「女至上主義」
「この度、私は女至上主義を提案したいと思います。」
2022年。男女差別の廃止やLGBTQなどと謳われてるこの時代に、そんなことを掲げた女がいた。
ミナコ 24歳。黒髪ロングに重ための前髪パッツン。そして、姫カット。化粧も今どきであり、服装はピンクのロリータ服。いわゆるTHE"女の子"といったものが大好きである。
周囲は驚いた。普段は真面目で、一切そのような姿で表舞台に現れたことがなかったからだ。ましてや、誰もが予想だにしない宣言に困惑していた。
ここからはそんな彼女の思想を御覧に入れよう。
「チッそこ退け男ども」
前から歩いてくる集団の男に舌打ちをして吐き捨てる。ミナコから避けることはなく、堂々と道の真ん中を切り開いて歩く。
「邪魔くせぇ。これだから男は嫌いなんだよ。」
男と女、性別が2種類に分けられているだけで、どちらも平等な存在価値を持つと思っているこの人類に腹が立つ。そもそも女の人が当然のように毎月排卵、生理がきていて、それでも平気な顔して普通に生活していると思っていないか?何故いつも女というだけで、女ばかりリスクを負わないといけないのか。いつだってそうだ。妊娠をして子どもを産むのも女性、身長が伸びにくく筋肉が付きづらいのも女性、男性に力で勝てることなどほとんどの女性は無いだろう。それだから性犯罪は一生無くならないし、女性自身がそれを当然のように受け入れて平気な顔して暮らしているから、穢らわしい男という存在は消えないのだ。生理品や化粧品、ヒールの靴を履くことを強要されているにも関わらずストッキング代といったものは一切支給されず全額自己負担。男女差別を無くし性別を統一しようなどと馬鹿げたことを言ってるやつもいるが、そもそも思考回路も思想も身体も全く異なる異種であるということを世界はもっと認識すべきなのだ。地球の子孫繁栄には役立っているかもしれないが、逆にその生殖機能以外に果たしてお前らには一体何の価値があるんだ?それを言えない奴らから全員滅べ。この下等生物が。
それに比べて女の子は良い。誰もが可愛い。みんながお姫様のように扱われるべきである。私は少なくとも自分自身を含め女の子はみんなお姫様だと思っている。歳なんて関係ない。何歳でも女の子と呼んでいい。女の子であるというだけで、みんなもっと自分に誇りを持つべきだ。だからこそ女の子には優しくするし、暴言など言語道断、絶対に吐かない。しかし男は別だ。男というだけで気持ちが悪い。同じ人間だとは思えない。良くても微生物、悪くてゴミだな。
「はーあ、つか良い男いねぇかな」
ミナコは煙草を吸いながら、白々しくそんなことを吐き捨てた。
ミナコ 24歳。職業 地方議員。
その後、「女至上主義宣言」により世間から様々なバッシングを受けてすぐ辞めることとなる。