイプレスは見られず。
58分にはSBの関口とセントラルMFの佐藤を投入したことでチームがリフレッシュした甲府は、ミドルプレスでショートパスを引っ掛けて熊本が可変してしまう前にサイドハーフの裏のスペースにボールを送り込む、という形で前進し始めます。
元々ウタカがサイドに流れるのを厭わないこともあってか、ロングボールを当ててサイドハーフが2ndを拾う、という形も出てきました。
甲府が勇気を持って前進し始めたことで、熊本が怯むかと思いきやカウンタープレスで再度応戦していきます。
深いところでボールを奪うと、リードしていることもある熊本はロングボールも織り交ぜていくようになります。
主に右CBの黒木からCFの石川に向けたロングボールですが、これで甲府はまた下がらざるを得なくなります。
何故なら甲府はカウンターだけでなく攻撃に出るとなるとSBも果敢にオーバーラップしてきます。
ここの裏のスペースを埋めきる(=SBが戻る)前に黒木から石川に向けたロングボールが飛んで来るので、どうしても重心が後ろに重くなってしまいます。
甲府が果敢に攻め始めてきたのに応え、熊本もまた勇気を持って場面をひっくり返すロングボールを入れていきます。
そして熊本もまた手を打ってきます。
59分にFWの粟飯原とサイドハーフの大本を投入し、左サイドで作って右で刺す、という形が顕著になっていきます。
77分にはサイドハーフに田辺を投入して更にパスでの前進を強めようとしたところ、アクシデントが起きます。
遅延行為でイエローカードを貰っていた粟飯原がアフターで相手にチャージしてしまい、イエローカード2枚で退場処分となってしまいました。
これで10人となった熊本は、引いてリードを守るかと思いきや果敢にカウンタープレスで前へ出てきます。
これで面食らった甲府は86分に追加点を入れられて、万事休す。
勇気を持って前進し、戦う姿勢を示し続けていた甲府でしたが、カウンタープレスにやられて沈む形となりました。
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