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スクエニの新作発表会に当選して会場に向かう私に起こった災難



もう10年以上も前のお話。


ファミ通に付いていた応募券で応募した


見事に当選した。


当たると思っていなかったわけではなく、全員参加できると思って応募したのだ。


勿論、友人に応募させるわけにもいかないのでぼっちでの参加だ。


待ちに待ったスクエニ新作発表会当日


妹に最寄り駅まで車で送ってもらい、在来線→新幹線→東京→在来線→桜木町駅→会場のパシフィコ横浜30分前到着の予定だった。


が、夜勤明けでへとへとだった私は出発までの2時間を仮眠に使った。


夜勤でへとへとで仮眠までって聞いたら大体予想が付くと思う。


そう。


その通りにしっかり爆睡をかまして妹が「行かないの~?」と起こしに来た時には仮眠開始から4時間経過してしまっていた。


行かない選択も脳裏をよぎったが、新幹線が発着している駅まで送って行ってもらえれば間に合うかもしれない、そう思った。


パトカーがいたら確実に捕まっていたかもしれないレベルで妹氏の車爆走


混んでいる国道に出ると片側3車線を車の間間を縫うようにしてぎゅんぎゅんと追い越して行った。


新幹線のチケットは購入済みなので、ヒールだけど猛ダッシュで走る。


エスカレーターを駆け上がる、新幹線のボディが見えてきた。


新幹線の発車ベルが鳴っている。


扉が、とびらがああああああああああ!!!。


目の前で扉がプシュッという音を立てて閉まってしまった。


今の私なら扉に張り付いてでも開けて貰っていたかもしれないが、うら若き乙女だった当時はそんなこっ恥ずかしい事は天に誓ってできなかった。


ま、まあそんなこともあろうかとプランBを用意してあるのだ


乗り逃した新幹線は余裕で会場に入るための時間設定だった各駅停車、45分後に来る新幹線は小さい駅には停車しない。


次ので東京に着いたら、在来線→桜木町駅では降りずに横浜駅降車→タクシー飛ばしてもらって→ギリ会場入り。


完璧。


横浜駅到着してよし行ける!って思ったし、きっとみんなもそう思っていたと思うだって開場まで20分


横浜駅を出ると准看護士にも人権が欲しい的な署名活動をしている集団がいた。


今後の医療の為にちろっと書いてあげますか。


タクシー乗場に到着。


すると、タクシー会社の制服を着たベテランぽい男性が扉を開けて「どうぞ」と営業スマイルを振りまいていた。


運転席を見ると女性が座っており、何だろう?と疑問に思ったものの急いでいることも告げずに誘導されるままにそのタクシーに乗り込んだ。


「パシフィコ横浜までお願いします」と伝えるとパシフィコ横浜という名前をそもそも知らないらしく、当選した事を知らせる為に送られてきたハガキに書いてある地図を見せた。


運転手さんが分からないでいると、横を通り過ぎるパシフィコ横浜と電光掲示板を貼り付けたバス。


「あ、これの後ろを付いていけば大丈夫そうですね」


だいじょうぶじゃなああああああい!!!


タクシーのトランシーバがノイズ音を出す。


運転手さんがスイッチを入れたのだ。


「これから、初めてのお客様を乗せての初運転に出発します」


ザザ。


「了解!いってらっしゃい!」


おいいいいいいいいいいいいいいい!!!


きっと大丈夫、だってパシフィコ横浜すぐそこ


横浜駅を出て他のタクシーが橋を渡らずに真っ直ぐ行ってしまう中、私が乗っているタクシーはパシフィコ横浜行きのバスのけつに張り付いていた。


橋の上。


中々進まない。


信号があったとしてもこんなに進まないものだろうか?そういえば、反対側車線は車が一台も通っていない。


そのうち、消防車が通り過ぎていった。


何の音だろうと見上げると、読売新聞と書かれたヘリコプター。


カメラマンが重そうなカメラを担いで下方向を撮っているようだった。


徐々に進んで行くと、反対側の車線にある新聞配達所から盛大に煙と炎が出ているじゃないか。


何で橋の上にあるんだ?


とうことは、これは火事のせいで起きている渋滞。


それでも私は諦めなかった


楽しみにしていた新作発表会。


憧れのゲームプロデューサーやゲーム作曲者、シナリオライター。


パシフィコ横浜のタクシー止めには開場から50分後に到着した。


運賃を見ると結構いいお値段だった。


本来ならばもっと安いはずなのでと運転手が安くしてくれたが、多めに渡した。


会場の入り口スタッフがいる場所に行きハガキを見せると来場者特典を渡された。


そのまま引き止められて、耳に付けたイヤホンで何やら話しているスタッフ「はい!第一部終了しました!」


とりあえず事情を説明して第二部に入れてもらおうと思ったが、火事があったことすらも信じてもらえなかった。


会場から出てきた一般男性が、どうされたんですか?と声をかけてくれた。


そのかたもスタッフに掛け合ってくれたが、フリースペースで新作ゲームを体験できるのでそちらでどうぞと言われて私は男性に促されてフリースペースへついていった。


私は新作ゲームの体験をしに来たわけじゃない。


一般男性とのその後


その男性は、同じ京浜急行に乗っていたらしく、桜木町駅で降りて走って開場に間に合ったそう。


私はオシャレしてヒールを履いてたし、桜木町駅で降りて走る選択肢がなかったわけではないがプランBで間に合っていたはずだった。


その男性から年賀状くらいはやり取りしようと住所を交換した。


が、年賀状が届くことはなかった。


今思うこと


あの当時は、新作発表会の土産話を友人に自慢げに話したかったという欲望もあり、めちゃくちゃ必死だったと思う。


じゃあ桜木町駅で降りて走れば良かったよね。


今更。


でも、新作発表会に参加するよりも私は中々経験できないことを経験したと思っている。


タクシーの新人運転手のしかも初の客で、女性の運転手さんに当たるとか中々ないと思う。


新作ゲームの体験会場も雑誌の記事だとキラキラしてたけど、実際はこじんまりしていることもわかった。


融通が利かないあのスタッフ達は今頃どうしているだろうか。


あれから10年以上が過ぎ、私はヒールをいつの間にか履かなくなっている。


貫禄がついた今ならあの会場に入れてもらえただろうかと考える時もあるが、今ならめんどくさいからそもそも行かないのだ。


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