GRAPEVINEを続けてくれてありがとう。
GRAPEVINE
in a lifetime presents
another sky
@中野サンプラザホール
2023.02.23
昨年のギターボーカル田中和将のフライデーお騒がせ事件により活動休止を余儀なくされていたGRAPEVINE。アルバム“another sky”の再現ライブである『in a lifetime presents
another sky』のツアーは新潟と大阪公演を残し中止となっていた。
どうなることかと不安に思っていたファンをよそに数ヶ月後、いたって普通のライブ告知のようにサラッとツアー再開の告知をしてきたGRAPEVINE。まぁそーゆうところもバインらしいけどね…。
中止になっていた新潟、大阪はもちろん、東京中野サンプラザの公演も追加され、復活を待つのは長かったけど自粛期間は思ったよりも短かったような気がした。
ともあれ復活ライブ一発目は今年で取り壊される予定の中野サンプラザホール。中野サンプラザも今回で本格的に見納めかな。
どんな感じになるのか、見たいような見たくないような。怖いもの見たさのような感覚。不安と楽しみ、ドキドキワクワクみたいな色んな感情を抱え、私は中野へ足を運ぶこととなった。
★第一部
メンバーが登場。最後尾にLifetimeボードを掲げた田中和将。
メンバーが登場するなり観客は総立ち。まだ声出しは極力禁止みたいな雰囲気だったので皆んな力一杯の拍手でバンドメンバーを出迎える。
定位置に着いてギターを抱えたまま90°くらいほぼ直角に深々と頭を下げお辞儀をし、顔を上げてからも口を開かずにすぐに演奏し始める田中和将。
何も言わなかったな…ドキドキ。
どうなることやら。
一曲目が始まる。
あれ?静かな始まり…ん?これは…(アルバムの)一曲目じゃないじゃん!
「もしかしてシャッフル?」
この時はまだどうゆう風に演奏していくのか分からなかったけど、今回はアルバム“another sky”をシャッフルして(というかアルバムのケツから順に)演奏していたのだ!!
「今回は趣向を凝らしてみた」と後ほどMCで言っていた田中氏。うむ。
そもそも本来ならば、去年中にツアーが終わり、『in a lifetime presents another sky』というタイトルの人見記念講堂のライブ映像作品を年末に出してGRAPEVINE 25周年がめでたく綺麗に終わる予定だったのだろうがライブ映像作品発売後にもまさかの同じツアーの続きをすることになってしまったので、おそらくアルバム再現とはいえ映像作品も世に出てしまった今や、昨年と同じじゃ面白みがないと思ったのだと思う。映像観ちゃってる人の方がほとんどだと思うしね。
しかしこの逆バージョンが当たりで予想外だったのとなんだか今の状況にこの曲順はピッタリだった気がしてかなり沁みた。
『ふたり』の〈君は意外となにも言わずともしっかり前を見てる〉とか『アナザーワールド』の〈見ていたよ 知っていたよ 泣いていたのは〉ってあんたの奥さんだよ!とか思ったし笑ほんとバカな奴だよ!!と思いつつも、こうやって演奏して歌ってくれていることに胸が熱くなった。そしてアニキ(ギター西川)が泣きのフレーズを入れてくるから何度も涙が出そうになった。
メンバー皆んなちょっと最初は緊張気味なのかライブ久しぶりでぎこちない?多少の張り詰めた空気感。観ているお客さんたちも浸っているのか様子見してるのか、しばらくは棒立ちだったのが印象的。
『Sundown and hightide』は大好きなんだけど〈体のグラデーションを眼に焼きつけた〉の歌詞で変な邪念が頭をよぎり勝手に複雑な心境になってしまった…。もうそんなんばっかりよ今回は。そんなこと考えてる自分が嫌になる…。
田中氏はこの辺?で腕まくりしてとても何か言いたげ。でも何も言わない。でも微笑んでるように見えたので少し安心した。
照明がずーっとカラフルで可愛くて、と・に・か・く綺麗!!最後まで綺麗だった。照明さんありがとう(•ᵕᴗᵕ•)素敵でしたよ。お疲れさまです。
「よっしゃ」と田中和将が小さい声で一言漏らし右手を高く上げたのは『Let me in〜おれがおれが〜』の直前だったと思う。ベースとドラムの音が前に出てきて凄いカッコ良かった。きっとバンドもお客さんもこの辺りから少し力が抜けて楽しめてきたんじゃないかな?
そこからノリノリで『Tinydogs』に雪崩れ込む。『Colors』の最後のほう音ズラして弾いてるような音、頭おかしくなりそうで良かったな。
『マダカレー…』の「オンベースかねやん!!」があって一安心。こーゆうのすらなくなっちゃったらどうしようかと思ってた。『BLUE BACK』盛り上がったぁ〜!あと『ドリフト160(改)』の宇宙観。勲氏最強。宇宙人いるよね?かねやんのコーラス好きです。この流れいい!!
『マリー…』はアルバムでは一曲目だということを忘れてしまうくらい最後にピッタリな曲だった。いつもながらアニキのギター惚れるわ。サビが壮大で音の広がりが気持ちいい。第一部とっても素晴らしいエンディングでした。
★第二部
田中和将ここでようやく開口。
「昨年は私の一身上の都合でご迷惑おかけしてすみませんでした。」と言うような謝罪を。「愛する妻と子供たち、最愛のGRAPEVINE」というような言葉も。この場にいたほぼほぼの人たちが「私たちにとっても最愛のGRAPEVINEなんだよ!」と思ったのでは?という瞬間だった。観ている全ての人たちが胸を撫で下ろしたと思う。もちろん本人も。
やってくれたら楽しいだろうなと思ってて一人家でクラップの練習してた曲😆が今回第二部の一曲目!!それは『Big tree song』!!まさかの演った!手拍子うまくいった笑
〈かなしみはこうやって 鳴らした手で飛んでった〉どうか!かなしみが飛んでいきますようにと願う。
『Gifted』カッコ良過ぎてフリーズ。この曲は日々更新してる。大好き!そこからの『ねずみ浄土』もカッコ良すぎ!亀ドラムが本当に最高。心の中で唸る。コーラス多くてヤバイ曲よサイケデリック。
『Suffer the Child 』多分聴いたの初。〈踊る阿呆に見る阿呆 転んだ方に罪が問われる いやそりゃけっこう〉と歌い『フラニーと同意』も初だと思う。この曲はバインにしてはアップテンポでイケイケなロックナンバー。
『Alight』の時、隣の人ずっと腕組んでるのが気になり出す。盛り上がる曲で微動だにしない人を見るとちょっとギョッとしちゃうけどまぁ見方は人それぞれだからね。『Alight』の次に『Our Song』選ぶってなかなか無さそう…だけどやった!冬っぽい寒色の照明。雪の結晶をイメージしてるかのような照明だった。この曲で奥さんへの愛、家族への愛を表していたのかなぁなんて。本当にいい曲だよ。付き合いが長くなると当たり前じゃないことがいつの間にか当たり前みたくなっちゃうんだよな。これからはもっともっと家族を大切にして欲しい!と願う。
★アンコール
開き直りかと思えるような笑える選曲。
『MISOGI』に『EVIL EYE』ときた。
「ミソギセッポウ…ポゥポゥポゥ…」全くもってふざけてる😂
『EVIL EYE』〈危機があるから 俺は産まれるぜ〉「確かめるぜーイェイェイェイ!」でメガネみたいなホルスの目みたいな形を手で作り、めいいっぱい上に掲げる。あ〜楽しかった。ハジけたな。
終わりかと思いきや、ギターチェンジしてる。まだやってくれる?
「もう一曲やらせてください。」とアコギを抱えた田中和将。しばらく一人で演奏し始める。
弾き始めたのは『作家の顛末』。
これは完全に初。まぁもちろん私のこと、その場でタイトルは思い出せなかったけど…。
懺悔的な意味合いがあったのかな?
途中からメンバー皆んなの音が重なり、その音と一緒に悲痛な叫びのような田中和将の声。私には戒めのような曲に感じた。休止している期間にきっとたくさん考えていたんだと思う。今後はたぶん聴けない曲だと感じた。この時だからやることに意味があったんだと。そう解釈した。
最後にこれを持ってくるとは…泣ける。これが一番グッときた。観客は皆んなこの曲をじっくり噛み締めるように聴いていた気がする。割れんばかりの拍手に見送られGRAPEVINEはステージを後にした。
このGRAPEVINEというバンドは田中和将以外は、ほぼ喋らない。リーダー(かつてのベース西原誠)がいた頃はもう少し喋ってたって聞くけど、少なくとも私がバインのライブに行くようになってからは、メンバーの声を聞けたことはほぼほぼない。だからメンバーの本当の胸の内は分からない。だけどメンバー皆んなが田中和将の話に耳を傾け、観客と共に拍手を送り笑顔を送り見守っているのだ。田中和将を支えているのは何よりもメンバーたちなのだ。それを確認できたのが本当に良かった。
そう考えるとこのメンバーで良かったって思うし、周りの人たちに本当に恵まれてるんだなって思う。取り囲む全ての方たちに「ありがとう」と言いたい気持ちになった。
存続してくれて本当にありがとう。
GRAPEVINEを続けてくれてありがとう。
去年の一件でGRAPEVINEの曲に対して新たな感情が自分自身に加わってしまってより深く沁みるようになったというか田中和将を少しは理解出来てきた気がして。いい意味でも悪い意味でもあるが…。
好きで曲聴いてるのに不本意でバンド自体がなくなってしまうのはとても悲しいことだと思う。本当に続けてくれて良かった。今後二度とこんなことが起きないように心から願います。
私にとっても最愛のGRAPEVINEですから。
in a lifetime presents
another sky
中野サンプラザホール
☆セットリスト☆
【第一部】
アルバム『another sky』
ケツからバージョン↑
【第二部】
Big tree songs
目覚ましはいつも鳴りやまない
Gifted
ねずみ浄土
Suffer the Child
フラニーと同意
Alight
Our Song
【アンコール】
MISOGI
EVIL EYE
作家の顛末
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