【ラ・リーガ】噛み合い始めたチーム【第23節 マジョルカ対カディス】
この記事ではラ・リーガ 第23節 マジョルカ対カディスの試合レビューを書いていきたいと思います。
スタメンとハイライトはこちら。
・マジョルカの新たな武器
この試合は残留争いをする17位のマジョルカと18位のカディスが対戦する、いわゆる『裏天王山』といわれる試合でした。
しかも勝ち点でも2しか離れていなかったことから、6ポイントマッチとも言われ、リーグ終盤の趨勢を占う試合となりました。
試合が始まると、いきなりカディスが先制点を挙げます。
右サイドで混戦から抜け出したセントラルMFのアルカラスが、左足で巻いたシュートをマジョルカゴールに叩き込み、ゴラッソで先制点を挙げました。
その後もカディスは、低い位置からアレックスがサリーダで最終ラインに下りてきてボールを引き出し、アルカラスが捌く、という形でチームを前進させようとします。
基本的には丁寧に繋ぐマインドを見せるものの、元スペイン代表のネグレドが空いていれば早めにボールをつける、といった形でマジョルカゴールへ更に迫ろうとします。
対するマジョルカは出足の早いゲーゲンプレッシングでパスワークを阻害しようと打って出てきます。
前の記事でも書きましたが、マジョルカのルイス・ガルシア監督は短い間でチームにゲーゲンプレッシングを仕込んでくる等、元々は堅守速攻を好む様子。
カディスはマジョルカの新たな武器によって前進どころか後退を余儀なくされます。
・標的はムリキ
ゲーゲンプレッシングで即時奪回を図るマジョルカは、カディスが面食らったこともあり何度もボールを回収していきます。
ボールを回収→攻撃に転じるとマジョルカはポゼッション回復を優先し、縦に早く人とボールを送り込むことはしません。
その代わり、SBの攻め上がりが来るとサイドハーフの久保とダニ・ロドリゲスはカディスのCBとSBの間にポジショニングしてマークをぼかし、SBへのスルーパスやカットインからのシュートを狙っていきます。
図では久保を軸に書いていますが、逆サイドのダニ・ロドリゲスも同様な動きをしてSBのオリバンの攻め上がりを引き出していました。
主にSBは中央へのクロスを狙っていきます。
今までは中央に明確なターゲットがおらず、ボールを入れても跳ね返されることが多かったのですが、今は明確なターゲットとしてムリキがいます。
地上戦でも長い手足で確実なポストプレイ、空中戦では長身で何度も競り合いに勝ってくれるので左右のSB、マフェオとオリバンは何度もムリキを標的とした鋭いクロスを供給していきます。
このトライが実り、マジョルカはペナルティエリア左でファウルを受けてPKを勝ち取り同点弾をねじ込みます。
・噛み合い始めたマジョルカ
同点弾をねじ込んだマジョルカは、その後も攻勢をかけ続けます。
特にPKで得点を決めたセビージャは気をよくしたのか、積極的に攻守で存在感を示していきます。
ビルドアップ時にはサリーダでCBとSBの間に下りてきては何度もガラレタやSBへとボールを繋いでいきました。
それにつられ、ガラレタもボールをテンポよく左右に散らしていきます。
守りに回ってもゲーゲンプレッシングがよく機能しており、守→攻への切り替え時にはムリキが空いていたら早めにつけてレイオフ→久保やダニ・ロドリゲスへ展開していく、という形が機能し始めました。
攻撃はターゲットのムリキ、守備ではゲーゲンプレッシングというふたつの武器を手に入れたマジョルカがカディスを相手に押し込んでいくのはある意味、必然でした。
66分には再びPK獲得→今度はムリキが冷静にPKを決め、遂にマジョルカが2-1と逆転に成功します。カディスも逆転後はシステムを3-4-2-1に変更し、攻勢に出ます。
特に2シャドーがよく機能しており、4-4-2のゾーンで守るマジョルカは2シャドーを捕まえきれず何度もピンチを迎えますが、ブロックを作って守りきりました。
かくして残留争いにおける裏天王山は、マジョルカの勝利で幕を下ろしました。
・おわりに
マジョルカはムリキという、今まで待ち望んだターゲット役をこなせるFWを遂に手に入れることが出来ました。
それと同時に並行で仕込んでいたゲーゲンプレッシングも機能、なおかつその中にテクニカルな選手である久保やダニ・ロドリゲスを違和感なく取り込むことが出来た、というのは収穫だったと思われます。
ここにイ・ガンインも前回の試合では取り込むことは出来ていましたし、久保、ダニ・ロドリゲス、イ・ガンインの3人揃い踏み、FWにムリキを入れて往年のドルトムントを再現する、ということも考えられます。
既にラ・リーガは3分の2を過ぎようとしていますが、ここからマジョルカがふたつの武器を持って快進撃というのも考えられなくはないだけに、次回も期待してみていきたいと思います✨